「共同参画」2019年12月号

トピックス2

第6回全国家庭動向調査結果概要の報告
国立社会保障・人口問題研究所「全国家庭動向調査班」

全国家庭動向調査は、「出産・子育て」、「高齢者の扶養・介護」をはじめとする国民の皆様の家庭の諸機能について調べるために、社会保障・人口問題基本調査の一環として、5年ごとに実施しており、最新版は平成30年7月に実施しています。令和元年9月に公表した結果概要をまとめると、次の3ポイントになります。

  1. 親との同居意識や親から受ける支援に変化
  2. 依然として妻に偏る家事育児分担と、求められる夫婦の平等
  3. 家族のかたちについての考えに変化の兆し

調査概要

調査対象:結婚経験のある女性(対象世帯に複数いる場合は最も若い女性、一人もいない場合は世帯主)、今回の集計対象は配偶者のいる女性(妻)

調査時期:第6回調査 平成30年7月(5年に1回)

サンプル数:調査票配布数12,718、有効回収数9,780(有効回収率77.0%)、今回の集計対象は6,142

1.親との同居意識や親から受ける支援に変化

調査対象の妻のうち、「4人の親のうち誰かと同居」している割合は19.8%で、10年前の26.7%、5年前の31.5%に比べて低い。同様に、「どちらかの母親と同居」している妻は17.6%となり、10年前の23.9%、5年前の28.5%に比べて低いという結果になった。

表1 調査回別にみた4人の親のうち誰かとの同居割合とどちらかの母親との同居割合

また、調査では、出産・子育てにかかわるサポートを妻がどこに頼むか、聞いている。その中で、比較的長期にわたることが考えられる子供の世話として「平日の昼間、第1子が1歳になるまでの世話」、「平日の昼間、第1子が1歳から3歳になるまでの世話」、「妻が働きに出るときの子供の世話」、「妻が介護するときの子供の世話」の4つを取り上げる。「平日の昼間、第1子が1歳になるまでの世話」については、「妻」自身の割合が87.6%ときわめて高い。「平日の昼間、第1子が1歳から3歳になるまでの世話」についても「妻」の割合がもっとも高く4分の3弱を占めており、続いて「公共の機関など」(15.3%)、そして「親」(9.6%)となっている。

大きな変化がみられたのは「妻が働きに出るときの子供の世話」で、第4回と第6回を比べると、「公共の機関など」が30.3%から42.0%へ大幅な伸びをみせ、「親」の割合が40.8%から33.9%へと低下した。

表2 調査回別にみたもっとも重要なサポート源:世話的(長期的)

2.依然として妻に偏る家事育児分担と、求められる夫婦の平等

妻と夫の1日の平均家事時間は、妻は平日263分(5年前に比べ17分減)、休日284分(同14分減)、夫は平日37分(同6分増)、休日66分(同7分増)だった。また、1日の平均育児時間の方は、妻は平日532分(5年前に比べ40分減)、休日680分(同11分減)、夫は平日86分(同3分減)、休日322分(同13分増)となっていた。

徐々に変化はあるものの、依然として家事育児分担が妻に偏っていることがわかる(表3,4参照)。

表3 調査回別にみた夫婦の1日の平均家事時間

表4 調査回別にみた夫婦の1日の平均育児時間

また、第6回調査では、普段「家事」として語られることの少ない「見えない家事」の遂行について、夫婦の分担の実態を調査した。具体的には5種類の「見えない家事」(「食材や日用品の在庫の把握」、「食事の献立を考える」、「ごみを分類し、まとめる」、「家族の予定を調整する」、「購入する電化製品の選定」)についてたずねている。「見えない家事」についても妻が担当している割合が高く、とくに「食材や日用品の在庫の把握」と「食事の献立を考える」は約9割の妻が担当していた。妻の意識についても聞いている(表5参照)。

表5 夫婦における「名もなき家事」遂行

一方、「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」への賛成は第4回調査から 8 割台で推移しており、第6回調査でも83.7%であり、平等な分担が支持されている。「夫は、会社の仕事と家庭の用事が重なった時は、会社の仕事を優先すべきだ」への賛成は62.2%で、5年前の67.0%から約5ポイント低下した(表6参照)。

表6 調査回別にみた家族に関する考え方の各項目への賛成割合

3.家族のかたちについての考えに変化の兆し

家族や子供に関する様々な考え方に対する妻の賛否を、賛成割合として示したのが表6である。第6回調査での賛成割合は、「夫や妻は、自分達のことを多少犠牲にしても、子供のことを優先すべきだ」と「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」が8割台と高い。逆に、「高齢者への経済的援助は、公的機関より家族が行うべきだ」、「夫婦は子供を持ってはじめて社会的に認められる」が2割台と低い。

家族のかたちについての考え方について変化を見ると、「年をとった親は子供夫婦と一緒に暮らすべきだ」への賛成割合は34.3%で5年前の44.6%より10ポイント以上低い値となった。「夫、妻とも同姓である必要はなく、別姓であってもよい」という意見の支持割合は約5割(50.5%)で、5年前より9ポイント上昇した。「夫婦は子供を持ってはじめて社会的に認められる」に賛成する妻の割合は24.7%にとどまり、10年前からみると10ポイント以上低下している。

夫婦の役割分担に対する考え方をみると「結婚後は、夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」への賛成割合は10年前は半数未満(47.7%)で、それ以降大きく低下し、今回 38.1%である。母親の役割についての考え方である「子供が3才くらいまでは、母親は仕事を持たず育児に専念したほうがよい」への賛成割合も低下傾向にあり、10年前は86.7%、今回71.2%である。「家庭で重要なことがあったときは、父親が最終的に決定すべきだ」への賛成割合も低下傾向にあり、64.5%である。子供の育て方の考えを示す「男の子は男らしく、女の子は女らしく育てるべきだ」への賛成割合も低下傾向にあり、今回は 56.4%である。

第6回全国家庭動向調査の詳細はこちら


【HP】 http://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/NSFJ6_top.asp

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