「共同参画」2019年10月号

トピックス

行政相談委員の仕事
内閣府男女共同参画局総務課

行政相談とは、医療保険・年金、雇用、道路、社会福祉、交通機関など、行政分野の幅広い苦情や意見・要望に対して、その解決や実現を促進するとともに、行政の制度や運営の改善に生かす仕組みです。行政相談委員は、総務大臣から委嘱され、国民のみなさんの相談相手として、行政サービスに関する苦情、行政の仕組みや手続きに関する問い合わせなどの相談を受け付け、相談者への助言や、関係行政機関に対する改善の申入れなどの仕事を行います。(本号裏表紙に、行政相談の告知ポスターを表示しています。)  今回は、仙台市で行政相談委員として活躍している鈴川氏に、子育て中の母親を対象とした行政相談委員活動やその悩み、やりがいについて、お話を伺いました。

 

「子育て支援行政相談懇談会を開催して」

行政相談委員(仙台市担当)
鈴川 眞子氏

平成25年に行政相談委員となって早6年。よく聞かれる言葉に『行政制度に関する相談でなければいけないのですか』という一言があります。

『どこに相談の小さな芽があるか分からない』と研修で教えていただいたものの、相談のきっかけ作りをはじめ、未だ試行の日々です。

そんなある日、学童保育を行う児童館館長から、お迎えに来るお母さん方の悩みを聞いてもらえないか、と相談されました。「お迎えのわずかな時間に相談される様々な悩みに、職員は若く、独身者も多く、なかなか悩みを共有できず応えられないもどかしさがある」と。館長の切実さが伝わってくる反面、育児に関する相談に終始するのでは、という不安もある中、子育て支援行政相談懇談会の開催を決めました。

当日、お母さん方に行政相談を紹介する広報用DVDを視聴してもらった後、懇談を始めました。しばしの沈黙が続き、『行政』の響きの硬さを懸念した時、手が挙がりました。 「近所の公園の事でも構いませんか?」

この一言をきっかけに、公園の砂場整備や清掃の要望。通学路への信号設置の要望。地下鉄開業で減便となったバスの不便さ。点字ブロックの位置の間違い。ベビーカーを押して知った歩道と車道の段差の危険や不便さ。保育所入所の判断基準の不明瞭さ。お母さん方自身が病気にかかり、仕事帰りに通院する際の延長保育ができない不便さ。未就学児が利用できない児童館への利用要望。出産・育休後の労働条件の悪化。そして、子どものために仕事を制約せざるを得ない現状に対する同僚独身女性の不寛容な言葉まで。堰を切ったように発言は続き、予定時間は瞬く間に過ぎていました。

これが縁で他の児童館でも、子育て支援行政相談懇談会を開き、転勤してきたお母さんから、当地の一時預かり保育の利用条件が厳しく不便といった意見等に、私自身も当地の子育て環境を詳しく知る機会を得ました。

お母さん方からは、相談窓口が分からず困っていた問題の解決の糸口が見えた安心感、子連れで行ける近所での開催の気軽さ、行政から丁寧な回答がもらえた驚き、そして、感謝の声を伝えられ、これからも、お母さん方の真剣な目線に向き合って、この懇談会を続けていこうと思えた瞬間でした。 

 

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