「共同参画」2019年9月号

特集1

女性活躍推進法の一部改正の概要
厚生労働省 雇用環境・均等局 雇用機会均等課

「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第24号。以下「改正法」という)は、第198回国会において、令和元年5月29日に可決・成立し、同年6月5日に公布されました。

本稿においては、改正法の背景・経緯及び改正内容について紹介します。

Ⅰ改正法の背景・経緯

■ 女性活躍の現状

近年の女性就業状況は、女性の就業者数が増加し、子育て世代の女性の就業率も上昇し、女性の年齢階級別の労働力率における、いわゆる「M字カーブ」が以前に比べて緩やかになってきました。また、平均勤続年数も長くなり、女性管理職の割合も上昇傾向にあります。しかしながら、年齢階級別に女性の就業形態を見ると、正規雇用の就業率は第1子出産の平均年齢より手前の「25~29歳」層でピークを迎え、その後は年齢とともに減少しています。また、管理的職業従事者に占める女性割合は諸外国と比べて低い水準にあるなど、女性活躍を更に推進していくことが必要です。

女性活躍推進法は、職業生活における女性の活躍を迅速かつ重点的に推進するための時限立法(10年間)として平成27年9月に施行され、平成28年4月には民間事業主に対する一般事業主行動計画の策定の義務付け等が施行されました。

同法の施行以降、民間企業における女性活躍の取組は着実に進展していますが、今後、社会全体で女性活躍を一層推進するためには、計画的なPDCAサイクルを促す行動計画の策定や、求職者の職業選択に資する情報公表等に、より多くの企業が取り組むことが必要です。

⼥性の年齢階級別労働⼒率と潜在的労働⼒率(2018年)

 

⼀般労働者の平均勤続年数の推移

 

管理的職業従事者に占める女性割合の国際比較

 

役職別管理職に占める女性割合の推移(企業規模100人以上)

■ 労働政策審議会における議論等

女性活躍推進法については、附則に基づき、施行後3年の見直しを行うこととされていたことから、職場におけるパワーハラスメント対策の課題と併せて、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において議論・検討が行われ、平成30年12月14日に「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(建議)」がとりまとめられました。

Ⅱ改正法の概要

改正法には、主に以下の3点が盛り込まれています。1.一般事業主行動計画の策定義務の対象事業主の拡大、2.女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化、3.女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度創設

改正法の表

Ⅲおわりに

女性活躍推進法の改正に加え、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法等の改正により、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設、セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化等の措置を講ずることとしました。

改正法の円滑な施行に向け、省令・指針等の整備や、改正内容の周知徹底、中小企業等への支援などの実施により、誰もが自らの個性と能力を十分発揮し、安心して働ける職場づくりを推進していきます。

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