「共同参画」2018年2月号

特集

シンポジウム「アジア太平洋と日本を結ぶ女性起業家精神 
~「架け橋女性」とのネットワークを通じて広げよう~」の開催
内閣府男女共同参画局総務課

内閣府は、平成29年11月・12月にシンポジウム「アジア太平洋と日本を結ぶ女性起業家精神 ~「架け橋女性」とのネットワークを通じて広げよう~」を開催しました。ここではその概要をご紹介します。

シンポジウム「アジア太平洋と日本を結ぶ女性起業家精神 ~「架け橋女性」とのネットワークを通じて広げよう~」の開催

平成29年11月12日(日)に京王プラザホテル(東京都新宿区)、12月17日(日)に大阪新阪急ホテル(大阪府大阪市)において、内閣府主催のシンポジウム「アジア太平洋と日本を結ぶ女性起業家精神 ~「架け橋女性」とのネットワークを通じて広げよう~」を開催しました。

本シンポジウムは、内閣府が平成28年度から実施している「アジア・太平洋輝く女性の交流事業」の一環として開催しており、我が国とアジア・太平洋諸国において活躍している国内外の「架け橋女性」(アジア・太平洋諸国と日本の両国を知り、お互いの国の発展・交流に貢献している女性) の活躍に焦点を当てています。本年度は、起業に携わる女性が、アジア・太平洋諸国と日本の両方でどのような経験をしてきたか、今後の活躍に向けた課題等を共有するため、東京会場に21名、大阪会場に8名の「架け橋女性」を招聘しました。

野田大臣からのビデオメッセージ

開会に先立ち、野田聖子内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)、女性活躍担当大臣からビデオメッセージが寄せられました。

野田大臣は、まず、本事業の趣旨として、我が国が、戦後、平和国家として、隣人であるアジア・太平洋諸国と共に歩んで来てきたこととともに、戦後70年を迎え、特に女性の交流を通じ、我が国とアジア・太平洋諸国の友好・信頼関係を深化させるため、昨年度から本事業をスタートしたことを紹介しました。

多くの「架け橋女性」が、我が国の魅力を海外に広め、また、海外の視点を我が国に広げ、地域の友好・信頼関係構築のための架け橋となっていることへの感謝を示されました。

また、こうした機会を通じ、将来の架け橋女性、あるいは架け橋女性の良きサポーターが生まれ、個性と能力を生かして輝く女性が増えることにより、我が国、ひいてはアジア・太平洋地域の女性活躍推進のムーブメントが一層広がっていくことへの期待が示されました。


野田大臣からのビデオメッセージ

基調講演(東京会場)

東京会場の基調講演は、「やらず後悔が一番残念、女性起業家精神で拡がる世界」というテーマで三原理絵氏(株式会社誠や 代表)にお話しいただきました。

東日本大震災のボランティアで、食事の支援をしてくれたパキスタン人との出会いが、三原氏の海外起業のきっかけでした。いつか彼らの故郷であるパキスタンに自分の仕事を通して何か恩返しをしたいという強い思いから、2016年にパキスタンに移住し、パキスタンのお母さんと赤ちゃんのための衛生用品の販売やパキスタンに進出を検討している日本企業のマーケティングサポートを行うビジネスを展開しています。

三原氏は、「会場にわざわざ足を運ばれた皆さんも、既に挑戦者であり、何かやってみたいことがあるのなら、まずは1歩目を踏み出してみてほしい。1歩目を踏み出せば、勝手に2歩目が付いてくる。あとはそれの繰り返しである。もし、しんどくなってしまったら、1回立ち止まって休んでみてもいい。とにかく、これをやってみたいという自分の何か魂が揺さぶられるようなことがあるのであれば、まず1回挑戦してほしい。」という力強いメッセージを会場の参加者に贈りました。


三原氏による基調講演(東京会場)

基調講演(大阪会場)

大阪会場の基調講演は「ワクワクとグラグラが未来を創る」というテーマで奥田浩美氏(株式会社ウィズグループ代表取締役)にお話しいただきました。

奥田氏はいつも「これから先は片足だけついて生きていましょう」と言っているそうです。片足だけついて立つとグラグラしてしまいますが、グラグラするということは自分の行先がたくさんあるということであり、ワクワクしながら次の足をどこに置こうかと考えることができるとのことでした。いろいろなことに悩みながら、どこに活動を見いだしていこうと思っている人たちが多いですが、ワクワクとグラグラこそが、変化の激しい今の時代に合っているのではないかとのお話をいただきました。


奥田氏による基調講演(大阪会場)

パネルディスカッション

基調講演後、「成功の鍵─ネットワークを広げよう!女性たち─今こそ行動のとき」をテーマにパネルディスカッションが行われました。

東京会場では、モデレーター、奥田浩美氏の下、白木夏子氏(株式会社HASUNA代表)、濵田真里氏(株式会社ネオキャリア海外事業部編集ディレクター、ABROADERS編集長、なでしこVoice代表)、橘幸帆氏(ユーネットインターナショナル株式会社社長)、繁田奈歩氏(株式会社インフォブリッジマーケティング&プロモーションズ代表)によるディスカッションが行われました。

また、大阪会場ではモデレーター、文美月氏(リトルムーンインターナショナル株式会社取締役副社長)の下、濵田真里氏、宮城治男氏(NPO法人ETIC代表理事)、三原理絵氏、村田早耶香氏(認定特定非営利活動法人かものはしプロジェクト共同代表)によるディスカッションが行われました。


パネルディスカッション(東京会場)


パネルディスカッション(大阪会場)

このセッションでは、参加者から事前に寄せられた質問も踏まえ、起業のきっかけについてお話しいただいた後、起業におけるネットワーキングの大切さ、ネットワークをつくるために、各々どのような工夫を行っているかについて様々な意見が交わされました。

橘氏からは、仕事関係者以外の人と付き合うことが、意外なところで自らのビジネスにつながっていくという意見が、白木氏からも異業種の方とつながることで最先端のビジネスのやり方を教えてもらうことができ、それらを取り入れて自ら実践することで、イノベーティブなビジネスのモデルをつくることができるとの意見がありました。

繁田氏からは、いろいろな人と会うときに、相手方にもう一度会ってみたいと思わせるように、相手に対してどうベネフィットを設計できるかを考えて行動することが重要なのではないかという意見が、宮城氏からは、自分がどういう人とつながりたいのか、まさにどういうネットワークをつくりたいかということを明確になればなるほどネットワークは広がっていき、本当に必要な人と必要なタイミングでつながるという流れに乗れるとの意見がありました。

濵田氏からは、SNSなどを通して簡単にメッセージはやり取りできる時代だからこそ、この人とはつながりたいと思うとあえてポストカードを送っているとの工夫が語られました。

村田氏からは、創業時にビジネスコンペに出て、社会的に信頼を集めている審査員を味方につけることでネットワークを広げたという体験談が、また、三原氏からは、日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)などの公的機関、大使館・領事館の職員などを通じてビジネスの基盤となるネットワークを広げることができたという体験談が語られました。

モデレーターの奥田氏からは、ただ繋がれば良いのではなく、自らが人脈を通して情報を発信して、初めて何か戻ってくる、循環するというネットワークをつくっていくことがすごく大切との意見があり、文氏からは、自分ができないことや弱点を発見し、そこに周りをうまく巻き込んでいくということが大切であるとの意見が語られました。

グループディスカッション

パネルディスカッションの後、登壇者、架け橋女性、一般の参加者を交え、各テーブルに分かれて、グループディスカッションを行いました。実際に起業を経験した架け橋女性から直接お話しを聞ける機会とあり、どのグループでも非常に活発な議論が行われ、架け橋女性の知見、経験などの共有が行われました。


登壇者・架け橋女性(東京会場)


登壇者・架け橋女性(大阪会場)

参加者からの反響

本シンポジウムは、東京会場と大阪会場合わせて約170名の一般参加者にご来場いただきましたが、シンポジウム終了後に行われたアンケートでは、「背中を押してもらえた。」、「とても魅力的な方ばかりで力をもらえました。」などの感想が寄せられました。

本シンポジウムを含む事業の結果については、平成29年度内に報告書を取りまとめ、内閣府HP等で公表予定です。起業に興味を持っている方、将来の進路に悩んでいる方は、ぜひ読んでいただき、迷った際の道しるべとしていただけると幸いです。

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