「共同参画」2018年2月号

巻頭言

今年で、男女雇用機会均等法の制定から32年、男女共同参画社会基本法の制定から19年が経つ。最近の女性活躍推進キャンペーンのおかげもあって、私が大卒時に女子求人ゼロという状況に苦悶した40数年前に比べれば、雲泥の差と言いたくなるほど共同参画は進んだ。ところが国際的に見ると、我が国の女性の地位は低位安定(?)との結果である。この内外差の原因の一端を裁判官の経験を通じて考えてみた。

一つは、これらの法律の実効性を担保するべき裁判の少なさである。日本人は訴訟嫌いと言われるが、とりわけ企業に雇用されている労働者の訴訟提起は難しいようで、最高裁在職中に扱った関係事件はマタハラ判決など数えるほどであった。個人の権利侵害は裁判によってしか解決は難しい。個別救済の判決の積み重ねによってはじめて法律に魂が入るというものであるので、今後の検討が待たれる課題である。

もう一つは、家庭や家族にからむ共同参画の問題である。経済合理性が貫かれるべき企業経営においては、企業共同体の崩壊と相まって、女性の活用・登用は早晩進んでいくものと楽観しているが、経済合理性が適合せず、共同体としての役割が依然として期待されている家庭や家族といった場面における問題が、置き去りにされがちにならないか心配している。夫婦別姓訴訟に直面した時その懸念を強くした。難しい問題だが避けては通れまい。


元最高裁判所判事
櫻井 龍子

主な予定

1月12日~
2月28日
平成30年度 男女共同参画週間キャッチフレーズ募集
2月15日 シンポジウム「企業×女性企業家のマッチングイベント ビジネスにも運命の糸ってあるんです」
(東京都中央区)
2月17日、18日 「女子大学生キャリア形成セミナー」(埼玉県比企郡嵐山町)
2月21日 男性の家事・育児応援フォーラム「これからの子育てと暮らし×デザイン」(東京都港区)
3月8日 「農業女子PJフォーラム2017」(東京都千代田区)

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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