「共同参画」2017年12月号

特集

国際女性会議WAW!(World Assembly for Women : WAW! 2017)
─今年のテーマは「WAW! in Changing World」。変化する世界の中で、女性が活躍する持続可能な社会の実現を目指して─
外務省総合外交政策局女性参画推進室

11月1日から3日に東京で開催された国際女性会議WAW!(WAW! 2017)について報告します。

World Assembly for Women (WAW!)とは

WAW!は、国際女性会議WAW!、英語でWorld Assembly for Womenの略称で、「ワウ!」と呼ばれています。日本の女性分野に関する取組を国内外に発信するため、安倍総理大臣のイニシアティブで2014年に1回目のWAW!が開催されました。WAW!には、世界の様々な地域、国際機関から様々な分野で活躍するトップ・リーダーが参加し、女性を取り巻く課題について日本及び世界における取組を議論します。過去のWAW!では、経済社会における女性の活躍に関連して、ワークライフ・マネジメントや男性の関与、シングルマザー等、より困難な立場にある人の支援、STEM(科学、技術、工学、数学)分野への女性参画等に加えて、グローバルな課題である平和構築や教育等の分野で女性に関連する課題を取り上げ、様々な提言が出されました。


会場の様子

今回のテーマは「WAW! in Changing World」

4回目となるWAW!2017は、11月1日から3日まで3日間に亘り行われました。テーマは「WAW! in Changing World」。グローバル化や技術の進化に伴い、働き方や暮らし方が大きく変化する中で、女性の活躍を更に推進していくための課題や方策について議論を行いました。

11月1日:基調講演等

冒頭の開会挨拶では、安倍昭恵内閣総理大臣夫人から、世界が速いスピードで変化する中において、持続可能な社会を築いていくためには、しなやかな対応力や視点、感覚といった女性ならではのチカラの更なる発揮が求められている旨を述べました。続く基調講演では、クリスタリナ・ゲオルギエヴァ世界銀行CEOから、女性の潜在能力の活用が世界の一層の繁栄に繋がることを踏まえ、世界銀行の途上国における取組に触れつつ、ジェンダー平等を達成することは、女性が教育を受け経済力を向上させることを意味すると述べました。

また、ラクシュミ・プリUN Women事務局次長は、女性へのUN Womenの取組が日本の支援により支えられている点に触れ、女性のエンパワーメントに向けて経済・社会・政治全ての分野でより一層の努力が必要である旨強調しました。


安倍総理夫人による開会挨拶


ゲオルギエヴァ世界銀行CEO


プリUN Women事務局次長

パネル・ディスカッション「女性と起業」では、キャシー松井ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長がモデレーターを務め、アランチャ・ゴンザレス国際貿易センター(ITC)事務局長、北岡伸一国際協力機構(JICA)理事長及びスシ・プジアストゥティ・インドネシア海洋水産大臣の3名により、女性起業家は経済を成長させ、社会全体に新しい価値や市場を生むことが再認識され、起業する女性に対する支援の重要性や今後の支援のあり方等についての議論が行われました。また、吉田晴乃日本経済団体連合会審議員会副議長からの挨拶、メリンダ・ゲイツ・ビル&ゲイツ共同会長からのビデオ・メッセージも届けられ、各界を代表する方々の登場とその言葉に、会場が魅了されました。


パネル・ディスカッションの様子

11月2日:ハイレベル・ラウンドテーブル/スペシャル・セッション

2日のハイレベル・ラウンドテーブル及びスペシャル・セッションでは、企業におけるジェンダーの取組、技術革新と人材育成、無償労働の分担、女性・平和・安全保障、メディアにおける女性、若者が考える女性活躍の未来、自然災害下におけるジェンダー平等といった7つのテーマの下で行われ、活発な議論を通じ、登壇者からは具体的な提案が出されました。

H-1「SDGs達成に向けた企業におけるジェンダー分野の取組」のテーブルでは、これまで実施されてきた様々な取組が共有され、中でも効果的な方策として、トップダウンによる上司の意識改革、全国転勤が昇進条件となる企業システムの改革、トップ・中間・全てに価値観を共有させること及び企業へのインセンティブの導入等が挙げられました。企業において更なるジェンダー平等を進めていくためには、トップから行動へコミットすること、女性自身を含めた企業全体の意識改革、多様性を受け入れること、働き方の変革を家庭での役割の変革と連動させること等が提案されました。

H-2「技術革新と女性の人材育成」では、技術革新が従来の産業構造に大きな影響を与える中で、ネガティブな影響を最小限に押さえ、技術革新を新たな成長の鍵としていくための方策について討論がなされました。提言として、教師を含め、理系選択の女子学生に対するバイアスをなくすための教育の実施、メンターの配置や人材データバンクの整備といった働く場の改革、AI活用等の重要性が強調されました。

H-3「無償労働をどう分担するか」では、家事、育児、介護といった無償労働に関して3R(認識、削減、再分配)を推進するためにも、女性が多くを担っている現状のデータを収集・分析することの必要性が指摘されました。また、男女のみではなく、公共政策や民間セクター等と共に無償労働を分担することで雇用創出に結びつけると同時に、コストではなく価値あるものと捉え直す旨が提言されました。

H-4「女性・平和・安全保障-政策から実施へのギャップを埋める取組」では、決議の内容を政策決定者や男性リーダーが理解すること、和平合意やPKOにおける女性の参画を増やすこと、女子差別撤廃条約との整合性を取ること等が提言されました。また、紛争下の性的暴力被害者の状況等の報告もされました。

H-5「メディアにおける女性」では、近年、テレビCMにおける男女の描かれ方が批判を浴びる事例が見受けられる一方で、メディアは性別に基づくステレオタイプ化の改善や人々の意識改革に役割を果たすことができる点を踏まえ、メディアの意志決定レベルに女性を増やすこと、情報公開を行うこと、テクノロジーを活用してメディアに従事する人々の働き方を変えていくことの重要性が指摘されました。


ハイレベル・ラウンドテーブルの様子

S-1「若者が考える女性活躍の未来とは」では、性別や容姿ではなく、個人の能力によって人を評価すること、STEM分野のキャリアを促進すること、社会課題を見つけて解決するためのアクションを取ること、大人と若者が協力し学び合う事等が提言として挙げられ、取組を進めるために、普段から声をあげて同世代に共感してもらうことの重要性が強調されました。

S-2「自然災害下におけるジェンダー平等及びレジリエンス向上」では、防災予防及び減災は地域を知る女性なくしてはできない取組であることが再認識されました。その上で、女性のニーズを理解し包摂性を高めるために、データを収集し関係機関で共有していくこと、ジェンダーに配慮した制度の整備、女性のリーダーシップ向上を促進していくこと等が提言として挙げられました。

全体会合では、各セッションのラポラトゥールから、各分科会の要約と具体的提案を含む報告がなされました。


スペシャル・セッションの様子

11月3日:特別イベント/クロージング

3日は、日本政府と世界銀行の共催で、特別イベント「女性のエンパワーメント」が開催され、続いてWAW!2017のクロージングが行われました。

特別イベントにおける安倍晋三内閣総理大臣の挨拶では、政府の女性活躍推進へのコミットを再確認すると共に、これまでの具体的措置の成果や女性ならではの感性・能力を活かした起業が世界の経済発展に与える好影響について述べ、女性起業家資金イニシアティブ(We-Fi)への支持とこれに対する5千万ドルの拠出を確認しました。続いて、イバンカ米国大統領補佐官による特別講演が実施され、安倍政権のウィメノミクスへの評価と共に、女性の経済的参画のための環境整備の必要性、技術革新を踏まえた女性の理系分野への参画の重要性、女性の起業支援等について述べました。


安倍内閣総理大臣による挨拶


イバンカ・トランプ米国大統領補佐官による特別講演

基調講演では、河野外務大臣から女性起業家が直面する課題や日本の支援について述べ、クリスタリナ・ゲオルギエヴァ世界銀行CEOから、ジェンダー平等及び女性起業家を支援するための世銀の取組の紹介がありました。

パネル・ディスカッション「女性起業家支援」では、キャシー松井ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長がモデレーターを務め、スシ・プジアストゥティ・インドネシア海洋水産大臣、佐々木かをり株式会社イーウーマン、ユニカルインターナショナル代表取締役、イ・ミヨン・フェアトレードコリアCEO、パトリシア・ヴェリンガ=ジースケスThe Job Factory創設者、ネナ・ストイコヴィッチIFC副総裁、矢島里佳株式会社和える代表取締役社長が参加し、起業の際に実際に直面した課題や、困難を乗り越えた経験を共有した上で、女性が起業する際に必要となる支援が提言されました。


パネル・ディスカッションの様子

続いて行われたWAW!2017クロージングでは、参加者代表挨拶として、マリア・エレナ・ボスキ・イタリア首相府官房長官より、持続可能でスマートな社会を構築するためにも、女性に対するあらゆる差別の撤廃は重要である旨を述べ、本田桂子世界銀行グループ多数国間投資保証機関(MIGA)長官より、自身の経験を振り返り、自分にとっての成功を定義することの大切さ等、次の世代の女性に伝えたいメッセージの発信がありました。

最後に鈴木外務省総合外交政策局長による総括及び西村内閣官房副長官による閉会の挨拶が行われました。また、2日目に行われたハイレベル・ラウンドテーブル及びスペシャル・セッションでなされた提言を中心に、3日間の内容を踏まえた成果文書として「WAW!2017東京宣言」が取り纏められ、ウェブ上で公表されました。

対外発信の更なる強化:事前及び当日の広報活動

WAW!2017では、昨年に引き続き、広報活動の更なる強化に取り組みました。WAW!公式FacebookページやTwitter、首相官邸LINE等のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて、これまでWAW!の存在を知らなかった若者を含む市民の方々、WAW!に参加できない方々にも広く情報を提供することを目指しました。WAW!では初めての試みとして、Facebook及びTwitterでは、3日間にわたる会議の会期中、会議の内容をリアルタイムで発信しました。SNS上では、WAW!の参加者同士による活発なやり取りも見られました。


首相官邸LINEにおける発信

会議初日及び二日目には、WAW! ムーブメントを共有するツールとして、会場内で5団体によるブース展示も行われました。国内外から集まった多様なバックグランドを持つ登壇者や参加者が足を止めて話に聞き入るなど、賑わいをみせました。


ブースの様子

さらに本年は、積極的な事後広報にも取り組んでいます。現在、外務省ホームページ及びWAW!公式SNSアカウントでは、会議当日の様子やインタビューなどを含んだダイジェスト動画を公開中です。今回制作したコンテンツについては、今後も日本政府の取組を国内外に発信していくためのツールとして、積極的に活用していく予定です。

●ダイジェスト動画(外務省ホームページへリンク)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page23_002203.html

WAW!シャイン・ウィークス公式サイドイベントのお知らせ(1月31日まで)

事後の広報活動の一環として、 WAW!をより大きなムーブメントとするために、WAW!の趣旨である「女性が輝く社会づくり」に賛同し、一緒に盛り上げて頂く公式サイドイベントを2018年1月31日まで募集しています。登録されたイベントには、WAW!のロゴマークを活用していただけると共に、外務省HP及びWAW!公式Facebookページへの掲載を通じて、WAW!と各イベントとのコラボレーションを目指しています。詳しくは、下記の外務省ホームページをご覧下さい。

●シャイン・ウィークス公式サイドイベント募集要項(外務省ホームページへリンク)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page23_002204.html


公式サイドイベント共通ロゴマーク

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