「共同参画」2017年10月号

連載 その2 女性首長から

一人ひとりが輝く高原湖畔都市へ
長野県諏訪市長 金子 ゆかり

諏訪市章


日本の屋根と言われる長野県、3千メートル級の山々の頂きから紅葉が始まる季節となりました。東は八ヶ岳から霧ヶ峰高原、西は南アルプス最北端の守屋山などから、天竜川の源である諏訪湖が見下ろせます。標高759メートルの湖周には病院、学校、工場、美術館など都市機能が揃い、春夏秋冬各種イベントで人々が訪れて下さいます。その諏訪湖に寄り添う高原湖畔都市、諏訪市は人口約5万人、面積約110km2で、豊富な湧出量を誇る上諏訪温泉、全国に一万社の末社を持つ諏訪大社の本宮、諏訪の浮き城といわれた高島城など、天与の自然と悠久の歴史文化に恵まれた観光都市であると同時に、シルク、精密、超微細加工、電子デバイスなど、ものづくりの伝統が息づく最先端技術産業の集積地です。

長野県では初の女性市長として就任から3年目を迎えております。民間企業が経済や文化を牽引してきた地域性を考えますと、男女共同参画という視点からも、県内では先進的な意識が比較的浸透しているのではないかと思います。

本市は平成4年度に諏訪市女性行動計画を策定して以来、5年毎に計画を見直し、現在は諏訪市男女共同参画計画「男女いきいき諏訪プランⅤ」に基づいて各種取り組みを行っており、達成目標の一つ、審議会や委員等における女性登用率は平成4年度の17.4%が本年度には34.7%となりました。

近年は「ワーク・ライフ・バランス」をテーマにセミナーや講習会などの啓発事業に取り組み、男女共同参画への理解は深まってきたものの、依然として性別役割分担意識は濃く、市議会議員や自治会・区・PTAの役員等への女性登用率はまだまだ目標には遠い現状です。

そのような中にあっても地方創生の時代、諏訪市としても世界に供給できる技術力をもったものづくり企業が集積をしている地域の優位性や、圏域の中心でもあるサービス業や観光業を大切に後世に繋ぐため、生計を支えるこれらの産業を応援し、また有効求人倍率1.72という人手不足を社会増として人口増につなげるよう様々な施策に取り組んでいます。特に女性の就業、社会参加を後押しする意図では、保育料の見直し、未満児保育室の環境整備、子育て企業サポート事業補助金、新婚生活住まいる補助金、リケジョ(理系女子)雇用応援事業、帰って雇用!Uターン促進住宅リフォーム助成、子育て女性雇用促進奨励金など、本年度には新規創設、或は拡充事業を増やしたところです。最近、女性の社長さんの活躍が目に映るようになったと感じ、これからの発展を楽しみにしています。

私たちの目標は、この地で生活しやすく、子育て、介護を支援する環境を整えることで、女性、高齢者、障害を持たれる方などがそれぞれの個性と能力を十分に発揮でき、幸せを感じられるようにすることです。今年の年初には、市の理事者と全部長が「イク(育)ボス・温(あった)かボス宣言」を行いました。時代は、「男女」という視点から、「すべての人」に移行しているようで、 諏訪市でも「男女共同参画市民協議会」が平成28年4月には「いきいき市民推進チーム☆輝くSUWA」に名称変更となりました。

計画の基本理念「誰もがともにいきいきと暮らせる諏訪市をめざして」これからも市民の皆様と力を合わせて各種施策を前進させて参りたいと思います。

執筆者写真
かねこ・ゆかり/1958年生まれ/1999年から長野県議会議員(3期12年、文教企業委員会委員長、農政林務委員会委員長、環境産業観光委員会委員長歴任)。2015年5月諏訪市長就任(1期目)。/座右の銘は「心を尽くして名を求めず」/趣味は芸術鑑賞、山登り、華道、スポーツ観戦
内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
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