「共同参画」2017年5月号

行政施策トピックス3

平成28年度女性リーダー育成に向けた諸外国の取組に関する調査研究報告書「女性役員登用の閣議決定目標『2020年10%』達成に向けて」について
男女共同参画局総務課国際担当、推進課

上場企業役員に占める女性の割合については、第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月閣議決定)において、「5%(早期)、更に10%を目指す」(以下、「202010目標」)こととされています。内閣府においては、この目標の達成に向け、平成28年度、女性役員の効果的な育成の在り方及び研修モデルプログラムの検討を行い、報告書「女性役員登用の閣議決定目標『2020年10%』達成に向けて」をとりまとめました。報告書の主な内容は、以下のとおりです。

1.報告書編

報告書編では、我が国の現状と課題や諸外国の取組状況を分析するとともに、女性役員登用の必要性を示した上で、女性役員の効果的な育成のための研修プログラムの在り方を提案しています。

■現状と課題

政府ではこれまで、安倍総理からの経済界に向けた要請(平成25年4月)1を始め、有価証券報告書等への役員の男女別人数・女性比率の記載義務付け(平成27年3月)、第4次男女共同参画基本計画の策定(平成27年12月)、女性活躍推進法の完全施行(平成28年4月)等を行ってきました。民間においても、コーポレートガバナンス・コードにおいて、女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保を定める(平成27年6月)など、取組を進めているところです。

一方、諸外国では、英国の30%CLUB2等に代表される自主的取組や、クオータ制の導入等により、女性役員割合が増加しています。また、ESG投資3が広がり、特にガバナンスの分野で、女性取締役割合は機関投資家から評価される対象となっています。

これらの結果、我が国の上場企業役員に占める女性割合は増加傾向にありますが、国際的に見ると依然として低い水準となっています。(女性役員割合は3.4%(平成28年7月時点))また、研修機関は東京圏に集中しており、地方圏では必ずしも十分に実施されていないとの指摘もあります。

  • 1 安倍総理から経済界へ「全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは、役員に一人は女性を登用していただきたい」と要請。
  • 2 https://30percentclub.org/
  • 3 環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の要素を投資判断に組み入れている投資

■女性役員登用の必要性

女性役員の登用がもたらす効果として、報告書では、以下を挙げています。

  • (1)取締役会の多様化による柔軟・最適な業務執行の決定やリスク回避が可能となり、取締役会の監督機能が向上。イノベーション促進、企業競争力・社会的評価・企業価値も向上。
  • (2)経営指標や株式パフォーマンスが良くなる等のプラスの影響。
  • (3)女性社外取締役の指摘により、内部昇進による女性役員が増加する環境が整う相乗効果。
  • (4)女性役員がロール・モデルやメンターとなることで、裾野の広い女性人材育成が加速。
  • (5)男女双方の候補者から役員を探すことで、広く適任を探すことが可能。

○上場企業における女性役員数・割合の推移


■研修プログラムの在り方

研修プログラムは、内部登用による女性役員と外部登用による女性役員(社外取締役等)双方の育成に有効であり、企業価値の増大に貢献できる人材の発掘と、候補者の層を拡大する機能を持つ必要があります。

この報告書では、「研修プログラムの在り方」として、以下の4点を提案しています。

  • (1)候補者の発掘機能
  • (2)社内・社外の役員候補者人材との混成型での実施
  • (3)「意識付け」「知識の習得」「ネットワークの構築」を盛り込んだ内容
  • (4)候補者の確保機能

2.プログラム編

プログラム編では、『1.報告書編』で提案した研修プログラムの在り方を踏まえ、経済団体、地方公共団体、大学、役員人材育成事業を手がける企業・団体等で実施する際のモデルとなるよう、実施形式(実施主体、対象、日数、定員)やプログラム構成(研修項目の趣旨・目的、主な要素、想定される講師層)を例示するとともに、プログラム研修の項目毎に、想定される資料を作成しています。

女性役員登用の閣議決定目標「2020年10%」達成に向けて


女性役員候補育成のためのモデルプログラム 骨子

報告書の全文は内閣府男女共同参画局ホームページでご覧いただけます。
http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/index.html

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