「共同参画」2017年5月号

行政施策トピックス1

男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会報告書「男性の暮らし方・意識の変革に向けた課題と方策」
男女共同参画局総務課

男女共同参画会議の下に設置された「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」は、平成28年10月から計5回の会合を実施し、今後の課題と方策について検討を行い、平成29年3月に報告書「男性の暮らし方・意識の変革に向けた課題と方策」を公表しました。議論の経過も併せて、報告書の概要をお知らせします。

【第4回会合】

1月20日(金)に開催された第4回会合では、内閣府の取組としてワーク・ライフ・バランスの推進体制、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言、女性が輝く先進企業表彰等について男女共同参画局から説明を行いました。続いて、第3回までの委員からのプレゼンテーションや関係省庁のヒアリングを踏まえ、議論のとりまとめの方向性についての意見交換が行われました。

【第5回会合】

2月22日(水)、最後の会合では、報告書案について各委員から改善点の指摘を受け、修正については家本会長一任とすることが了承され閉会となりました。

第5回会合の様子


第5回会合の様子

【報告書の概要】

背景

副題として「未来を拓く男性の家事・育児等への参画」と付されたこの報告書は、始めに、「背景」として、男性の参画度合の低い我が国の家事・育児状況について、6歳未満の子供を持つ夫婦の家事・育児関連時間の国際比較のグラフを示し、次いで、社会構造の変化による男性の家事・育児等への参画の必要性の高まりを、育児と介護のダブルケアに関するデータや共働き世帯数の推移を基に解説しました。

意義

男性が家事・育児等に参画する意義、すなわちメリットについて大きく5つに分けて整理しました。

家庭生活においては、夫婦で過ごす時間の増加や子供に対する好影響が考えられます。

男性自身にとっては、仕事では得ることのできない家事・育児等の多様な経験が、段取り力・コミュニケーション力・マネジメント力等仕事を進める上で求められる能力が向上することが指摘されています。

女性自身にとっては、家事・育児等が軽減されることによって、さらなる女性活躍の推進につながります。

企業にとっては、多様な人材の増加により、業績への好影響や業務効率化、生産性向上が期待されます。

社会においては、男性の家事時間が長いほど第2子以降の出生が増える統計データから、少子化対策としても有効であることが指摘されました。

施策の対象

本報告書では、暮らし方・意識の変革を進める上で施策を重点的に実施すべき対象を明確に示しています。本報告書に盛り込まれた取組は、特定の年代層のみを対象としたものではありませんが、特に念頭に置くべき対象を想定しています。

子育て世代は当然ながら、その世代の親や職場関係者も含めました。休暇を取得することにためらいを感じる割合が多いことは、上司や同僚をはじめとした職場の雰囲気が家事・育児等への参画に影響を与えると考えられるためです。

さらに未婚の若年世代を子育て世代の予備軍として捉え、必要な啓発を行うことが効果的との指摘がありました。

課題

暮らし方・意識の変革を行っていく上での課題として、(1)男性の家事・育児等への参画についてポジティブに捉えられる発信への取組、(2)職場意識の改善、育児休業等取得促進、(3)家事・育児等の知識やスキルの向上、(4)乳幼児を伴う移動・外出に伴う負担軽減の促進が挙げられました。

具体的な取組

課題に対する具体的な取組として、大きく3つ提言されました。

一つ目は「男性が家事・育児等を行うことの意義の理解促進に関する世論形成」です。これまで、政府、NPO、企業等で個々に実施されてきた各々の取組を連携させ、相乗効果を発揮できるよう政府として主導することです。「政府として積極的に情報発信し、ポジティブなイメージの形成を行っていくべき」との指摘と共に、各界トップを巻き込んだ官民の連携や、スマートフォンで家事分担等のスケジュールを可視化する等の夫婦間のコミュニケーション促進などが盛り込まれています。

二つ目は「男性の家事・育児等への参画機会の創出」です。結婚や子の出生など、ライフスタイルが変化する機会を男性が家事・育児等に取り組む契機と捉えた取組の充実、必要に応じて期間を限定する、男性のみに対象を絞る、といった取組の検討です。子の出生に伴う休暇・休業取得について、男性や事業主に対する現行制度の周知徹底や、就労中の男性が参加しやすい家事・育児等の講座開催の工夫などに触れられています。

三つ目は、男女を問わず仕事と家庭の両立を図るための、「家事・育児等を軽減する取組の推進」です。乳幼児を連れでの外出時の負担軽減や、乳児用液体ミルクの開発・普及に向けた取組の推進が指摘されました。

【おわりに】

本報告書は、3月14日に公表され、3月24日の男女共同参画会議において、この専門調査会の会長を務められた家本議員((株)クララオンライン代表取締役社長)から報告されました。

来年度概算要求等に向けて6月に政府が取りまとめる「女性活躍加速のための重点方針2017」に、本報告書に盛り込まれた取組を反映するための具体的な議論が、男女共同参画会議の下に置かれた「重点方針専門調査会」で行われます。

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