「共同参画」2017年5月号

特集1

第61回国連女性の地位委員会の開催
男女共同参画局総務課

本年3月13~24日に開催された第61回国連女性の地位委員会の概要をご紹介します。

第61回国連女性の地位委員会(CSW)が、2017年3月13日から24日まで国連本部(ニューヨーク)において「変化する仕事の世界における女性の経済的エンパワーメント」を優先テーマに、「女性と女児のためのMDGsの実施における成果と挑戦」をレビューテーマとして開催されました。


国連本部(ニューヨーク)


会場内の様子(開会式)

我が国からは、滝沢求政府代表(外務大臣政務官)、橋本ヒロ子日本代表(十文字学園女子大学名誉教授)の下、外務省、内閣府、厚生労働省、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の政府等関係者並びにNGO代表、ユース代表が出席しました。

CSWでは、各国代表や国連機関、NGO代表等によるステートメントの実施、優先テーマに関する閣僚級ラウンドテーブルや対話型専門家パネル、合意結論や決議についての協議等が行われました。

一般討論ステートメント

我が国は、開会3日目の15日(水)に橋本日本代表よりステートメントを実施しました。

ステートメントでは、安倍内閣が重要課題として掲げる「すべての女性が輝く社会」の実現に向けた国内の取組を紹介しました。また我が国の国際的なイニシアチブとして、昨年5月に開催したG7伊勢志摩サミットにおいて、G7議長国として、すべての関係閣僚会合で女性活躍について議論するとともに、G7サミットの歴史上初めて女性を優先アジェンダに掲げ、G7が率先して女性の能力開花のために具体的な行動を取るための「指針」を打ち出した旨強調しました。さらに、途上国における女性たちの権利の尊重、能力発揮のための基盤整備、そしてリーダーシップの向上を重点分野として、2018年までの3年間で総額約30億ドル以上の支援の実施を行う旨表明したことなどについて述べました。


橋本日本代表によるステートメント

閣僚級ラウンドテーブル

優先テーマに関する閣僚級ラウンドテーブルは、(a)「公共・民間セクターにおけるジェンダー賃金格差」、(b)「仕事の世界を変えゆく技術」、(c)「インフォーマル及び非標準的な仕事」、(d)「すべての人々の完全で生産的な雇用とディーセント・ワーク」の4つのテーマで開催されました。

我が国からは、滝沢外務大臣政務官が(c)のラウンドテーブルにおいて議長を務め、冒頭で未だ多くの国において女性が無報酬労働に時間を取られており、結果インフォーマルな形態や非標準的な仕事に従事せざるを得ない状況であることに触れました。こうした状況の解決のための我が国の施策として長時間労働削減やICT利活用を通じた家事・育児・介護等への男女参画に向けた環境整備の促進をはじめ、社会保障制度の整備、積極的に育児をする男性や、男性従業員が育児と仕事を両立するための取組を行う企業の表彰の実施等を紹介しました。議論においては、農村部及び家事労働のようなインフォーマル及び非標準的な形式の労働において女性の視認性を高めることや女性の権利を保護するための法整備の重要性等が強調されました。


閣僚級ラウンドテーブル(c)で議長を務めた滝沢政府代表

合意結論及び決議

今回のCSWの成果として、合意結論及び決議が2本採択されました。

「合意結論」では、教育・訓練・技能開発の強化、女性の経済的エンパワーメントのための経済的・社会的政策の実施、増加している労働の非正規性や女性労働者の移動性への対処、技術革新・デジタル革新への対応、女性の集団的発言権、積極的なリーダーシップや意思決定の強化、女性の経済的エンパワーメントのための民間セクターの役割の強化などが要請されています。

決議としては、「パレスチナ女性の状況及びその支援」及び「職場におけるセクシャル・ハラスメント解消決議」が採択されました。

サイドイベント

会期中、各国、国連機関、NGO等により様々なサイドイベントなどが開催されました。

今回のCSWでは、会期前半に日本政府がUN Womenと共催して「女性・平和・安全保障-女性のレジリエンスの促進-」と題するサイドイベントを開催したほか、国連日本代表部が日本のNGOと共催して「女性の経済力強化に向けての鍵」(共催:日本女性監視機構(JAWW)、国連NGO国内女性委員会、国際女性年連絡会)と題するサイドイベントを開催しました。

会期後半には、OECD開発センターとJICAの共催で「2030年に向けた女性の経済的エンパワーメントの障壁の克服:新たなデータ、政策、現場からの教訓」と題するサイドイベントを開催しました。


NGOサイドイベントの様子

UN Womenと共催したサイドイベントは2016年12月に開催されたWAW!2016のフォローアップ及び国際的な発信を目的としており、「紛争後復興における女性の経済的エンパワーメント」と「防災のための女性のレジリエンス強化」の2つのセッションでパネルディスカッションが行われました。また、NGOと共催したサイドイベントでは包括的且つ公平な教育、家事における男性の役割、男女間の賃金格差の根絶、経済的自立、仕事の多様性といった観点からスピーカーによるリレートークと議論が行われました。OECD開発センターとJICAの共催サイドイベントでは、女性の経済的エンパワーメントの障害や、それをどのように克服できるかについて、研究分析や、政策経験、現場での経験をもとに専門家による議論が行われ、包括的なアプローチを探りました。


日本政府・UN Women共催サイドイベントの様子


OECD・JICA共催サイドイベントの様子

来年の第62回CSWは、「Challenges and opportunities in achieving gender equality and the empowerment of rural women and girls(ジェンダー平等及び農村部の女性と女児のエンパワーメント達成のための課題と機会)」をテーマに開催される予定です。

第61回CSWホームページ:
http://www.unwomen.org/en/csw/csw61-2017

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