「共同参画」2017年2月号

特集

国際女性会議WAW!(World Assembly for Women:WAW! 2016)
─今年のテーマは「WAW! for Action」。女性の活躍推進に関する国内外の「行動」を国際社会が共に学び合い、今後の「行動」の加速化につなげる─
外務省総合外交政策局女性参画推進室

昨年12月13日・14日東京で開催された国際女性会議WAW!(WAW! 2016)について報告します。

World Assembly for Women (WAW!)とは

WAW!は、国際女性会議WAW!、英語でWorld Assembly for Womenの略称で、「ワウ!」と呼ばれています。日本の女性分野に関する取組を国内外に発信するため、安倍総理大臣のイニシアティブで2014年に第1回目のWAW!が開催されました。WAW!には、世界の様々な地域、国際機関から女性の活躍に関連する分野で活躍するトップ・リーダーが参加し、女性を取り巻く様々な課題について日本及び世界における女性のエンパワーメント、女性の活躍促進のための取組を議論します。

第1回、第2回のWAW!では、経済社会における女性の活躍に関連して、ワークライフ・マネジメントや起業、男性の関与、シングルマザー等のより困難な立場にある人の支援に加えグローバルな課題である平和構築や教育等の分野で女性に関連する課題を取り上げ、革新的な提言が出されました。

日本では、女性の活躍を推進する法律の完全施行、開発協力大綱に基づく「女性の活躍推進のための開発戦略」の発表など、取組を着実に進めています。

今回のテーマは「WAW! for Action」

WAW! 2016は昨年12月13日及び14日に行われました。テーマは「WAW! for Action」、女性の活躍推進に関する国内外の「行動」を互いに学び合い、共に行動していこうというメッセージです。2016年が、「女性活躍推進法」の完全施行や、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の実施元年であるなど、日本・世界にとって、何より「行動」の一年であったことを踏まえ、今次WAW!では、女性の活躍推進に関する国内外の「行動」を共有し、そこから得た教訓を基に、女性の社会進出を阻む固定観念からの脱却や意識及び制度の変革を訴えました。

12月13日:公開フォーラム

12月13日(火)に行われた公開フォーラムの冒頭で安倍総理は、「行動」を通じて「意識」を変え、あらゆる人が様々な制約を乗り越えて自分らしく活躍できるような社会を目指したい旨述べました。特に、今次WAW!で光を当てたい、「働き方改革」の推進、「女性の意思決定への参加とリーダーシップ」、そして「女性が担う平和で安全な社会づくり」の3つに関し、日本の具体的な取組や国際社会として共に進むべき方向性について発信しました。最後に、G7伊勢志摩サミットで女性アジェンダに力を入れた議長としての情熱は、その役割を終えても変わらないとして、途上国における女性のために、2018年までに総額約30億ドル以上の取組を着実に進める旨約束しました。

スピーチする安倍総理


12月13日オープニング 総理スピーチ

インスタグラムCOOであるマーニー・レヴィーン氏による基調講演では、テクノロジーの進化によって、女性を取り巻く労働環境を柔軟なものに変えられることが強調され、世界で活躍する女性リーダーの力強いメッセージが発信されました。


基調講演を実施するレヴィーン・インスタグラムCOO

続いて「女性が担う平和な社会づくり」「スポーツと女性」の2つのパネル・ディスカッションが実施され、活発な議論が行われるとともに、榊原定征経団連会長、小池百合子東京都知事、プムズィレ・ムランボ=ヌクカUN Women事務局長からの挨拶、アウン・サン・スー・チー ミャンマー連邦共和国国家最高顧問、澤穂希元サッカー女子日本代表からのビデオメッセージも届けられ、各界を代表する方々の登場とその言葉に、会場が魅了されました。


パネル・ディスカッションの様子

12月14日:ハイレベル・ラウンドテーブル/スペシャル・セッション

14日のハイレベル・ラウンドテーブルは、理系分野における女性の人材育成・活躍推進や女性のリーダーシップの推進、ワークライフ・マネジメント、健康・保健、平和・安全保障における女性の参画といった5つのテーマの下で行われ、活発な議論を通じ、参加者から具体的な提案が出されました。聴衆は、政府関係者、企業関係者、有識者、ジャーナリスト等15名程度で繰り広げられる知見や事例、アイディアの交流に熱心に聞き入りました。フロアからの質問や意見を求めるセッションもあり、会場が一体となり、熱心な議論が行われました。


ハイレベル・ラウンドテーブルの様子

H-1「STEM(科学・技術・工学・数学)分野における女性の人材育成・活躍促進」のテーブルでは、親、教師等のSTEM分野及びキャリアに関するバイアスが女性のキャリア選択に影響していること、女性STEM分野従事者のロールモデルがあまり知られておらず、STEM分野を目指そうとする若い世代の女性が自己のキャリアをイメージしにくいこと、また女性がSTEM分野に進学しない理由と障壁についてのデータの欠如等が課題として議論されました。提言としては、研究職以外でもSTEM知識を生かすことができる幅広いキャリアの可能性について発信することや女性のSTEM分野従事者のビジビリティを高め、学生が女性STEM分野従事者と実際に話して身近に感じることができるテック(技術)キャンプ等の機会を作ること等が挙げられました。

H-2「女性のリーダーシップの推進」のテーブルでは、企業等において女性リーダーを増やす際の障壁として、女性リーダーのロールモデルが少なく、女性リーダーについてバイアス等があることが挙げられ、女性がリーダーとして能力を発揮し活躍できる環境を作るためにどのような方策が必要かについて議論が行われました。

H-3「ワークライフ・マネジメント2.0」では、ワークライフ・マネジメントのための制度や政策等の更なる整備、そして人々の働き方と男女の役割分担についての意識変革を促進する必要性が議論されました。

H-4「女性の健康を考える─特に性と生殖に関する健康と権利の向上に関連して」では、性と生殖に関する健康と権利の問題は、様々な分野と密接に関係しており、法律、教育カリキュラム等、様々な側面からの包括的な取組が必要であり、特に男性・男児を含む個々人の意識を変える社会規範を変革していくこと等が提言されました。

H-5「平和・安全保障における女性の参画とエンパワーメント」では、平和・安全保障における女性の参画推進やジェンダーに基づく暴力根絶のための課題等が議論されました。

また、主要なリーダーや防衛学校の学生、関連行政官に女性・平和・安全保障に関する教育やジェンダー研修を行うこと等が提言として挙げられました。

これらに加え、本年は2つのスペシャル・セッションが実施されました。昨年に引き続き設置されたユース・テーブルでは「若者が作りたいジェンダー平等社会とは─現状と課題─」をテーマとして、国内で活躍する若者が課題を共有し、男性も当事者意識を持って女性と共に貢献していくことや、若者の声を恒常的に政策へ反映する仕組みを作ること、女性に差別的な法律を撤廃していくこと等の提言がなされました。

「地方からのイノベーション:女性が「真」に輝く社会とは?」をテーマとしたスペシャル・セッションでは、家父長制や性別役割分業といった固定観念や、意思決定の場に女性が少ないことが、女性の活躍における障壁となっていることが指摘されました。女性が地方で真に輝ける状況を作るためには、女性自身も周囲の目を気にしすぎずにチャレンジすること、技術や知識を身につけて同じ立場の人と連帯していくこと、外からの知識や情報を活用して変化を起こしていくこと等が挙げられました。


スペシャル・セッションの様子


スペシャル・セッションの様子

クロージング・セッションでは、各セッションのラポラトゥールから具体的提案を含む報告がなされ、本年の成果文書となるWAW! To Do 2016を策定することとなりました。

ムーブメントとしてのWAW!
対外発信の強化

今回のWAW!はこれまでにも増して事前広報に取り組みました。JR線の一部では、WAW!開催直前にトレインチャンネル(電車内の動画広告URL:https://www.facebook.com/shineweeks/videos/653892781457812/QRコードからもご覧いただけます)を通じた広報を実施した他、WAW!のFacebookページやTwitterといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の活用を積極的に展開しました。SNSを使用することで、これまでWAW!の存在を知らなかった一般の方やWAW!に参加できない国内外の方にも情報が行き渡り、WAW!当日前後には参加者同士による活発なやり取りが見られるなど、大きな反応が得られました。また、14日午前中のスペシャル・セッション(ユース・テーブル)をYouTubeでライブ配信するなど、初の試みも行いました。


トレインチャンネルの放映の様子


事前広報動画

トレインチャンネルQRコード

著名人から「女性が輝く社会に向けたアイディア」を集めた事前広報用動画は、Facebookページ上での再生回数が5.5万回を超え、67.7万人の目に触れるなど、WAW!の存在をより多くの一般の方々に知っていただくことができました(URL:https://www.facebook.com/shineweeks/videos/656201721226918/QRコードからもご覧いただけます)。

WAW!当日には、WAW!ムーブメントを共有するツールとして、前年に引き続きフォトブースを設置し、多くの参加者、聴衆が撮影に参加しました。

今回のWAW!も、アドバイザーや協力団体等多くの方の協力を得て、「女性が輝く社会」のメッセージを世界に発信することができました。

事前広報用動画QRコード


フォトブースの様子


フォトブースの様子


WAW! 2016 ポスター

外務省総合外交政策局女性参画推進室からのお知らせ

この度、当室が2015年3月に作成した「女性が輝く世界をつくる」(初版)を改訂し、第2版として発行しました。今回より、電子パンフレットでも閲覧いただけますので、外務省ホームページをご覧下さい。

パンフレットの入手をご希望の方は、総合外交政策局女性参画推進室(外務省代表 03-3580-3311)までお申し込み下さい。部数には限りがございますので予め御了承下さい。


女性が輝く世界をつくる(第2版)

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019