「共同参画」2016年8月号

「共同参画」2016年8月号

特集3

APEC 女性と経済フォーラム2016
内閣府男女共同参画局総務課

6月27日から30日まで、ペルー・リマにおいて、「APEC 女性と経済フォーラム2016」が開催されました。その概要と成果について、御紹介いたします。

ペルー共和国リマ市において、「APEC 女性と経済フォーラム」が4日間の日程で開催され、APEC域内の閣僚級、企業の役員級、起業家及び学識経験者らが参加し議論が行われました。日本からは、高木宏壽内閣府大臣政務官が日本代表団長として参加しました。

今次フォーラムでは、「グローバル市場における女性の経済的統合への障壁の突破」をテーマに、5つのサブテーマを議題として、経済成長や女性の経済参画について、APECエコノミー間における経験、情報及び優良事例の共有のための議論が行われました。

 APEC(アジア太平洋経済協力)とは、アジア太平洋地域の21の国と地域(「エコノミー」と総称しています。)が参加する経済協力の枠組みです。その経済規模は、世界全体のGDPの約6割、世界全体の貿易量の約5割及び世界人口の約4割を占めています。

女性と経済に関する官民対話〔PPDWE〕(6月27日)

初日のPPDWEにおいては、今次フォーラムの5つのサブテーマごとに分科会がもたれ、官民パネリストが登壇し、各エコノミーの代表団が6~7人規模で円卓を囲んで議論を行いました。

日本からは、「家事支援制度:包摂的な成長のための無償の家事・育児労働に対する認識、削減、再分配」の分科会に光畑由佳さん(有限会社モーハウス代表)がスピーカーとして参加しました。この分科会では、仕事と生活の調和のためには労働に関する制度を柔軟なものにすること、働く場での男女平等のためには性差に関わらずチャンスを提供できるような国内施策の企画立案に努めること等について意見をまとめました。


PPDWE
〔写真:APEC Peru 2016ウェブサイトより〕


PPDWE分科会
〔写真:APEC Peru 2016ウェブサイトより〕

女性と経済に関する政策パートナーシップ〔PPWE〕(6月28・29日)

各エコノミーから官民代表者が参加し、女性と経済に関する各エコノミーの取組の発表、議論などが行われました。

内閣府からは、華房男女共同参画局審議官が第4次男女共同参画基本計画、女性活躍のための重点方針、女性活躍推進法や公共調達において男女共同参画を促進する企業等を評価する取組など、日本国内における施策や取組状況を報告しました。

そのほか、APECにおいて実施している日本プロジェクト「2020年までに管理職に占める女性の割合を高めるための取組」(外務省)及び「女性役員登用好事例調査」(経済産業省)の実施状況について紹介するなど、日本の貢献について報告を行いました。

APEC BEST AWARD(6月29日)

サイドイベントとして、APEC域内における女性の起業の発展に対するマスメディア、実業界及び官界の関心を高めること等を目的とした表彰イベントが開催され、9エコノミーから12名が参加し、日本から、林文子横浜市長がオープニングスピーチを行い、光畑さんがプレゼンテーションに参加しました。このイベントにおいて、光畑さんは、自身が電車内で授乳せざるを得なくなった経験から女性の胸が見えない授乳服を開発して有限会社モーハウスを設立したこと、授乳ショー等の取り組みを行うことで子育てを身近なもの、自然なものととらえてもらう活動を紹介しました。

女性と経済に関するハイレベル政策対話〔HLPD〕(6月30日)

最終日のHLPDでは、各エコノミーの閣僚級が出席し、女性と経済に関する各エコノミーの取組方針等についてスピーチが行われました。

林文子横浜市長による基調講演では、「日本一女性が働きやすい、働きがいのある都市」を目指す横浜の取組を紹介しました。また、APEC全体での女性の経済参画の前進の必要性と根強く残る障壁について述べ、APEC地域が総力を結集すれば障壁を突破できると訴えました。

日本代表団長として出席した高木政務官は、日本国内の取組として、女性活躍推進法や公共調達における取組などを紹介、安倍政権における国際的な取組として、APECにおける日本プロジェクトの紹介のほか、WAW!(国際女性会議)を12月に開催すること、SDGs策定後初めてのG7サミット開催国として、伊勢志摩サミットと全ての関係閣僚会合で女性の活躍推進に向けたイニシアティブを主導していることなどを報告しました。また、APECメンバー同士で協力していくことの重要性について発言しました。

HLPDにおいて本フォーラムの成果である「APEC女性と経済フォーラム2016声明」が採択されました。


林市長(右端)による基調講演

会合での成果 ほか

今回の会議において、高木政務官は、各エコノミーの閣僚級との懇談や意見交換を行いました。ワイタ・ペルー女性社会的弱者省大臣とは、女性活躍に向けた両国の連携や政治分野における女性活躍の取組についての意見交換を行いました。また、来年の開催エコノミーであるベトナムのダム労働・傷病兵・社会問題省副大臣とは、来年の会合の成功に向けての両国の協力について意見交換を行いました。

このほか、高木政務官は今回のAPECへの出席に合わせてチリ共和国サンティアゴ市を訪問しました。

現地においてパスクアル女性・ジェンダー平等大臣と会談し、男女共同参画について意見交換を行うとともに、同市に本部があるECLAC(国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会)のバルセナ事務局長と会談し、APECとECLACの連携や男女共同参画について意見交換を行いました。


ワイタ・ペルー女性社会的弱者省大臣と二国間会談


バルセナECLAC事務局長と会談

APECに参加して
有限会社モーハウス代表 光畑由佳さん

今回のAPECでは、二度のスピーチの機会をいただきました。PPDWEでは、ケアシステム(家庭での無償労働への支援制度)について、またAPEC BEST AWARDでは、授乳服による母親支援と子連れ出勤について、現地の方による授乳の実演も交えてお話しました。いずれも、スピーチ終了後、多くの方々から賛同の声をいただき、各コミュニティに同様の課題があること、そしてその突破口が共通する可能性があることを感じる得難い機会となりました。


APEC BEST AWARDに参加する光畑さん
授乳の実演をした現地のお母さん・赤ちゃんと