「共同参画」2016年8月号

「共同参画」2016年8月号

特集1

「意識をカイカク。男女でサンカク。社会をヘンカク。」
平成28年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」開催報告
内閣府男女共同参画局総務課

男女共同参画週間の中央行事として、6月27日(月)東京国際フォーラム ホールC(東京都千代田区)において、平成28年度「男女共同参画社会づくりに向けての全国会議」が開催されました。
全国各地からおよそ900名の方々にご参加いただきました。

加藤大臣の主催者挨拶及び基調講演1

開会に当たり、加藤勝信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)は、主催者挨拶と基調講演1を行い「多様な価値によってイノベーションが創造される、活力あふれる社会を実現するためには、女性の活躍が不可欠。引き続き、私自身が先頭に立って、我が国における女性の活躍推進を牽引してまいります。」と話されました。

加藤勝信内閣府特命担当大臣

特別応援メッセージ

続いて、青山学院大学特別研究員の原監督から特別応援メッセージとして「4つのCをお届けしたい。1つ目のCは、チャンス。様々な意見に耳を傾けて一人ひとりにチャンスを与えることが大切。2つ目のCは、チェンジ。古き悪しき伝統に終止符を打ちましょう。3つ目のCは、チャレンジ。せっかくチャンスをいただいたら、一人ひとりの夢の実現のために前向きに果敢にチャレンジしていきましょう。最後のCは、クリエーション。男女の枠を超え、全ての日本国民が日本のよき未来を想像して一人ひとりが知恵を絞りだす、新しい日本の社会システムを構築していきましょう。」と力強いメッセージをいただきました。

最後に、男女共同参画週間のキャッチフレーズを会場のみなさんと一緒に掛け声を掛け合いました。

原 晋さん 青山学院大学特別研究員 陸上競技部長距離ブロック監督

基調講演2

村木厚子前厚生労働事務次官は、「誰もが活躍できる社会を目指して」と題して、基調講演2を行い、「男女共同参画を実現するためには女性だけでなく男性も仕事、家庭を大切にできる社会を作っていかなければならない。男性も女性もしっかり働ける社会作りが大事。女性活躍推進法が施行され、進展が期待される。うまくいっている組織には3つの共通点がある。1つ目はトップの意識。トップが断固たる決意を持っているところは、女性活躍が進んでいる。2つ目は座標軸を2つ持っていること。働きやすさを追求するだけでなく、働きがいも重要。頑張れば成長できるということを保証するとみんな頑張れる。3つ目は最初は女性のため、育児のために作った制度を男性のためや介護のためといったいろんな人が使える制度に普遍化していること。」とお話いただきました。また、後輩にアドバイスしていることとして、「昇進のオファーがあったら受けましょう。昇進は階段を昇ること。下の段にいたら見えなかったものが階段を1つ登ると見えるようになる。」と話され、最後に「この国のため、社会のため、女性活躍推進に社会全体が協力していく時代が来たと思う。男女共同参画をもっと前に、結果を出しながら進められたらと思っている。」と述べられました。

村木 厚子さん 前厚生労働事務次官

取組事例紹介

取組事例紹介は、「一般社団法人営業部女子課の会」代表理事の太田彩子さん、「特定非営利活動法人ワークライフ・コラボ」代表の堀田真奈さん、「株式会社コミュニティネット」代表取締役の今井房子さんにご登壇いただき、それぞれの取組についてご紹介いただきました。

取組事例発表者

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、最初に4名のパネリストから多様性やICTによる働き方改革に関して発表していただきました。

宇治則孝さんは、「テレワーク(在宅勤務などICTを活用した柔軟な働き方)推進のためには、トップの強力なコミットメントとマネジメント層の意識改革が重要。働くというのは、決まった時間オフィスに座っていることではなく、成果を出すことである。テレワークを導入する企業は、この新しい流れをなかなか理解できない中間管理職からトライアルしてはどうか。やってみたら良かった、という声も上がっている。世の中便利になっているが、働き方だけは不便なまま。男性も女性も働きやすくなるのが、本当の意味の男女共同参画社会だと思う。」と述べられました。

宇治 則孝さん 一般社団法人日本テレワーク協会会長

椿奈緒子さんは、「子どもを産むまでは女性とか考えず、仕事が大好きで働いてきたが、出産をしたとたんにワーキングマザーのジレンマに直面し、非常に不安になった。身近にロールモデルがいなかったため、周りを必至に探して、ワーキングマザーの先輩に話をたくさん聞いた。皆さんから仕事も子育てもすごく楽しい。と言われ、そこでその事実を知っている人と知らない人とのギャップを感じ、何とかしなければと思いパワーママプロジェクトを立ち上げた。パワーママプロジェクトでは、インターネット上で等身大のワーキングマザーの多様なロールモデルを紹介している。メディアや政治に積極的に声を出して活動を広めていきたい。」と述べられました。

椿 奈緒子さん パワーママプロジェクト主宰

東由紀さんは、自身の会社の取組も含め、「野村證券では、LGBT(注)などのセクシャルマイノリティの方々を、ダイバーシティの1つとして捉えて、理解を広める活動をしている。セクシャルマイノリティの方々が生きづらさや働きづらさを感じ、職場の中で力を発揮できずにいるということは、企業にとっては大変な損害であると野村證券では考えている。そういった人たちが差別や偏見なく、力を発揮できるように「アライ」(Ally=英語で同盟、支援者の意)を職場に増やす活動を推進している。男女だけではなく、色んな働き方、色んな価値観をダイバーシティとして定義し、研修と社員活動を通じて紹介し続けることが重要なポイントである。」と述べられました。


  • (注)LGBT
  • L:Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)
  • G:Gay(ゲイ、男性同性愛者)
  • B:Bisexual(バイ セクシュアル、両性愛者)
  • T:Transgender(トランスジェンダー、性別越境者、性同一性障がい)

東 由紀さん 野村證券株式会社 人材開発部兼人事部 タレントマネジメント・ジャパンヘッド

松山一雄さんは、会社の取組を中心に「サトーホールディングスでは、25年くらい前からダイバーシティに取り組んでおり性別や国籍などによる区分なく「個」のポテンシャルを引き出し、伸ばすことが経営戦略ではないかと考えている。ダイバーシティを推進する際に、推進委員会をつくり、その委員長をダイバーシティと縁の薄かった営業部門のトップにしたが、それが現場に落とすには非常に良かった。人生は1回しかないので、働き方、働く場所、何を大切にするかは、自分で決めること。自分自身が人生の主役である。」と述べられました。

松山 一雄さん サトーホールディングス株式会社 代表取締役執行役員社長最高経営責任者(CEO)

ディスカッションでは、コーディネーターを、木佐彩子さんにお願いし、来場者や木佐さんからの質問にパネリストの方々がそれぞれの立場からご回答いただきました。

木佐 彩子さん フリーアナウンサー

最後は、働き方改革を進めていくために必要なキーワードをそれぞれ発表していただき、盛況のうちにディスカッションは終了しました。


  • テレワークで働き方「ヘンカク」あたりまえに!(宇治さん)
  • 共感+シェアで社会を変える(椿さん)
  • 「フツウ」にしばられない。(東さん)
  • 一人ひとりを大切に(「さん付」から)(松山さん)