「共同参画」2016年7月号

「共同参画」2016年7月号

巻頭言

生産年齢人口が減少を始めてから、既に20年が経過した。労働力が希少になればその価格は上昇するはずだが、賃金がなかなか上昇してこない。その最大の原因の一つは、経済社会の多様性の欠如ではないか。なぜなら、賃金を決めるのは生産性であり、長時間労働の終身雇用型男性労働者に代表される同じタイプの働き手だけでは、生産性を引き上げる新しいアイデアが生まれにくい時代になっているからである。雇用の多様化については、若者、高年齢者、外国人それぞれに課題があるが、真っ先に取り組むべきであるのは人口の半分を占める女性の活躍推進である。

人権の尊重と男女の平等が、男女共同参画の考え方の基本であることはいうまでもない。ただ、それは経済の成長戦略と矛盾するものではない。むしろ、一億総活躍社会を目指すことが政策の柱となっている現在は、男女共同参画社会の実現に向けた取組みを加速させる絶好の機会である。経済成長とは、生産性を引き上げて所得を拡大することである。それは、思う存分働きたいという希望がかない、日々の生活の豊かさを高めることに他ならない。


(株)大和総研
主席研究員
鈴木 準

主な予定

7月16日〜8月31日 夏のリコチャレ2016 〜理工系のお仕事体感しよう!〜
8月5日 シンポジウム「イノベーション・競争力向上に向けた女性リーダーの役割
〜ハーバード・ビジネス・スクール教授による新しいリーダーシップ論」(福岡県福岡市)