「共同参画」2016年3・4月号

「共同参画」2016年3・4月号

取組事例ファイル/団体編

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言賛同者の取組

一昨年「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言が公表され、現在60名を超える男性リーダーが本宣言に賛同しています。今月は4名の賛同者の取組を紹介します。

女性が一層活躍できる社会の実現を目指して

日立ソリューションズでは、経営基盤強化の一環としてダイバーシティ経営を推進し、一人ひとりの個性を発揮することで、グローバル市場における多様なニーズに対応し成長を加速することを目指しています。こうした取組や成果が評価され、2015年には「ダイバーシティ経営企業100選」に選定されました。女性活躍のテーマについては、「2020 10・20・30」をスローガンに推進を強化しています。これは、2020年に向けた女性管理職比率の目標値を、全体で10%、45歳以下で20%、40歳以下で30%と当社の実態に合わせて年齢別に定めたものです。この目標実現に向け、計画的な女性リーダーの育成、早期キャリア意識醸成、戦略的な業務割り当てやワークスタイル改革に取り組んでいます。

2015年11月には「ダイバーシティ・ウィーク」を開催、約650名が参加し、経営とリーダーシップ、ワーク・ライフ・ソーシャルマネジメント、健康経営等のテーマを中心に有識者の講演や意見交換を実施しました。私自身も登壇してダイバーシティ経営強化への意志を表明しました。

社会で女性活躍を支援するためには、時間や場所を選ばないワークスタイルの実現や企業の枠を超えた協創環境の構築が重要です。この実現にはITの活用が必須であり、当社製品・サービスを基に、これまでの取組を活かした「ライフスタイル・イノベーション」の実現を目指しております。そして、次世代のワークスタイルとライフスタイルの実現に貢献します。


佐久間 嘉一郎
株式会社日立ソリューションズ 取締役社長


「ダイバーシティ・ウィーク」の様子



「育休復職セミナー」の様子


経営層一体で女性活躍を推進

日本生命では、マーケットにおける多様なお客様ニーズやその変化を捉え、新しい価値を提供することが企業の持続的成長を可能にするとの認識の下、ダイバーシティ推進を経営戦略と位置付け、取組を加速しています。

2015年度よりスタートした3カ年経営計画では、「中長期的な成長基盤の構築」と「揺るぎない国内No.1プレゼンスの確立」を目指し、その実現を担うべき人材の育成に注力すべく、私自ら座長となり「人財価値向上プロジェクト」を始動しました。中でも、従業員の約9割が女性である当社にとって女性活躍推進はその中核であり、両立支援、キャリア形成支援、管理職の育成と多面的に取組を展開しています。

とりわけ、将来に向け継続的に女性管理職を輩出できるよう、候補者の「層」を厚くすることに重点を置き、私自身も女性管理職や候補層と対話する場を設け、直接期待を伝え、意見交換をしています。役員も女性管理職のメンターを務め、経営層一体となって女性管理職の層作りに注力しています。

また、女性活躍を進めるには男性の意識変革も重要であり、男女の役割分担意識と長時間労働という2つの課題解決のために象徴的に取り組んだのが「男性育休100%取得」です。3年目を迎え、取組の定着、意識の変化を実感しています。

今後も、全従業員がキャリア全体を通じてその意欲・能力を最大限発揮できるよう、ダイバーシティ推進に取り組み、生命保険会社としての社会的責任を果たすべく持続的成長に繋げてまいります。


筒井 義信
日本生命保険相互会社 代表取締役社長


「女性管理職情報交換会」の様子


「女性管理職候補者研修」の様子


女性リーダー活躍のための取組

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、経営理念「我が信条(Our Credo)」のもと、全社的にダイバーシティとインクルージョンを経営戦略の一つとして捉え、性別・年齢・国籍・障がいの有無など、多様性をもつ社員がやりがいを持ち、持続的に働ける組織づくりを目指し、様々な活動を行っています。

グループ全社の社長や人事部と、社員の自発的な活動グループであるWomen’s Leadership Initiative(以下WLI)が連携して、女性リーダーの育成、昇進、人材の定着に向け、取り組んでいる点が特徴です。WLIは、社員の意識改革や社内の文化醸成を目的としており、2005年より活動を開始しました。2015年10月には300名規模の年次カンファレンスを開催、男性社員も多く参加し、外部講師による講演や、参加者のワークショップを通じ、“Change Leader”としてどのようにダイバーシティを推進していくかを真剣に議論しました。

また、最新の医療機器、医療関連製品を取り扱うメディカルカンパニーでは、戦略的優先課題のひとつとして「革新的なダイバーシティ戦略の策定と実行」を挙げています。特に営業職の女性比率向上に重点を置き、採用活動や制度面での改革等、様々な施策を実現させています。

海外の実態と比較すると、日本における女性リーダーの比率はまだ十分とは言えません。また、グローバルに活躍できる女性リーダーの育成も必須です。引き続き、女性社員にとってキャリアの自己実現が達成できるような環境作り、文化の醸成を進めて行きます。


日色 保
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 代表取締役社長、メディカル・カンパニー 代表取締役プレジデント

「WLI年次カンファレンス」の様子



「WLI年次カンファレンス」の様子

お客様の期待に応え続けるためのダイバーシティ

サトーグループではダイバーシティを経営戦略と位置付けています。なぜなら、日本人男性社員だけで当社の経営ビジョン“世界中のお客さまから最も信頼される、世界No.1の自動認識ソリューション企業になること”を実現するのは不可能だからです。変化する時代の中で多種多様なお客様の期待に応え続けられる企業とは、国籍、性別、年齢などが違う多様な社員一人ひとりが、企業理念という共通の価値観・行動規範で結ばれつつ、「個の強み」を活かして輝ける企業であると思います。

当社が「女性も高齢者も活躍できる会社」を目標に掲げたのは、ダイバーシティという言葉自体が浸透していない1990年代前半でした。典型的な男性社会であったシール業界で、敢えて女性だけの営業部隊を立ち上げたり、社外取締役・社外監査役・執行役員に複数の女性を登用するなど、独自の取組と試行錯誤を積み重ねてきました。そして2011年にはダイバーシティ推進を社長直轄とし、現場への浸透を図っています。

この20年で会社の空気は大きく変わりましたが、結果的に女性管理職比率が7.5%に留まっていることが最大の反省点です。私たちはこれを2020年までに25%に引き上げると決めました。この実現には、「皆、同じ働き方」が前提の人事制度、行動、意識を抜本的に変革しなければなりません。場所や時間やスタイルなどの社内事情にとらわれず「個の強み」を活かせる、真の顧客志向の働き方を確立してまいります。


松山 一雄
サトーホールディングス株式会社 代表取締役執行役員社長兼CEO


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