「共同参画」2016年3・4月号

「共同参画」2016年3・4月号

連載 その3 女性首長から

男性も女性も輝く社会のために
高萩市長 小田木 真代

高萩市市章

高萩市は、茨城県の北部に位置し、東に太平洋、西に阿武隈山系の多賀山地を有する自然豊かな土地です。関東一の紅葉と呼び声が高い「花貫渓谷」と、日本の渚百選である「高戸小浜」は自慢の観光スポットであり、シーズンには多くの観光客の皆様に楽しんでいただいております。

高戸小浜に連なって、万葉集にも「遠妻(とおづま)し 高にありせば 知らずとも 手綱(たづな)の浜の 尋ね来なまし」と詠まれた「ささき浜」という海岸があります。遠く昔から高萩を造ってきた白い岩肌の海食崖と白い砂浜のコントラストが美しい海岸は、北野武監督の映画「HANA-BI」をはじめ映画、テレビ等のロケ地として度々利用されています。

海も山もあり、自然豊かで住みよい街ですが、日本全国の課題である人口減少は本市でも顕著であり、ここ5年間では約2千人が減少しました。消滅可能性都市としての危機感を持ち高萩創生に早急に取組むべく、総務省から職員を招請し、本市職員や市民の皆様とともに、平成27年10月に高萩市創生総合戦略を策定したところです。

本市に生まれ育った私は、茨城県議会議員を4期15年務めた後、本市初の女性首長として就任してから丸2年が経過いたしました。茨城県議会は圧倒的に男性が多く、また本市の管理職も男性が9割を占めています。そのような環境の中でも、これまでの政治活動において私自身性別を意識して仕事に取り組んだことはございませんが、女性ならではの視点だと支持されたこともございます。一つの例として、市長に就任し最初に取組んだ施策の一つである子育て支援策です。定住人口の確保のためには、何より安心して子育てできる環境整備が必要であり、出会い、結婚、出産、子育てと各ライフステージでの切れ目のない細やかな支援を目指し、様々な事業を展開してまいりました。

本市においては、平成18年度に男女共同参画プランを策定し、男女共同参画社会の実現に向けた施策を打ち出しました。その結果、平成26年に実施した男女共同参画に関する市民意識調査では、「男は仕事、女は家庭」という旧来の性差役割に同感する方が10年前の調査より減少傾向にあり、役割意識の変化が起きております。

この役割意識の変化を受け、これまで以上に女性の社会進出・自己実現を促すために、平成27年度には、女性の活躍を応援する各種事業を実施いたしました。地元企業人事担当者や市民の方を対象としたワーク・ライフ・バランスの研修会や、女性の活躍に関する講演会を実施し、重点的に意識啓発に努めたところです。また、女性自身の意識を把握するために行った調査では、20代以上の女性の多くが、出産等で離職後の再就職支援を望んでいることが明らかになったところですが、離職しなくても出産等が安心してできる制度・環境づくり、またその具体的な支援方法と情報発信が今後の課題だと思っております。

国は成長戦略の一つとして女性の活躍を掲げました。女性ならではの考え方で日本を変えるためにも、目指すべきは、機会の平等。男性も女性も自分らしく輝く社会のために、市民の皆様のために、市民の皆様とともに、今後も各種事業を展開してまいります。

執筆者写真
おだぎ・まさよ/1963年生まれ/1999年から茨城県議会議員(4期15年、文教治安委員会正副委員長、議会運営委員会正副委員長等歴任)。2014年3月高萩市長就任(1期目)。薬剤師免許保有。基本理念は「責任ある行政」。/趣味はスポーツ観戦、音楽鑑賞。