「共同参画」2016年2月号

「共同参画」2016年2月号

行政施策トピックス3

消防本部における女性消防吏員の更なる活躍に向けた取組
総務省消防庁消防・救急課

■消防本部における女性消防吏員の状況

消防本部においては、昭和44年に初めて女性消防吏員(注1)が採用されたことに始まり、平成6年には「女子労働基準規則」の一部が改正され、消防分野における深夜業の規制が解除されました。これにより、女性消防吏員も24時間体制で消防業務に従事できるようになり、現在は救急隊員のほか消防隊員などの警防業務(注2)を含む交替制勤務を行う女性消防吏員が全女性消防吏員の約5割となっています。このように、少しずつ人数の増加や、職域の拡大が図られてきましたが、平成27年4月1日現在、全国の女性消防吏員数は3,850人で、全消防吏員に占める割合は、2.4%と、未だ低い水準です。

(注1)消防吏員:消防本部及び消防署に置かれる職員のうち、階級及び服制を有し、消防事務に従事する者

(注2)警防業務:火災の警戒及び鎮圧並びに災害の発生時における人命の救助その他の被害の防御等の業務

人口減少社会を迎え、防災力の低下が懸念される中、多様化・大規模化する災害に的確に対応するためには、これまで以上に自助・共助・公助が一体となって地域防災力を発揮していかなければなりません。消防・防災の分野においても女性が増加し、活躍することにより、住民サービスの向上、消防組織の強化につながることが期待されています。



過去10年の女性消防吏員数・割合の推移


■女性消防吏員の更なる活躍の推進に向けた消防庁の取組

○消防本部等に対し積極的な取組を要請

消防庁次長通知を発出し、消防本部等における積極的な取組を要請しました。

  • 女性消防吏員の全国の比率を、平成38年度当初までに5%に引き上げることを共通目標とする。各消防本部においては、数値目標を設定した上で計画的な増員に取り組むこと。
  • 適材適所を原則とした女性消防吏員の職域拡大のため、意欲と適正に応じた人事配置を行うこと。
  • 仕事と家庭の両立支援、キャリアパスイメージやロールモデルの提示など、ライフステージに応じた配慮が必要であること。
  • 仮眠室、浴室等女性専用施設の整備を計画的に進めること。     等

はしご車


はしご機関員として活躍する女性消防吏員(東京消防庁提供)


火災予防業務に従事する女性消防吏員(松本広域消防局提供)


○「見える化」の推進

女性消防吏員の活躍情報や活躍推進に係る取組状況について、消防庁のホームページに掲載しています。

○「ポジティブ・アクション」としての研修機会の拡大

平成28年度から、消防大学校において、幹部候補の女性消防吏員を対象とした専用コース(5日間の実務講習)を開講するなど、研修機会の拡大に取り組みます。

○積極的な広報の展開

消防吏員を目指す女性を増加させるため、地域ブロック別説明会の開催、ポータルサイトの開設など、情報発信の強化などに要する経費0.5億円を平成28年度消防庁予算に計上しています。

○財政的支援

消防本部における女性専用施設(浴室・仮眠室等)の整備を促進するため、財政的支援を講じることとしています。

■おわりに

安全・安心の確保に対する住民の皆様のニーズが高まり、消防の任務の重要性が増しています。今後、全国の消防が女性の活躍推進について、認識を共有しつつ全力で取り組んでいくことにより、地域防災力の更なる充実強化が図られ、更には消防組織の強化に資するものと考えています。