「共同参画」2016年2月号

「共同参画」2016年2月号

特集

第4次男女共同参画基本計画が策定されました
内閣府男女共同参画局推進課

平成27年12月25日に、「第4次男女共同参画基本計画」が閣議決定されました。今回の特集では、本計画の内容について紹介します。

1 はじめに

男女共同参画局では、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号。以下「基本法」という。)第13条に基づき、5年ごとに男女共同参画基本計画を策定し、政府一体となった取組を総合的かつ計画的に推進しています。

平成27年12月25日に閣議決定された第4次男女共同参画基本計画(以下「4次計画」という。)では、平成37年度末までの「基本的な考え方」並びに平成32年度末までを見通した「施策の基本的方向」及び「具体的な取組」を定めています。

図1:4次計画策定の経緯

2 策定の経緯

平成26年10月6日、安倍内閣総理大臣から男女共同参画会議に対し、4次計画策定に当たっての「基本的な考え方」について諮問がなされました。

同諮問に対して、男女共同参画会議は、会議の下に置かれた計画策定専門調査会、女性に対する暴力専門調査会及び監視専門調査会において、検討を行いました。また、広く国民から意見を求めるため、全国6か所での公聴会(参加者:881人)やパブリックコメント(意見数:3,616件)を行いました。それらの意見も踏まえて調査審議を進め、平成27年12月1日に「第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」を答申しました。

同答申を踏まえて策定されたのが今回の4次計画です。

3 目指すべき社会

4次計画では、「目指すべき社会」として、(1)個性と能力を十分に発揮できる、多様性に富んだ豊かで活力ある社会、(2)人権が尊重される社会、(3)男性中心型労働慣行が変革され、仕事と生活の調和が実現する社会及び(4)国際的な評価が得られる社会の4つを位置付けています。

図2:目指すべき社会

4 改めて強調している視点

4次計画で改めて強調している主なポイントとして、(1)女性が活躍する上では、多様で柔軟な働き方が選択できるかどうかが鍵であることから、長時間勤務や転勤が当然とされている男性中心の働き方等を前提とする労働慣行等を変革すること、(2)あらゆる分野における女性の参画拡大に向け女性採用・登用の推進のための取組や将来指導的地位へ成長していく人材の層を厚くするための取組を進めることとしています。(3)また、(女性活躍の裏で)困難な状況におかれている女性についても、きめ細やかな支援が必要であることから、そのための環境整備についての施策をしっかりと盛り込んでいるほか、(4)防災・復興関連施策の充実、(5)女性に対する暴力の根絶に向けた取組の強化、(6)国際的な規範・基準の尊重や、(7)地域における推進体制の強化などを盛り込んでいます。

図3:改めて強調している視点

5 構成

(1)政策領域及び政策領域目標

4次計画における政策目的を明確化し効果的な推進を図るため、(1)あらゆる分野における女性の活躍、(2)安全・安心な暮らしの実現、(3)男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備及び(4)推進体制の整備・強化、という4つの政策領域を大きな柱として定めるとともに、重点的に監視・評価すべき14項目の政策領域目標を設けています。


図4:政策領域目標一覧

(2)12の個別分野と推進体制

(1)~(3)の政策領域の下には、重点的に取り組む12の個別分野を設け、(4)推進体制の整備・強化と併せて、計71の成果目標を設定し、実効性のある具体的な取組を進めることとしています。

<政策領域1:あらゆる分野における女性の活躍>

【第1分野 男性中心型労働慣行等の変革と女性の活躍】

女性の活躍や、男女がともに暮らしやすい社会を実現するためには、長時間労働や転勤を当たり前とするような働き方等の「男性中心型労働慣行」の変革が必要との考え方の下、長時間労働削減などの働き方改革、家事・育児・介護等への参画に向けた環境整備、男女共同参画に関する男性の理解の促進、ポジティブ・アクションの推進による男女間格差の是正等について記載しています。

【第2分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大】

政府は13年前に、いわゆる「2020年30%」目標を掲げたものの、この目標は必ずしも国民運動と呼べるほどまでは社会全体で共有されず、第二次安倍内閣で「女性活躍」を最重要課題として主流化したことで、ようやく日本社会も変わり始めました。現在の国民の間の機運の高まりをチャンスととらえ、女性参画拡大の動きを更に加速していく必要があります。そのため、指導的地位に女性が占める割合が30%となるよう期待し、あらゆる努力を行うとともに、女性参画が遅れている分野においては、まずは将来指導的地位に成長していく人材プールを厚くするための取組を大胆に進め、将来の30%目標に着実に結び付けていく重要性を記載しています。また、具体的な施策として、政治・司法・行政・経済等の各分野における女性参画の拡大について記載しています。

【第3分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和】

М字カーブ問題の解消等に向けたワーク・ライフ・バランス等の実現、均等な機会・待遇の確保対策の推進(マタニティハラスメント等の根絶を含む)、ポジティブ・アクションの推進による男女間格差の是正、非正規雇用労働者の処遇改善、再就職・起業支援等について記載しています。

【第4分野 地域・農山漁村、環境分野における男女共同参画の推進】

地域活動や地方創生における女性の活躍推進に向けた環境の整備、農山漁村における女性の参画拡大や女性が働きやすい環境の整備について記載しています。

【第5分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進】

国際競争力を維持・強化し、多様な視点や発想を取り入れるため、女性の科学技術・学術分野での活躍が重要との観点から、女性研究者・技術者が働き続けやすい研究環境の整備のほか、そもそも諸外国に比べて女性研究者の割合が低水準にとどまっていることを踏まえ、女子学生・生徒の理工系分野の選択促進及び理工系人材の育成について記載しています。

<政策領域2:安全・安心な暮らしの実現>

【第6分野 生涯を通じた女性の健康支援】

男女が互いの性差に応じた健康について理解し合い、男女の健康を生涯にわたり包括的に支援するための取組、男女の性差に応じた健康支援の取組を総合的に推進するための取組、医療分野における女性参画拡大などについて記載しています。

【第7分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶】

女性に対する暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、その予防と被害からの回復のための取組を推進し、暴力の根絶を図ることが必要です。このため、予防と根絶のための基盤づくり、配偶者等からの暴力防止等、ストーカー対策、性犯罪対策、子どもに対する性的な暴力根絶、売買春対策、人身取引対策、メディアにおける性・暴力表現への対策等について記載しています。

【第8分野 貧困、高齢、障害等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備】

安全・安心な暮らしを実現する上では、貧困など生活上の困難に直面する女性等への支援も重要な課題です。このため、ひとり親家庭等の親子が安心して生活できる環境づくりや、子供・若者の自立に向けた力を高める取組について記載しています。また、高齢者・障害者・外国人等が安心して暮らせる環境の整備、さらに、性的指向や性同一性障害、女性であることで複合的に困難な状況に置かれている方々への対応についても記載しています。

<政策領域3:男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備>

【第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備】

男女の社会における活動や個人の生き方が多様化する中で、男女の社会における活動の選択に対して中立的に働くような制度・慣行の構築が必要です。働きたい人が働きやすい中立的な税制・社会保障制度・慣行、家族に関する法制等の検討のほか、待機児童の解消・介護離職ゼロ等の実現に向けた育児・介護の支援基盤の整備等について記載しています。

【第10分野 教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進】

男女共同参画社会を実現していく上では、固定的な性別役割分担意識や性差に対する偏見の解消、人権尊重を基盤とした男女平等観の形成などが大きな課題となります。その取組の根幹となる国民的広がりを持った広報・啓発の展開や、男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実等について記載しています。

【第11分野 男女共同参画の視点に立った防災・復興体制の確立】

4次計画が震災後初の計画となることを踏まえ、防災・復興を一つの独立した分野として立てるとともに、防災施策への男女共同参画の視点の導入、東日本大震災からの復興施策への男女共同参画の視点の導入、国際的な防災協力について記載しています。

【第12分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献】

女子差別撤廃条約等の国際的な規範、国際会議等における議論への対応や、男女共同参画に関する分野における国際的なリーダーシップの発揮について記載しています。

<政策領域4:推進体制の整備・強化>

男女共同参画社会の実現に向け、基本計画で掲げる広範かつ多岐にわたる取組を着実に展開し、実効性を確保するためには、国、地方及び民間における推進力を一層強化する必要があります。こうした観点から、国内本部機構の強化、男女共同参画の視点を取り込んだ政策の企画立案及び実施のほか、地方公共団体や民間団体等における取組の強化等を記載しています。

図5:施策の基本的方向と具体的な取組


6 今後の予定

平成28年2~3月に、4次計画を勘案した都道府県男女共同参画計画、市町村男女共同参画計画の策定、必要な取組の促進等を図るため、地方公共団体向け説明会を開催予定です。

また今後、4次計画における主要な施策の進捗状況について、男女共同参画会議において、毎年度の予算編成等の動きと連動させた形でフォローアップしていくとともに、毎年6月を目途に、男女共同参画会議の意見を踏まえ、女性活躍加速のための重点方針を決定し、各府省の概算要求に反映させることを予定しています。

7 関連資料

4次計画の概要、本文、参考指標及び関連した用語解説については、下記リンク先を御覧ください。

http://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/4th/index.html