「共同参画」2015年 11月号

「共同参画」2015年 11月号

連載 その3 女性首長から

新たな人材育成を目指して
島田市長 染谷 絹代

島田市市章


島田市は、静岡県の中央に位置し、市の中央部を大井川が流れています。「箱根八里は馬でも越すが 越すに越されぬ大井川」と歌われたように、最も困難な渡渉河川でした。川留めにより多くの人々が島田宿・金谷宿に逗留し、さまざまな文化がもたらされ、大井川中流域の中核都市として発展してきました。

また、市域315km2のうち北部地域を中心に、面積の3分の2を占める緑豊かな森林が広がり、南部は一級河川・大井川の扇状地牧之原台地からなっています。牧之原台地には、明治の初め勝海舟らの協力を得て、入植した旧幕臣らによって開墾された東洋一の大茶園が広がり、新茶の季節に眼前に広がる市の光景は、大井川の清流がそそがれる駿河湾や世界文化遺産の霊峰富士の眺望と一体となった雄大なものです。

本市は、平成17年5月の旧島田市と旧金谷町との合併により、新たな島田市として誕生しました。そして、平成20年4月の旧川根町との合併を経て、本年5月には新市誕生10年を迎えました。1つのまちとして礎を築いてきた10年であり、今年度はこれからの島田市が飛躍する大きな節目の年となります。また、この5月は私にとって市長就任から2年、任期4年の折り返し地点となりました。この2年の間に、年齢や性別、社会的な地位や立場を離れ、島田市の未来を自由に語り合い、まちづくりへの夢を描く場である「ゆめ・みらい百人会議」等で、市民の皆様のご意見やご提案を市政に反映する努力をしてきました。しかし一方で、市が設けている審議会の委員や地元町内会の役員の方々のほとんどが男性、さまざまな場における女性の進出はまだまだ少ないと常々感じています。このようなことを踏まえて、島田市における男女共同参画社会実現に向けての取り組みの1つを紹介します。

本市には、明治9年7月30日に行われた浜松県公選民会の代議人選挙において、日本で初めて市内の女性が投票権を行使したという歴史があります。この史実にちなんで、平成19年に島田市男女共同参画推進条例を制定し、7月30日を「島田市男女共同参画の日」として定め、平成26年度からこの日に「女性議会」を開催しています。この「女性議会」は、男女共同参画への関心と理解を深めることを目的としていますが、女性の参画を拡大する最も効果的な施策の一つとして位置づけています。今年度参加された8人からは福祉、情報発信の方法、教育の地域格差といった質問のほか、出産等のサポートや子育て支援等女性ならではの視点による活発な意見や質問をいただきました。開催後の参加者アンケートでは、「このような機会をこれからも続けていくと、女性の視点も生かされると思った」「もっと政治に興味を持たなければならないと思った」等のご意見をいただき、こういった方々が政治に興味を持ち、市議会議員を目指す女性が増えることを期待しています。また、傍聴者や新聞等をご覧になった方への刺激となり、新たな人材育成に繋がることも期待しています。

男女共同参画社会の実現のためには、行政による取り組みだけでなく、市民、企業および各種団体の皆様が一層の連携を図り、一体となって推進することが必要となります。

これからも市民の皆様とさまざまな事業を実施してまいりたいと思います。

執筆者写真
そめや・きぬよ/1954年生まれ/2003年から島田市教育委員(9期、2008、2010から2012年度委員長)、2005年から静岡県男女共同参画センター理事(4期)。2011年文部科学省中央教育審議会臨時委員。2013年5月島田市長就任(1期目)。静岡県ふじのくに防災士。/座右の銘は「春風秋霜」。/趣味は読書、ドライブ。