「共同参画」2015年 10月号

「共同参画」2015年 10月号

行政施策トピックス2

「まちのにぎわいをみんなで創る~男女共同参画の視点から~」
復興庁男女共同参画班

復興庁男女共同参画班では、復興に男女共同参画の視点が必要であることを理解していただくための活動を行っています。今回は、宮城県亘理町で行われたワークショップ「まちのにぎわいをみんなで創る~男女共同参画の視点から~」の様子をご紹介します。

【はじめに】

このワークショップは、亘理町で毎年開催されている「女(ひと)と男(ひと) 共に学ぶ町民(みんな)のつどい」の一環として実施されました。

亘理町では、この「町民(みんな)のつどい」開催のため、実施委員会が設置されており、ワークショップは、この実施委員会のメンバーが参加して行われました。メンバーは町内の団体等から男女合わせて約30名で構成されています。

ワークショップは、5~7月の毎月1回(計3回)行われ、復興に向けて「まちのにぎわい」を創るために、男女共同参画の視点を持ちながらどのようなことをすべきか、が話し合われました。


グループ発表の様子(1)


グループ発表の様子(2)


意見交換の様子

【第1回:亘理町の現状を把握】

第1回は、「まちのにぎわいを創る」観点から、参加メンバーが(1)「自分ができること、やりたいこと」を出し合い、(2)「亘理町には何があるのか、何が不足しているのか」を共有する作業を行いました。

この結果、豊かな自然や温泉などの資源や、「はらこ飯」などの特産品はある一方で、これらの活用があまりできていない、町内だけでなく町外から来る人にとっても交流の場が少ない、という課題があげられました。これらを受け、(3)実際にできたらいいな、と思うことをまとめる作業を行いました。この結果、里山散策コースの整備や史跡めぐりコース・散歩コースの検討、お金のかからない健康づくり(ICTの活用)、保養センターで出す「料理コンテスト」や町全体での「祭り」の実施などがあげられました。また、このほかの意見として、亘理町には女性の行政区長がいないので、今後は女性の行政区長さんを期待する、といったものが挙げられました。

【第2回:意見をブラッシュアップ】

第2回は、第1回のワークショップで出された意見を、異なる視点でブラッシュアップするため、グループのメンバーを入れ替えて意見交換を行いました。また、1回目のワークショップでICTの活用についての情報提供の要望もあったことから、それも行いました。

意見交換の結果、(1)亘理町の良さ(自然・特産物など)を(ICT等の活用もしつつ)PRする、(2)桜の名所めぐり、観光地めぐりなど、目的別の自然を活用したハイキングコースを作成する、というように、第1回で出された意見がより具体化されました。その一方で、様々な活動はされているが核となるものがない、情報の共有・交換、人の交流ができていない、特に若い世代の参加が少ない、というような課題も出されました。

これらの意見や課題を基に、(1)高齢者と若い世代の交流促進の場を作る、(2)子どもを中心とした、若い子育て世代や高齢者を巻き込んだイベントを企画・開催する、(3)駅を基点とした、観光や健康増進につながるマップ作り、(4)若い世代が安心して子育て・生活ができるまちづくり、の4つにまとめられました。

【第3回:男女共同参画の視点で取り組めるものを考える】

第3回は、これまでのグループワークでまとめられたものの中から、(1)町民自らがにぎわいを創りだす(=内側のにぎわい)、(2)町の外から人を呼び込み賑わいを創る(=外からのにぎわい)、という視点で整理し、まとめ、(3)まとめられたものについて男女共同参画の視点から必要となることを考え、最終的に3つに集約することとしました。

この結果、「内側のにぎわい」としては、(1)町や地域単位でのゲーム大会・運動会等を実施、(2)花植えや草取りなど誰でも参加できる小さい事から始める、(3)「里山クラブ」を作り活動する、が挙げられ、外からのにぎわいとしては、(4)里山を周遊できるハイキングコースを作る、(5)高校生が高齢者に教えるICT教室を開催し、情報発信を行う、が挙げられました。

これらについて、男女共同参画の視点から見た場合に何が必要となるかを考えながら意見交換を進めましたが、内側のにぎわいを作り出すためには、子どもだけでなくその親の参加も必要であるとの意見が出され、子育て世代の親も参加しやすい時間や日の設定に配慮したり、学校と連携して行事を開催する必要があるとの意見が出されました。また、外からのにぎわいについては、高校生を中心とした若い世代と高齢者が相互に交流し、ICTを活用したPRや情報発信ができるような工夫が必要、ハイキングコースの設定に当たっては、女性や障害者が利用できるトイレや休憩所をマップに示す、などの意見が出されました。

これらの意見を基に、最終的に(1)高齢者と若い世代の「交流促進の場づくり」や子どもから高齢者が一緒に参加できる「イベントの企画」、(2)若い世代が安心して子育て・生活ができるまちづくりを通じた「まちの活性化」、(3)駅を基点とした、観光や健康増進につながるマップ作り、の3つに集約されました。

このワークショップ結果は、8月1日に開催された「町民のつどい」で発表されました。

【ワークショップ全体を通じて】

3回にわたり、「まちのにぎわいをみんなで創る」というテーマについて、男女共同参画の視点を持ちながら考えてきました。当初、参加者の中には「このワークショップのどこが男女共同参画なのかがわからない」と思っていた人もいたようですが、最後には「このワークショップ自体が男女共同参画なんですね」という意見も聞かれるまでになりました。さらには、このグループワークに参加された人たちの間で里山クラブを結成するという話も具体的に進んでいました。

【おわりに】

男女共同参画は、特定の分野の話ではなく、日常生活のあらゆる場面で必要とされるものです。このことは、復興においても同様で、今回のように東日本大震災で受けた被害を克服し、「まちのにぎわいを創る」ことを考える場合においても、男女共同参画の視点を持ちながら考えることでよりよいアイデアにつながっていくものと思います。

復興庁男女共同参画班では、引き続き、一日も早い復興に貢献できるよう、活動を続けて参ります。