「共同参画」2015年 9月号

「共同参画」2015年 9月号

特集2

配偶者からの暴力に関するデータ─配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数等─
内閣府男女共同参画局推進課暴力対策推進室

配偶者暴力相談支援センターは都道府県及び市町村において、配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護の中心的な役割を担う機関です。内閣府では配偶者暴力相談支援センターが平成26年度に実施した被害者からの相談件数について調査を行いました。

1 配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数(図1)

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(以下「配偶者暴力防止法」という。)に基づき、都道府県は、婦人相談所その他の適切な施設において配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすようにする義務があります。

また、市町村は、平成19年の配偶者暴力防止法の改正によって、適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすようにするよう努める義務があります。

全国247か所(うち74か所は市町村が設置)の配偶者暴力相談支援センターにおける平成26年4月1日から平成27年3月31日の1年間の相談件数は102,963件で、前年度(99,961件)を3,002件(3.0%)上回っており、配偶者暴力防止法における配偶者暴力相談支援センターに係る規定が施行された平成14年度の相談件数の約2.9倍となっています。

図1 配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数


内訳をみると、来所による相談が31,855件(前年度比1,795件、6.0%増)、電話相談が65,895件(同1,098件、1.7%増)、その他5,213件(同109件、2.1%増)となっており、電話による相談の割合が全体の64.0%と最も高くなっています。

性別にみると、女性からの相談が101,339件で全体の98.4%を占めており、男性からの相談は1,624件で全体の1.6%となっています。

加害者との関係をみると、配偶者(事実婚を含む。)が87,304件で全体の84.8%、離婚済みが12,694件で12.3%、生活の本拠を共にする交際相手(元交際相手を含む。)が2,965件で2.9%となっています。(表1)

表1 相談の種類別相談件数


その他、配偶者暴力防止法第6条に基づく、配偶者等からの暴力を受けている者を発見した者からの配偶者暴力相談支援センターへの通報件数は6,876件となっています。

また、配偶者暴力防止法の対象とはならない交際相手からの暴力被害を受けた者からの相談も婚姻関係に至った場合における暴力の予防という観点から、配偶者暴力相談支援センターで対応していますが、その件数は3,300件で、そのうち女性からの相談が3,233件で全体の98.0%を占めており、男性からの相談は67件で全体の2.0%となっています。これらの他に、交際相手からの暴力に関する被害者の親族等、被害者以外からの通報件数は553件となっています。(表2)

表2 交際相手からの暴力に関する相談件数


ストーカー行為等の規制等に関する法律第8条の規定に基づき配偶者暴力相談支援センターが実施したストーカー行為等に関する相談件数は1,587件で、そのうち女性からの相談が1,524件で全体の96.0%を占めており、男性からの相談は63件で全体の4.0%となっています。(表3)

表3 ストーカー行為等に関する相談件数


2 警察における配偶者からの暴力事案等の認知件数(図2)

警察庁の調べによると、平成26年に都道府県警察において、配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者の相談等を受理した件数は59,072件で前年比9,539件、19.3%増となっており,生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手方からの暴力事案は7,402件となっています。

平成14年に比べ、認知件数は約4.2倍となっています。

図2 警察における配偶者からの暴力事案等の認知件数


3 婦人相談所における一時保護件数(図3)

配偶者暴力防止法に基づく被害者及びその同伴家族の一時保護は、婦人相談所又は厚生労働大臣が定める基準を満たす施設において行われています。

婦人相談所は、売春防止法に基づき各都道府県に1つ以上設置されています。

厚生労働省の調べによると、平成25年度の婦人相談所における一時保護件数は11,623件で、前年比58件、0.5%増となっています。

内訳をみると、夫等の暴力を理由とする者が4,366件で全体の37.6%、夫等の暴力を理由とする者以外が1,759件で15.1%、同伴する家族が5,498件で全体の47.3%となっています。

図3 婦人相談所における一時保護件数


4 配偶者暴力防止法に基づく保護命令事件の既済件数(図4)

保護命令とは、配偶者から身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者が、その後、配偶者から受ける身体に対する暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、被害者からの申立てにより、地方裁判所が配偶者暴力防止法に基づき配偶者に対し発するものです。保護命令の種類には、被害者への接近禁止命令、被害者の子又は親族等への接近禁止命令、電話等禁止命令及び退去命令があります。

最高裁判所の調べによると、平成26年の既済件数は3,125件で、前年比141件、4.7%増となっています。うち、認容(保護命令発令)件数は2,528件で、前年比216件、9.3%増となっています。

図4 配偶者暴力防止法に基づく保護命令事件の既済件数


5 配偶者間における犯罪の被害者(図5)

警察庁の平成26年の犯罪統計によると、配偶者間で行われた殺人の検挙件数157件のうち、女性配偶者が被害者であった割合は58.6%(92件)となっています。

同じく、傷害2,697件の94.5%(2,550件)、暴行2,953件の94.0%(2,775件)の被害者が女性配偶者となっています。

図5 配偶者間(内縁を含む)における犯罪の被害者(検挙件数の割合)


調査結果は、男女共同参画局ホームページ(http://www.gender.go.jp/e-vaw/data/index.html)でご覧になれます。

配偶者暴力防止法における配偶者の定義には、法律婚の相手方及び事実婚の相手方の他、平成16年12月2日以降は元法律婚の相手方及び元事実婚の相手方を、平成26年1月3日以降は生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係にある相手及び元生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいなかったものを除く。)をする関係にあった者を含みます。