「共同参画」2015年 3・4月号

「共同参画」2015年 3・4月号

連載 その2 女性首長から

男女ともに輝く町をめざして
長瀞町長 大澤 タキ江

長瀞町町章

長瀞町は面積30.4km2、約60%が山林であり、町の中央部を縦貫する荒川の流域に細長く開けた町です。埼玉県で2番目に人口の少ない市町村ですが、自然豊かな観光地として栄えてきました。都心から約80kmの地の利を生かし、四季を通じて230万人もの大勢の観光客・アウトレジャー客にお出で頂いています。

歴史や文化のある町ですが、少子高齢化の波は如何とも避け難く、人口減少に歯止めがかからないのが実情です。

私が町長に就任した平成25年7月には7,690人の人口でしたが、一年後には7,650人、現在でも少しずつ減少しています。

当然、町でも、この状況に危機感を持っており、「若者定住促進・子育て支援」など、若者が住みやすい環境、子育てしやすいまちづくりを進め、人口減少に歯止めがかかるよう対策を講じています。引き続き、少子化の波を少しでも抑えるため、町民、職員など大勢の人の英知を結集し「地方創生」事業を活用し、消滅自治体とならぬよう力を尽くしていく所存です。

さて、私は、平成11年4月に長瀞町初の女性議員として、平成25年6月までの14年間、議員という立場から女性の社会進出やまちづくり活動に参加してまいりました。その後、町長に就任したわけですが、埼玉県唯一の女性の首長ですので、様々な会議にお声が掛かり、勉強させていただいておりますが、平成26年7月には、埼玉県男女共同参画審議会委員を拝命いたしました。

早速、昨年9月に城西大学で開催されました、「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」に参加し、学生と外国人女性お二人の意見交換に耳を傾けました。お二人とも、それぞれの国でリーダーとして働く女性でしたが、働く女性の悩みは、どこの国でも同じだと共感した次第です。「家族の協力と理解、社会・職場の受入れ態勢」これらが整っていないと家庭と仕事の両立は大変だと思います。お二人とも少しずつ切り開きながら現在の地位を得たようで、その努力は並大抵ではなかったと思います。

また、私は公約の一つとして、女性議会と子ども議会の開催を掲げています。社会の構成員の半数は女性ですので、女性の意見や考えを政治、産業、文化などあらゆる分野で反映させることは、男女共同参画社会の基礎となると考えています。また、これからのまちづくりには、町の宝である子供たちの意見もかかせません。

しかし、長瀞町の実状はと言いますと、決して女性が活躍している状況ではありません。女性職員の比率は、31%で、そのうち管理職員は、9%です。女性職員の登用も目指していますが、選考には男女差は設けておりません。積極的に意見、行動ができる職員が育って欲しいと願っています。また、行政委員や附属機関の女性委員の割合も20%程度でまだまだ低い状況にあります。しかし、昨年、農業委員に2名の女性を選任することが出来ました。少しずつではありますが、男女共同参画社会の実現に向けた意識改革、地域づくり、まちづくりが進んでいる状況です。

今後も、男女の差別なく共に頑張れる町を目指して町政運営に勤めてまいりたいと思います。

おおさわ・たきえ/1947年生まれ/埼玉県立深谷女子高等学校/長瀞町議会議員4期14年、その間、長瀞町議会議長を歴任。長瀞町農業委員会委員。長瀞町赤十字奉仕団委員長。
2013年7月長瀞町長に就任。2014年6月から埼玉県男女共同参画審議会委員