「共同参画」2015年 3・4月号

「共同参画」2015年 3・4月号

特集1

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2014(概要)仕事は「時間」から「質」の社会へ
〜 もっと進めよう ワーク・ライフ・バランス!国が、地方が、企業が、私たちが 〜
内閣府男女共同参画局仕事と生活の調和推進室

ワーク・ライフ・バランスに関する最新の情報についてご紹介します。

仕事と生活の調和が実現した社会に向けては、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(平成19年12月策定、平成22年6月改定)に基づき、官民一体となって、様々な取組が進められていますが、「仕事と生活の調和連携推進・評価部会」では、「行動指針」の数値目標に向けての取組の進捗状況について点検・評価し、政策への反映を図っています。その成果は、毎年「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート」にまとめ公表しています。

以下、最新の情報と今後の課題についてご紹介します。

1.長時間労働の現状について

週労働時間60時間以上の雇用者の割合は、2010年から3年連続で低下しています(図表1)。これを業種別に見ると、2013年では「運輸業、郵便業」、「建設業」が高くなっています(図表2)。

図表1 週労働時間60時間以上の雇用者の割合


図表2 業種別の週労働時間60時間以上の雇用者の割合の推移


2.休暇取得の現状について

年次有給休暇取得率は、2000年以降は50%を下回る水準で推移しています(図表3)。これを企業規模別に見ると、企業規模が大きいほど取得率が高くなっています(図表4)。また、計画的付与制度の有無別に見ると、いずれの企業規模においても、制度を有する企業の方が、年次有給休暇取得率が高くなっています (図表5)。

図表3 年次有給休暇の取得率


図表4 企業規模別の年次有給休暇取得率


図表5 年次有給休暇取得率(企業規模別、計画的付与制度の有無別)


3.女性の就業継続の現状について

第1子出産前後の女性の継続就業率は4割弱で推移し、長期的にほぼ横ばいで推移しています(図表6)。これを職員とパート・派遣等に分けて見ると、正規の職員は就業を継続している者の割合が5割を超えていますが、パート・派遣は就業を継続する者の割合が2割に達していません(図表7)。

図表6 第1子出産前後の女性の継続就業率


図表7 出産前有職者の就業継続率(就業形態別)


4.男性の家事・育児参画の現状について

●男性の育児休業取得率は、約2%(2013年)と非常に低い水準で推移しています(図表8)。また、6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事関連時間は、67分(2011年)と数値目標に対し低水準で推移しています(図表9)。また、6歳未満の子どもを持つ夫については共働き世帯でも約8割が全く(※)家事を行わず、約7割が全く育児を行っていません(図表10)。

(※社会生活基本調査においては、15分単位で行動を報告することとなっているため、短時間の行動は報告されない可能性があることに留意が必要。)

図表8 男性の育児休業取得率


図表9 6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事関連時間


図表10 6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事関連の行動者率


5.仕事と介護の両立の現状について

●介護や看護を理由とした離職・転職者数は、1年間(2011年11月〜2012年9月)で約10万人であり、女性が80.3%を占めています(図表11)。仕事と介護の両立に必要な勤務先による支援については、「出社・退社時刻を自分の都合で変えられる仕組み」や「残業をなくす/減らす仕組み」、「介護サービス利用費用の助成」などが挙げられています(図表12)。

図表11 介護・看護を理由に離職・転職した者


図表12 仕事と介護の両立促進のために必要な勤務先による支援


6.今後の課題

長時間労働の抑制や希望する方の年次有給休暇取得促進に向けて、労使において、意識の改革や職場の雰囲気づくりに取り組むことが必要です。また、経営者の主導の下、短時間で質の高い仕事を評価する仕組みの構築や仕事を代替できる体制づくりなどの雇用管理の改善が重要です。長時間労働の状況は業種によって違いが大きいため、業種に応じた重点的な取組とその支援が必要です。さらに、年次有給休暇取得率は、企業規模によって違いが大きいことや、計画的付与制度を有する企業の方が取得率が高い傾向にあることから、企業規模に応じた取組や、年次有給休暇の「計画的付与制度」の一層の普及・促進を図ることが必要です。

男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備に向けて、育児休業、短時間勤務やテレワークなどの多様で柔軟な働き方を可能とする環境整備が必要です。その際には、増加傾向にある非正規雇用の労働者についても、多様で柔軟な働き方を可能とする制度の利用促進を図ることが重要です。

あわせて、男女がともに仕事と子育てを両立し、その責任を担うためには、子育ての社会基盤の整備が必要です。このほか、女性が就業を継続していくためには、女性がキャリアを活かして様々な職域・職階で活躍できる環境整備も必要です。

男性が仕事と育児を両立するためには、育児を積極的にする男性「イクメン」の普及など職場や男性を取り巻く人たちを含め、男性の働き方や意識の改革を進めることが必要です。

さらに、子どもの頃からの男女共同参画の理解の促進に向けた取組や男女共同参画について国民的広がりを持った広報・啓発活動を展開することが重要です。

仕事と介護の両立に関しては、高齢化が進展する中、多様で柔軟な働き方ができる環境の整備や、社会全体で高齢者介護を支える仕組みやその周知が必要です。

2020年の目標数値に向けた進捗状況に遅れがみられる指標については、その改善を図るため、労使はもとより、各主体の取組を支援する国や地方公共団体においても、本レポートで明らかとなった課題への対応について検討し、仕事と生活の調和の実現に向けた取組を加速していきます。

詳しくはこちら↓
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-14/zentai.html

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