「共同参画」2014年 11月号

「共同参画」2014年 11月号

特集2

“WAW! Tokyo 2014”(「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」)─日本から世界へ発信!─
外務省総合外交政策局女性参画推進室


輝く女性応援会議 in 京都
内閣官房女性が輝く社会づくりチーム/内閣府男女共同参画局総務課

輝く女性応援会議ロゴ


wawロゴ


9月12日・13日に東京で開催された“WAW! Tokyo 2014”(「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」)と15日に京都で開催された「輝く女性応援会議 in 京都」について報告します。

総理スピーチ
総理スピーチ

総理スピーチ全体 9月13日のオープニング
総理スピーチ全体
9月13日のオープニング


はじめに

安倍政権は、全ての女性が活躍できる社会づくりを最重要課題の一つとして位置付けています。女性が生き生きと自信と誇りを持って働き、そして多くの方が女性の活躍促進に賛同し、応援していただける社会づくりに取り組んでいます。今特集では、安倍総理のイニシアティブにより、9月12日・13日に東京で開催された“WAW! Tokyo 2014”(「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」)と15日に京都で開催された「輝く女性応援会議 in 京都」について報告します。

WAW! Tokyo 2014の特色

2013年9月に行われた第68回国連総会一般討論演説で、総理はウィメノミクスに言及し、女性の社会進出は経済に成長をもたらすこと、そのため、女性が活躍できる社会をつくる必要性について国際社会に訴えました。総理の女性政策への意気込みは、クリントン前米国務長官の「彼は、言うだけでなく、実行する人」という言葉からもうかがえます。総理は12日・13日と両日の会議に参加しましたが、13日のハイレベル・ラウンドテーブルにおいては、全ての小グループに参加し、参加者と活発に議論を交わしました。また、本会議には、大臣、国会議長、6つの国際機関、そして民間企業関係者が集結しました。その多くが女性です。また、シャイン・ウィークスというWAW!公式サイドイベントは約120件実施されました。このように、総理の強いコミットメント、世界中の女性リーダーの積極的な参加、シャイン・ウィークスイベントへの全国各地の方々の参加がWAW! Tokyo 2014を特色あるものにしました。

9月12日:公開フォーラム

9月12日(金)に、経団連会館で「公開フォーラム」が開催されました。定員1,100名の会場は抽選で選ばれた一般の方々、世界各地からの政治的リーダー、ビジネスリーダー、有識者などで賑わい、WAW!への高い関心が伺えました。安倍総理は企業の女性登用の取組の後押しや仕事と子育ての両立の支援といった「女性が輝く社会」の実現に向けた日本の具体的な取組や課題を説明した上で、参加者に対し、女性も男性も全ての人が輝く社会の構築に向けて行動するよう呼びかけました。続いて、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が「女性のエンパワーメントによる経済効果」というテーマで基調講演を行いました。女性の経済活動の障壁となっている世界の現状を賃金格差、職種に言及しつつ、経済政策、法制度の改善、男性優位社会の改革により安倍政権のイニシアティブをさらに強固なものにできるのではと提言しました。次に、安倍昭恵総理夫人とシェリー・ブレア氏(女性のためのシェリー・ブレア基金創設者、元英国首相夫人)の特別対談、クリントン前米国務長官から総理のイニシアティブを賞賛するビデオ・メッセージの紹介、そして、「女性の活躍が企業競争力を高める」と題したパネルディスカッションが行われました。

ラガルドIMF専務理事による基調講演
ラガルドIMF専務理事による基調講演

昭恵夫人とブレア夫人の対談
昭恵夫人とブレア夫人の対談


9月13日:ハイレベル・ラウンドテーブル

9月13日(土)は、世界各地から集まった女性分野におけるリーダーたちが小グループに分かれて議論をぶつけ合いました。多くのプレスが後部に陣取り、詰めかけた参加者で席は埋まりました。朝、9時から始まったオープニングは、総理のスピーチから始まり、続いて、クラークUNDP総裁、ムランボ=ヌクカUN Women事務局長、チョードリー・バングラデシュ国会議長、エクエ・トーゴ社会運動・女性地位向上・識字教育大臣及びピニャト・エルサルバドル大統領補佐官からのスピーチがありました。その後、分科会1と分科会2に分かれ、約50名ずつの分科会会合が行われました。有村女性活躍担当大臣は、「女性の力は日本の最大の潜在力であり、全ての女性が輝く社会の実現に向けて、本腰を入れて取り組んでおり、今後も国内外の参加者とも協力しながら行動していきたい」と述べられました。その後、各分科会はさらに3つの小グループに分かれ、15名程度の人数で与えられたテーマに関し議論されました。分科会1の「経済における女性の活躍促進」は、女性が輝く社会をつくっていくために、特に仕事をする上で、どのような環境を整えれば、女性が働きやすくなるかについて話し合いました。それぞれの分科会小グループで話されたことは、日本が直面している課題に関連するものが多く見られました。国際的な議論により自文化の「常識」を再検討し、視点を変えるきっかけを与えてくれました。

分科会2では、岸田外務大臣が冒頭で「21世紀こそ女性に対する人権侵害のない世紀とするべき」との強い決意を述べたのに続き、社会を変えていくため、政治や経済の意思決定レベルに女性が参画することの重要性、平和で安全な社会づくりへの女性の参画の確保、女性のエンパワーメント等について議論されました。

13日のクロージングでは、各小グループの意見を集約して12の提案WAW! To Doがまとめられ、議長を務めた岸田外務大臣から発表されました。

分科会の様子
分科会の様子


シャイン・ウィークス

WAW!のメインイベントは前述した12日と13日のシンポジウムでしたが、公式サイドイベントとして、主に9月8日から18日の2週間、「シャイン・ウィークス」イベントが開催されました。これは、WAW!の趣旨に沿うイベントを広く受け入れ、WAW!のロゴを共有し、WAW!の一環として「女性が輝く社会づくり」に賛同していただくことを目的とします。また、総理のビデオメッセージもイベントで活用いただきました。どなたでも自由な発想で、会議はもとより、映画祭やコミュニティの集い、農業女子や宇宙女子など多岐に渡るグループが独自のイベントを企画し、実施しました。これらのイベントはフェースブックで公開され、また、外務省ホームページでも紹介しています。最終的に120件以上ものイベントが全国各地で自主的に実施されたことから、女性の活躍促進への関心の高さがうかがえました。

地方展開イベント

地方展開イベントとは、シャイン・ウィークスの一環でもあるのですが、特に、WAW!登壇者が参加したイベントを指します。海外から来られたゲストと地方自治体や大学を結び、地方への波及を図りました。結果、11の外国人参加者登壇イベントが開催されました。ご参加いただいた主催者からは、普段お会いできないゲストを呼ぶことができ、是非、来年も実施したいとの感想をいただきました。

仙台市の地方展開イベントに参加するバングーラ紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表(右から2人目)
仙台市の地方展開イベントに参加するバングーラ紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表(右から2人目)


WAW!サポーター

一緒にWAW!を作ってくれた方々には、応援メッセージを送って下さった方、学生ボランティアもいます。応援メッセージは12日に会場のスクリーンに映し出された他、13日の会場でも幅8メートルの大ボードに展示され、参加者の目を惹きました。

国内からは、デザイナーのコシノ・ジュンコさん、作家の林真理子さん、女優で国連開発計画親善大使の紺野美沙子さん、アーティストのMISIAさん、プロ卓球選手の福原愛さん、地方自治体・ゆるキャラの皆さんから、海外からは、チリのバチェレ大統領、オランダのプルメン外国貿易開発協力大臣、英国のヘーグ前外相(現、紛争下の性的暴力防止担当首相特別代表)等多くの方々から温かく力強いメッセージをいただきました。

また、参加者の当日の誘導や受付を担当してくれたのが、学生ボランティア16人の皆さんです。真っ白なWAW!ポロシャツを着て、混雑する会場の中、てきぱきと会場整理をしていただきました。

六本木会場に設営されたボードと応援メッセージ
六本木会場に設営されたボードと応援メッセージ


WAW!メッセージの発信

WAW!終了直後の9月23から28日まで、総理、岸田外務大臣は国連総会及び各種会議に出席し、WAW!のメッセージを世界で発信しました。日本が女性分野で率先して真剣に取り組んでいく姿勢を国際社会にアピールしました。WAW!は来年も開催される予定です。

wawロゴ

WAW! To Do

  • 経営トップがコミットする
  • 異次元の働き方変革を実行する
  • 女性による起業を支援する
  • 女性によるビジネスをサポートする
  • 両立支援策を拡充する
  • 税制と社会保障を中立化する
  • 女性及び子供の目前のニーズを手当する
  • 女性のエンパワーメントへの戦略的な投資を行う
  • 政治的リーダーシップと女性の参画を確保する
  • 平和と安全における女性の役割を強化する
  • 法律、機構、国家政策に現存する女性に対する偏見を是正する
  • 女性をエンパワーする

安倍総理大臣の国連総会一般討論演説

安倍総理は、9月22日(月)から26日(金)まで、第69回国連総会出席のため、ニューヨークを訪問しました。ニューヨークでも、総理は積極的に「女性」について発信しました。その半分以上を「女性」への支援に言及し、世界中から反響を得た昨年の一般討論演説に続き、今回の一般討論演説でも、女性が輝く社会をつくることが世の中全体を変えるカギである、21世紀こそ女性に対する人権侵害のない世界にしていく決意を力強く述べられました。安倍総理が「女性」施策を進められる上での強力なサポーターの一人がヒラリー・クリントン前米国務長官です。クリントン氏は昨年の一般討論演説の直後にも、その演説を評価し、応援する旨の書簡を総理に送られました。そうした縁もあり、今回の訪米中、総理はクリントン・グローバル・イニシアティブ国際会議(9月24日(水))に出席し、クリントン氏と対談を果たしました。両氏は、今後も「女性が輝く社会」を世界にも拡げるべく努力し、協力する決意を表明し、会場から拍手が湧く場面もありました。

今回の国連総会ハイレベル・ウィークでは、例年になく「女性」に焦点を当てた行事に、総理や外務大臣、総理夫人が参加された機会が多く、国際社会に日本の取組を大いに発信した訪米となりました。

ヒラリー・クリントン前米国務長官と安倍総理大臣


「輝く女性応援会議 in 京都」開催報告

「輝く女性応援会議 in 京都」は、9月15日(月・祝)に京都の清水寺において開催されました。行政・経済・文化・教育の各分野のリーダーのほか、WAW!に出席した海外の女性リーダー2名が参加し、WAW!の地方展開ともなりました。

山田啓二京都府知事と武川恵子内閣府男女共同参画局長の挨拶の後、「女性が輝く京都に向けて〜社会全体の気運の醸成と人材育成〜」について意見交換が行われました。

京都商工会議所会頭、立石義雄さんは、女性の持つ柔軟な発想やアイデアが社会的ニーズに対応した商品やサービスの開発や顧客創造につながり、企業の持続的成長を可能にするとし、女性の活躍を京都府や京都市、関係団体と連携して取り組んでいきたいと述べました。

インドで約250名の弁護士を抱える法律事務所AZB&パートナーズの創設者兼代表、ジィア・モディさんは、女性の就業率や結婚後の離職率に関し、日本と同様の問題を抱えるインドでは「全ての上場企業は、取締役会に少なくとも一人の女性を登用」が法制化され、その実行に向けた取組が進みつつある自国の現状を述べました。

インドネシアのタクシー大手のブルーバードグループホールディングスCEO、ノニ・スリ・アヤティ・プルノモさんは、インドネシアでは、女性の活躍推進に関し、日本やインドのような政府の強いサポートはなく、民間企業も、女性が自立するためのビジネスや起業の支援の検討を始めているが、外部からのサポートの有無に関わらず、女性は、「自分自身で輝こうとするべき」とエールを送りました。

華道家元池坊の次期家元、池坊由紀さんは、550年以上続く池坊で、女性として初めての家元の内定を受けているが、「初めての女性」だからではなく、その人自身の行動や影響などの成果が評価されてこそ、女性が社会の一員として真に認められる時代が来たと言うことできるということ、また女性の特性を活かした社会との関わり方について、様々な角度や切り口で議論されることが、女性をより輝かせる仕組みづくりに結びつくと述べました。

京都大学の男女共同参画担当副学長、稲葉カヨさんは、日本の研究者、特に自然科学系の研究者に占める女性の割合が低い状況を解消するため、京都大学でも女性研究者のサポートに取り組んでおり、安倍内閣の女性の活躍推進施策が後押しとなって、さらに女性研究者をサポートできるシステムが拡充されればと述べました。

最後に、山田京都府知事は、人口減少や少子・高齢化など日本が抱えるさまざまな問題は、女性の活躍がなければ解決できないとし、京都において、京都府と関係団体が連携して女性の活躍推進に取り組む新たな組織を発足させる、今日ここにおられる女性の方々が主役となり、私や立石会頭がしっかりと支えていきたい、と宣言しました。

左から、清水寺森管主、武川局長、プルノモさん、モディさん、山田知事、立石さん、池坊さん、稲葉さん
左から、清水寺森管主、武川局長、プルノモさん、モディさん、山田知事、立石さん、池坊さん、稲葉さん


また、モディさん、プルノモさんと京都企業において女性の活躍推進を担当する女性管理職等のグループとの懇談も行われ、モディさんとプルノモさんは、これまでの経験を踏まえたメッセージやアドバイスを送りました。

モディさん、プルノモさん、武川局長と京都の女性管理職等のグループの皆さん
モディさん、プルノモさん、武川局長と京都の女性管理職等のグループの皆さん