「共同参画」2014年 5月号

「共同参画」2014年 5月号

特集1

第58回国連婦人の地位委員会の開催
内閣府男女共同参画局総務課

本年3月10日〜21日に開催された第58回国連婦人の地位委員会の概要をご紹介します。

第58回国連婦人の地位委員会(CSW)が、2014年3月10日から21日まで国連本部(ニューヨーク)において「女性及び女児に対するミレニアム開発目標(MDGs)実施における課題及び成果」を優先テーマとして開催されました。

我が国からは、石原宏高政府代表(外務大臣政務官)、橋本ヒロ子日本代表(十文字学園女子大学教授)の下、外務省、内閣府、文部科学省、厚生労働省、国際連合日本政府代表部、独立行政法人国際協力機構(JICA)及び独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)の政府等関係者並びにNGO代表が出席しました。

CSWでは、各国代表や国連機関、NGO代表等によるステートメントの実施、優先テーマに関するハイレベル円卓会合や対話型専門家パネル、各種テーマ(「生産資源への女性のアクセス」及び「完全雇用とディーセント・ワークへの女性の平等なアクセスの促進のためを含む教育、訓練及び科学・技術への女性と女児のアクセス及び参画」)に関する対話型専門家パネルの開催、合意結論や決議についての協議等が行われました。

開会の様子
開会の様子


石原政府代表のステートメント

我が国は、開会2日目の11日(火)に石原外務大臣政務官よりステートメントを実施しました。

ステートメントでは、来年3月に被災地である仙台で開催される第3回国連防災世界会議等を見据えて、本CSWにて、我が国が「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議を再提出すること、本日(3/11)は東日本大震災が発生した日である旨言及しつつ、防災・復興におけるジェンダー視点が重要であること、その他、安倍総理が昨年の国連総会の一般討論演説で述べたODAの実施やポスト2015年開発アジェンダにおいて我が国が重視している点(女性のエンパワーメントやユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進等)について強調しました。

ステートメントを実施する石原政府代表
ステートメントを実施する
石原政府代表


ハイレベル円卓会合及び対話型専門家パネル

優先テーマに関するハイレベル円卓会合及び対話型専門家パネルでは、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを、ポスト2015年開発アジェンダにおいて独立した開発目標として掲げるべきであることを強調するとともに、他の開発目標においても、ジェンダー視点を主流化させた指標の設定を行う必要性があること、女性の政治参加、意思決定過程への参画の推進、女性に対する暴力への取組の重要性等が共有されました。

また、レビューテーマの「完全雇用とディーセント・ワークへの女性の平等なアクセスの促進のためを含む教育、訓練及び科学・技術への女性と女児のアクセス及び参画」に関するパネルにおいては、ニューヨーク市公立高校の生徒がパネリストの一人として参加しており、橋本代表より、我が国におけるscience, technology, engineering and mathematics(STEM)教育に関する取組について、女子中高生向けに科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者等との交流機会を提供していることや、実験教室・出前授業の実施等を行い、理系への進路選択を支援する事業について紹介しました。

会合の様子
会合の様子


合意結論及び決議

今回のCSWの成果として、合意結論及び決議が4本採択されました。

「合意結論」では、CSWとして、ミレニアム開発目標(MDGs)達成をさらに加速化するとともに、ポスト2015年開発アジェンダにおいて、ジェンダー平等、女性の権利及び女性のエンパワーメントを優先課題とすること等を要請しています。

我が国としては、女性の社会進出推進と能力強化、国際保健外交戦略の推進の一環としての女性の保健医療分野の取組強化(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの促進を通じた女性の医療アクセスの改善)及び防災、応急、復旧・復興等のすべての局面において女性が重要な役割を果たしていることを強調すること等を提案しました。

また、2年前の第56回CSW決議をフォローアップした「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議(日本提案、日本を含む79か国が共同提案国)は、災害時における女性の脆弱性や特別な配慮の必要性(特に妊娠・授乳期の女性、思春期の女児)、災害後に女性に対する暴力が増加すること、災害後の対応において女性や子育て家庭のニーズに配慮した支援を行うこと、防災、災害対応、復旧復興を含む意思決定過程に女性の参画を確保すること、男女別・年齢別の統計の重要性や、災害対応の成功例や教訓を共有し、防災計画等に反映させることの重要性等について強調するとともに、第3回国連防災世界会議(2015年3月)、兵庫行動枠組の後継枠組(HFA2)策定、ポスト2015年開発アジェンダ策定、世界人道サミットを見据えて強化、補足したものとなっています。

この決議には、男女共同参画会議監視専門調査会「防災・復興における男女共同参画の推進に関する政府の施策の取組状況についての意見」(平成26年2月)の内容も反映されています。

この他の決議としては「パレスチナ女性の状況及びその支援」、「紛争下における女性及び児童の人質解放」、「女性、女児とHIV及びAIDS」が採択されました。

NGOサイドイベント

CSWの開催期間中、各国、国連機関、NGO等により様々なサイドイベント及びパラレルイベントが開催されました。

今回のCSWでは、日本のNGO(国連NGO国内婦人委員会、国際婦人年連絡会及びJAWW(日本女性監視機構))と国連日本政府代表部が昨年に引き続き共催して、「災害リスク軽減と女性のエンパワーメント」と題するサイドイベントが開催されました。

このサイドイベントでは、女性が防災計画の策定や、災害時の対応に当ることが不可欠であること、少女をエンパワーする総合的な教育の必要性、国際協力への東日本大震災における教訓の活用及びフィリピンにおける台風ハイエンからの教訓についてスピーカーから発表が行われ、さらに、政府からは別府内閣府大臣官房審議官(男女共同参画局担当)が「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」について発表しました。

NGOサイドイベントの様子
NGOサイドイベントの様子


来年の第59回国連婦人の地位委員会は、北京+20として、2015年3月9日(月)〜20日(金)の日程で、開催される予定です。

第58回国連婦人の地位委員会HP:
http://www.unwomen.org/en/csw/csw58-2014

内閣府男女局HP:
http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_csw/chii58-g.html
(石原外務大臣政務官のステートメント、合意結論及び日本再提案決議「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」の全文も掲載している)