「共同参画」2013年11月号

「共同参画」2013年11月号

連載 その1

男女共同参画の視点からの防災・復興の取組事例(4)
地域防災計画に男女共同参画の視点を反映

内閣府男女共同参画局総務課

○地域防災計画の見直し

過去の震災の経験を踏まえ、政策・方針決定過程への女性の参画の拡大、男女のニーズの違いへの配慮、男女共同参画センターの役割等、男女共同参画の視点を反映した地域防災計画を策定している地方公共団体を紹介します。

○都道府県の事例

埼玉県

埼玉県は平成23年11月に地域防災計画を見直し、男女共同参画の観点から、乳幼児・高齢者等の災害時要援護者や女性のために必要な物資の例示や、避難所運営組織への複数の女性の参加、プライバシー保護及び女性に対する暴力等の防止の観点から、更衣室・トイレ等の設置場所への配慮や、女性相談員の配置・巡回についての配慮等を盛り込みました。

兵庫県

兵庫県は平成24年6月に地域防災計画のうち、「地震災害対策計画」と「風水害等対策計画」を見直し、「基本的な考え方」に「県民、民間団体、事業者、行政機関等、多様な主体が相互に連携しながら協働して防災の取り組みの推進することとしました。その際、男女共同参画の視点から、地域防災計画、復興計画や避難所運営等の意思決定の場における女性の参画を促進するとともに、救援物資、避難所の設置・運営等の対策面において、女性や子育て家庭のニーズに配慮することとする」として、男女共同参画の視点の重視を盛り込みました。

○市町村の事例

神戸市

神戸市では、阪神・淡路大震災の経験・教訓を踏まえ、地域防災計画を平成7年度に改定し、災害時に「男女共同参画課は、女性のための相談窓口を開設し、神戸市男女共同参画センター(あすてっぷKOBE)等と連携した女性の専門相談員による相談を実施する。また、DV(ドメスティック・バイオレンス)相談等が必要な場合は、専門機関を紹介する」と、男女共同参画担当の役割を明記しました。

横浜市

横浜市では、平成20年度の防災計画「震災対策編」修正の際に、「方針決定過程や地域活動への女性の参画を促進するなど防災対策に、男女共同参画の視点を取り入れ、本防災計画のすべての事項を通して男女のニーズの違いへの配慮を行います」として、避難所運営や防災教育、女性リーダーの育成における男女別ニーズへの配慮などを盛り込んでいます。

仙台市

仙台市は、東日本大震災の経験を踏まえ、平成25年3月に地震災害対策編の見直しを行い、「女性支援センターの設置」の項を立て、「市民部は、専門相談窓口の1つとして女性のための相談窓口を設置するとともに、仙台市男女共同参画推進センター内に、女性支援センターを設置し、同センターを運営するせんだい男女共同参画財団と共に、被災女性のニーズの把握に努め、NPO団体等との連携を図りながら、必要な対応を行う」こととしています。

国の防災基本計画の修正

東日本大震災での経験を踏まえ、防災基本計画(中央防災会議決定)においても、地方公共団体が策定する地域防災計画等に男女共同参画の視点が反映されるよう、平成23年12月及び平成24年9月に修正が行われました。

≪主な修正箇所≫(太字)

  • 第2編 地震災害対策編 第2章 災害応急対策 第5節 避難収容及び情報提供活動 2 避難場所 (2)避難場所の運営管理
  • ○地方公共団体は、避難場所の運営における女性の参画を推進するとともに、男女のニーズの違い等男女双方の視点等に配慮するものとする。特に、女性専用の物干し場、更衣室、授乳室の設置や生理用品、女性用下着の女性による配布、避難場所における安全性の確保など、女性や子育て家庭のニーズに配慮した避難場所の運営に努めるものとする。
  • 同編 第3章 災害復旧・復興 第1節  地域の復旧・復興の基本方向の決定
  • ○被災地の復旧・復興は、地方公共団体が主体となって、住民の意向を尊重しつつ協同して計画的に行い、国はそれを支援するものとする。その際、男女共同参画の観点から、復旧・復興のあらゆる場・組織に女性の参画を促進するものとする。