「共同参画」2013年 8月号

「共同参画」2013年 8月号

連載 その1

男女共同参画の視点からの防災・復興の取組事例(1) 女性たちによる防災宣言(仙台市)
内閣府男女共同参画局総務課

内閣府男女共同参画局では、平成25年5月31日に、「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」及び解説・事例集を公表しました。

これまでも、様々な主体が、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組を行っています。本連載では、今後の参考となる具体的な取組事例を紹介します。

あなたの大切な人は誰ですか?

今何かをすることで、大切な人の命を守れるなら、すぐにそれを始めませんか?

女性の視点での防災宣言

宮城県仙台市宮城野区の岩切地区では、通常、防災訓練に参加するのは年齢の高い層ばかりで、防災活動もメンバーが固定していました。

「昼間に大地震が起きたら、家にいるのは女性が多い。ならば女性の視点で宣言をつくれば、防災対策として意味が深まる」との宮城野区長(女性)の提案を受け、年代や立場を超えた女性たち約20人が集まって、ワークショップを通じて互いの意見を出し合い、問題点を整理し、宣言づくりを行いました。

その成果は、平成22年6月に開催された仙台市総合防災訓練(会場:岩切中学校)において、「岩切・女性たちの防災宣言」として発表されました。宣言文は、「あなたの大切な人は誰ですか?」という言葉から始まっています。

仙台市総合防災訓練の様子
仙台市総合防災訓練の様子

作成にかかわった女性たちの声

防災宣言の作成にかかわったのは、小・中学校PTA、婦人防火クラブ、子育てサークルのメンバー等でした。女性たちからは、「昼間は、子どもたちとお年寄りと少数の専業主婦しか残っていない地区もあり、安心して働くためには、積極的に地域とかかわっていないといけないことが、防災宣言の作成で分かりました。」「授乳施設も、今ではスーパーでも高速道路のサービスエリアでも当たり前になりましたが、避難所ではそうなっていないようだと気が付きました。」「災害時には自助が大切であり、隣近所で助け合ったり、自分で考えないといけないことを教わりました。避難所は自分たちで運営する。大事な人は自分で守らないといけないと思うようになりました。」といった感想が寄せられました。

岩切・女性たちの防災宣言
岩切・女性たちの防災宣言

東日本大震災における実践

平成23年3月の東日本大震災では、宮城野区は震度6強を観測し、津波被害により、区の面積の35%が浸水しました。発災直後より、指定避難所のほか、指定避難所以外の施設にも被災者が避難して避難所が開設されました。

発災後、岩切地区の女性たちの頭の片隅には、「女性たちの防災宣言」があり、「自分たちががんばらなければいけない」、「女性も災害時に積極的に動いてよいのだ」と考え、女性たちが率先して避難所や地域で活躍しました。宣言づくりにかかわったメンバーの中には、実際にリーダーとして、子どもやお年寄りに配慮した避難所の運営を行った者もいました。

【参考URL】

「岩切・女性たちの防災宣言」

http://www.city.sendai.jp/shicho/tsudoi201001.html

「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」及び解説・事例集

http://www.gender.go.jp/policy/saigai/shishin/index.html