「共同参画」2013年 7月号

「共同参画」2013年 7月号

取組事例ファイル/企業編

「カエルの星」に認定!シリーズ(3)
お茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター
〜私生活を大切にしながら教育研究を継続するための取組み〜

政府は、身近な取組からワーク・ライフ・バランスを実現したチームを「カエルの星」として認定するなど、ワーク・ライフ・バランスの推進を支援しています。本誌では、第1回「カエルの星」に認定された6社をシリーズでご紹介します。ぜひ皆さんの会社でも参考にしてください。

<活動のスタート>

お茶の水女子大学における「ワーク・ライフ・バランス」をめざす取組みは、実験を中心とした研究を行う女性研究者が、研究と子育てを両立できるようにするにはどうしたらよいか、という課題を解決するためにスタートしました。

研究者が私生活を大切にしながら教育研究を継続するためには、研究継続に対する適切な支援策と、心置きなく定時に帰宅できる環境づくりが特に大切です。

この取組みを中心的に担うのが、リーダーシップ養成教育研究センターです。

<研究補助者の配置>

研究補助者の配置は、まずは、子育て中の女性研究者への配置から始めました。現在では、介護中、看護中、妊娠中、産後休暇明け、育児休業明けの学内研究者に対しても、男女を問わず、補助者のための謝金を支援しています。

<9時−5時勤務体制>

お茶の水女子大学では、「勤務時間9時−5時」体制の実施を打ち出しました。公式会議は午後5時までに終了することとし、研究者も職員も周りの目を気にせず5時になったら帰りやすい雰囲気作りをめざしました。大切なことは、ルールを厳しく徹底することではなく、会議参加者が定刻までに会議を終わらせるよう工夫すること、また、保育園のお迎えなどで帰らざるを得ない教職員が「帰ります」と言い易い環境を作ることです。

<取組みの成果>

研究者自身は、自分の研究に充てる時間が確保でき、学会発表数や論文発表数、あるいは研究費獲得額を維持したり、増加させたりすることができました。

介護中で研究補助者を配置された研究者からは、「精神的に楽になった。」と感謝の言葉も寄せられました。

また、心置きなく帰宅できる雰囲気が醸成され、ワーク・ライフ・バランスが向上しました。夕方の会議の日程調整で、男性教員が「この日は保育園の迎えがあるので出席できません!」と言えるようになったことはその一例です。

<意識の経年変化>

学内の雇用環境整備と研究者支援に関する調査では、「勤務時間9時−5時」を「毎日行えている」、「たまに行える」と回答した人の割合は、19%(H20年度)から44%(H23年度)に増加しました。実施できる理由として、「研究補助者のサポートがある」、「周囲の教員や学生が理解を示してくれるようになった」などの声がありました。

<雇用環境整備の指標「お茶大インデックス」の普及>

これまでの経験をもとに、雇用環境の整備状況の評価指標「お茶大インデックス」、および組織改善のための手順を示した「COSMOS Work Book」を作成し、広く情報発信しています。今後も、男女共同参画社会の実現に寄与できる取組を実施していきたいと思います。

お茶大インデックス

「お茶大インデックス」は、こちら
http://www.cf.ocha.ac.jp/cosmos/ochadaiindex.html

お茶の水女子大学(リーダーシップ養成教育研究センター)

設立年月日:1875年11月29日(リーダーシップ養成教育研究センターは2008年4月1日開設)

代 表 者:学長 羽入 佐和子(リーダーシップ養成教育研究センター長 塚田 和美)

従業員数:約460名(リーダーシップ養成教育研究センター 12名)

事業内容:女性リーダーを育成するための「教育」と「環境づくり」を推進