「共同参画」2013年 7月号

「共同参画」2013年 7月号

行政施策トピックス4

金融商品取引所による女性の活躍状況の開示に係る「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」記載要領の改訂について
内閣府男女共同参画局調査課

1.改訂の経緯

内閣府では、平成24年12月、企業における女性の活躍に関する情報の積極的な開示促進を提言に盛り込んだ報告(※1)を取りまとめました。(「共同参画」25年2月号参照)

同報告を受けて、本年4月18日、各金融商品取引所(※2)は、上場企業に作成を求める「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(※3)において役員への女性登用の状況等に関する情報開示を促すため、「記載要領」(ガイドライン)の改訂を行いました。

※1:「女性の活躍状況の資本市場における『見える化』に関する検討会」報告。議論の詳細や報告の内容は検討会HPをご覧下さい。
http://www.gender.go.jp/kaigi/kento/mieruka/index.html

※2:東京証券取引所、大阪証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所

※3:投資者に各企業のコーポレート・ガバナンスの状況をより明確に伝えることを目的として、国内の上場企業が金融商品取引所の有価証券上場規程等に基づいて作成を求められるもの。同報告書に記載すべき事項は、各金融商品取引所が定める「記載要領」で定められている。

2.改訂の内容

改訂では、コーポレート・ガバナンスに関する報告書の記載例として、役員等の男女別構成や、役員への女性の登用に関する現状を記載することが考えられる旨が新たに追加されました(下記枠内参照)。報告書に記載するかどうか、どのような内容を記載するかは、企業の自主性に委ねられますが、各金融商品取引所から上場企業に対し、積極的な記載を検討するよう要請されています。

「記載要領」(抜粋)※下線は該当箇所

▲(2)2.業務執行、監査・監督、指名、報酬決定等の機能に係る事項(現状のコーポレート・ガバナンス体制の概要)の箇所

・取締役会や監査役会など(委員会設置会社の場合は、法定の各種委員会、執行役会を含みます。)の法定の組織のほか、経営諮問委員会、アドバイザリーボードなどの名称により設置された各種の諮問委員会や、経営会議、執行役員会、常務会等について、それぞれの概要(業務執行や監督のプロセスにおける役割、構成メンバー、男女別の構成など)や開催状況等を記載することが考えられます。

▲(3)3.ステークホルダーの立場の尊重に係る取組み状況の箇所

・d.「その他」における補足説明については、役員への女性の登用に関する現状を記載することが考えられます。

3.女性の活躍状況等に関する記載事例

「記載要領」の改訂後、女性の活躍に関する情報を同報告書に記載する企業が増えています(※4)。以下に一例を紹介します。内閣府HPでは、他の事例も紹介しておりますので、ぜひご覧下さい。

http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company.html

▲株式会社ニッセンホールディングス
(平成25年4月23日更新)(抜粋)

1.役員等の状況

(1)取締役(9名) 社内取締役5名/社外取締役4名、男性8名/女性1名

(2)監査役(3名) 社内監査役1名/社外監査役2名、男性3名/女性0名

▲積水ハウス株式会社
(平成25年4月26日更新)(抜粋)

交流会やキャリア支援・研修を通じて多くの女性社員の育成、定着を図っています。女性の管理職への登用も拡大しており、平成25年1月末時点ではグループ全体で52人の女性管理職が活躍しています。

※4:東京証券取引所が開設している「コーポレート・ガバナンス情報サービス」では、同取引所に上場している企業のコーポレート・ガバナンスに関する報告書を検索・閲覧することができます。
http://www5.tse.or.jp/tseHpFront/HPCGDS0701.do?method=init

4.今後の取組について

本年6月に策定された成長戦略には、役員や管理職への女性の登用状況の開示促進が盛り込まれました。内閣府では、今後、企業における開示状況の整理・公表や好事例の紹介等を通じて、企業における女性の活躍状況の積極的な情報開示を一層促進していきます。