「共同参画」2013年 6月号
取組事例ファイル/企業編
「カエルの星」に認定!シリーズ(2)
(医)永和会 下永病院
〜スケジュール管理と院内協力で時間外労働削減〜
政府は、身近な取組からワーク・ライフ・バランスを実現したチームを「カエルの星」として認定するなど、「カエル!ジャパン」キャンペーンを実施して、ワーク・ライフ・バランスの推進を支援しています。本誌では、第1回「カエルの星」に認定された6社をシリーズでご紹介します。ぜひ皆さんの会社でも参考にしてください。
*プロジェクトの始まりは…
「薬局が薬を出すのが遅いから、病棟の職員が残業をしている!」という声から始まりました。薬局では1名が出産後に育児休暇を取得しており、「人数が少ないのだから業務が遅くなってもしょうがない。」という意識の中で業務を行っていました。院内の職員同士、お互いがお互いのことを知らず、非難の応酬ばかりで事が済むわけがありません。
そこで、医業経営コンサルタントの資格を持つ法人専務理事がここに立ち上がりました。
*まずはコミュニケーション!
各職員は、一日の業務の流れを整理し、自らがまず知るとともに、それを職場に伝えることとしました。
基本中の基本の徹底により、勤務時間の中に繁閑の差があることを把握し、業務の平準化を図ることに成功したのです。
また、薬局が業務を円滑に進められるようになるためには、病院全体で協力する必要があることから、「部分最適だけでは組織は回らない、必ず“全体最適”を目指すことが重要」であることも徹底させることに成功しました。
*そうはいっても…
時間外労働は削減しても、業務量そのものが変わらず、過度の集中による疲労が残るだけでは、本当の意味での解決につながらないということが徐々にわかってきました。
そこで!
*業務内容の見直し
そもそもこの業務は必要なのか?
もっと効率的な手順はないのか?
といった発想でさらなる業務内容の見直しを検討し、
(1) SPD(薬品在庫管理システム)の導入
(2) 関連施設の調剤業務の外部委託
を実施しました。これにより、業務量を20%以上も削減することができたのです。
*その結果…
薬局では、従来1か月74時間余りあった時間外労働がほとんど「ゼロ」になり、現在まで継続しています。
定時に帰ることができることによって、職員たちはそれぞれ充実したワーク・ライフ・バランスを実現させています。
*今後の展開
それぞれの職場にある問題に対し、病院全体で速やかに改善を図る取組は絶えず必要であり、また組織の活性化やワーク・ライフ・バランスの充実に不可欠なものです。このことを職員全員で認識を深め、更なる進化を目指していきたいと思います。
(医)永和会 下永病院
設立年月日:平成3年10月
理事長:下永 和洋
従業員数:300名
事業内容:医療・介護サービスの提供
(病院・診療所・老健・グループホーム・小規模多機能型居宅介護・通所介護などの事業を行う)