「共同参画」2013年 6月号
行政施策トピックス1
「東日本大震災後の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」に関する調査報告書について
内閣府男女共同参画局推進課
1 調査目的
東日本大震災による節電の影響により、多くの企業が働き方の見直しを行うこととなりました。このような節電前後の時期における企業の対応変化や働く個人の意識変化等を把握・分析することにより、働き方の見直しに関する様々な課題等を明らかし、今後の検討に資することを目的に実施しました。今回は、その概要をご紹介します。
2 調査概要
(1)企業調査(郵送調査・平成24年7月下旬〜9月上旬実施) 3,000社(回答率30.3%)
一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)、大阪府に本社をもつ従業員規模300人以上の株式会社を対象
(2)個人調査(インターネット調査・平成24年10月下旬実施) 2,299名
一都三県および大阪府で勤務する男女で、企業調査と同様条件の企業に雇用され勤続2年以上の者を対象
(3)企業ヒアリング調査(平成24年10月〜平成25年3月) 10社
3 調査のポイント
(1)半数弱の企業が、震災以前に比べ2011年夏には「働き方の見直し」を新たに実施、または適用拡大しました。その後2012年夏も同様レベルでの実施やさらに取組を進めている企業が大半でした。
2011年夏に、震災前と比べて「働き方見直し」を進めた企業は約半数
・内容としては、「勤務日の変更」「残業削減」「勤務時間帯の変更」が多くなっています。(図表1,2)
2011年夏以降も、「働き方見直し」取組の一部は更に進む
・2011年夏に進んだ取組の2012年夏の状況では、「働き方見直しの推進組織の設置」「仕事の見える化」「時間管理意識の向上」は『より進んだ』と回答した企業が多くなっています。
・「時間管理意識の向上」「有給休暇の取得促進」「特別休暇の制度拡充」等は6〜7割の企業が『同レベル』と回答、「勤務日の変更」「勤務時間帯の変更」は『止めた』とする回答が多くなっています。(図表3)
(2)震災前に比べて働き方の見直しを進める必要性に関し、経営トップや管理職の理解・協力が進んだとする企業が多数(それぞれ7割)でした。
震災前と比べ、「働き方見直し」の必要性について、トップや管理職の理解・協力が進む
・震災前と比べ、「経営トップの理解・協力」や「管理職の理解・協力」については、『理解・協力が進んだ、やや進んだ』と回答した企業が7割弱を占めています(66.9%、67.1%)。一方、「取引先の理解・協力」は他項目より『進んだ』との回答が少なく、『どちらともいえない』が6割を占めています(60.6%)。(図表4)
(3)東日本大震災をきっかけにした働く人の意識変化について調査しました。生活面に留まらず「家庭やプライベートの時間を確保できる働き方」、「時間効率」などに関する意識も変化していたこと等が明らかになりました。
東日本大震災等で影響を受けた人は、生活面だけではなく仕事面の意識も高まる
・東日本大震災等で何らかの影響を受けた人では、受けなかった人に比べて「働き方」や「普段の生活」に対する意識の変化があった人の割合が高くなっています。(図表5,6)
本調査は、内閣府ホームページにも掲載しています。詳しくは、こちらをご覧ください。