「共同参画」2013年 4・5月号

「共同参画」2013年 4・5月号

取組事例ファイル/企業編

「カエルの星」に認定!シリーズ(1)
アストラゼネカ(株)
~現場主導で課題や解決策を共有~

政府は、身近な取組からワーク・ライフ・バランスを実現したチームを「カエルの星」として認定するなど、「カエル!ジャパン」キャンペーンを実施して、ワーク・ライフ・バランスの推進を支援しています。本誌では、第1回「カエルの星」に認定された6社をシリーズでご紹介します。ぜひ皆さんの会社でも参考にしてください。

外資系の大手製薬会社アストラゼネカ(株)(業務内容:医療用医薬品の開発・製造・販売)のメディカル本部では、2012年、ワーク・ライフ・バランスを推進するためプロジェクトを組織化し、現場主導で取組を進めました。これにより有給取得率向上(月1.0日→1.4日)、在宅勤務率向上(月平均10%→37%)、残業時間の削減(10%)などの成果を上げ、「カエルの星」に認定されました。

<プロジェクトチームの結成>

アストラゼネカ(株)では、かねてから社員のモチベーションや企業の業績に影響する要素としてワーク・ライフ・バランスを重視してきましたが、メディカル本部は、トップダウンで定時帰宅や有給消化を推奨しても思うようにはかどりませんでした。

そこで、マネージャークラスによる現場主導で取組を進めることとし、まず、メディカル本部にある17の課をそれぞれのプロジェクトチームとして、取りまとめをするリーダーを選出しました。そして「業務の見直し」、「風土の改革」という目標を設定し、具体的な取組内容は、各課それぞれの働き方に沿った方法で進めることとしてリーダーに任せました。

<業務の見直し>

「業務の見直し」では、定時後の会議招集の禁止や、他部署からの依頼に対する期限を主体的に設定するなどのルールを作った結果、慢性的な残業が次第に減っていきました。在宅勤務を活用する社員も増え、電話会議システムの活用や出張と在宅勤務を組み合わせて移動時間の無駄を減らすなどの工夫もあり、業務効率の向上に大きな役割を果たしました。

<風土の改革>

「風土の改革」では、周りに遠慮して早い時間に帰りにくいといった職場の雰囲気を変えるため、6時を過ぎたら「まだ帰らないの?」と声をかけたり、フレックスタイムを活用するなどの取組を重ね、定時帰宅できる風土に少しずつ変わり始めました。

<各チームの取組の共有>

定期的に実施した会議は、各チームの進捗状況を確認するためリーダーが活動内容を発表する場としました。PCの共有ドライブで業務を行うことによって、担当者が体調を崩してしまっても、業務がストップすることなく同僚がサポートできたという事例や、良い取組を行ったチームに景品をプレゼントして、楽しみながらワーク・ライフ・バランスを意識できるよう工夫を凝らした事例もありました。各リーダーはこの会議で、苦労を分かち合い、足りなかったものを取り入れることができ、プロジェクトを推進させる大きな力になりました。


アストラゼネカ(株)

発足年月日:2000年1月1日(設立年月日:1975年4月11日)

取締役社長:ガブリエル・ベルチ

従業員数:約3,000名(メディカル本部約200名)

事業内容:医療用医薬品の開発・製造・販売