「共同参画」2013年 2月号

「共同参画」2013年 2月号

行政施策トピックス2

「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画等の課題に係る検討報告
~女性の活躍状況の資本市場における「見える化」に関する検討会報告~
内閣府男女共同参画局調査課

1.はじめに

女性の活躍促進に向け、政府が重点的に取り組むべき課題を関係閣僚がまとめた「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画(働く「なでしこ」大作戦)に盛り込まれた内容を受けて内閣府は、「女性の活躍状況の資本市場における『見える化』に関する検討会」を開催し、この度報告を取りまとめましたので、そのポイントをご紹介いたします。

2.女性の活躍促進に取り組む意義

報告書ではまず女性活躍の意義について、生産年齢人口の減少を補うという量的な意義だけでなく、新しい発想によりイノベーションが促され経済が活性化するなど質的な効果も期待できるという社会全体のメリットに加え、各企業にとっても様々な市場への適応力や優秀な人材の確保、リスク耐性が高まるメリット等が考えられると指摘しています。

3.資本市場で女性の活躍状況を「見える化」する意義

女性の活躍を通じた企業価値の向上は「見えない価値」の一部と考えられ、情報開示が重要であると述べられました。女性が活躍できる人事戦略やマネジメントが中長期的な企業価値に大きな影響を与え得るとの見方を背景に経営情報の一部として評価される場面が増えていること、また女性の活躍に積極的に取り組む企業が資本市場で評価され資金調達が容易になるなど、経済的便益がもたらされる仕組みを作る上からも重要であると指摘されました。

4.資本市場で「見える化」するための具体策

「見える化」の手段として、働く「なでしこ」大作戦では有価証券報告書、証券取引所のガイドライン、IR資料などが例示として挙げていました。

検討会では、企業による任意の開示を一層進めていくことの重要性やそのための積極的な取組を進めていくことに幅広い合意がなされた一方、有価証券報告書における情報開示については積極・慎重のそれぞれの立場から様々な意見が述べられました。開示を求める意見が多く出される一方、企業の実務への影響を懸念する強い反対意見があり、これら企業に一律の開示を求める方法について一定の結論を得るには至りませんでした。

今回合意された具体的な取組は以下の内容です。

  • 「コーポレート・ガバナンスに関する報告書(*)」において、役員への女性登用の状況に関する情報の開示が促されるよう、「記載要領」(ガイドライン)の見直しを金融商品取引所に要請。企業にも積極的な開示を働きかける
  • コーポレート・ガバナンスに関する報告書等における女性の活躍状況に関する情報を開示している企業数、開示の内容等を整理・公表する
  • 東京証券取引所の「テーマ銘柄」の一環として、経済産業省も参加する形で「女性の活躍」に着目して企業を選定・公表する 等

5.おわりに

今後、企業による任意開示の広がりや投資家側のニーズ等も見極めながら、今回のとりまとめを1つの出発点として、様々な機会に、様々な関係者によって、議論が深められていくことへの期待が示されています。

内閣府としては、今回合意された取組について、投資家や企業等への働きかけや進捗状況の把握・整理・公表を進めるとともに、幅広い理解が広まるよう多方面への働きかけを図っていきます。

*「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」とは、証券取引所が企業に作成を求め、公表している報告書。
*議論の詳細や報告の内容はHPをご覧下さい。
http://www.gender.go.jp/mieruka/index.html