「共同参画」2012年 4・5月号

「共同参画」2012年 4・5月号

連載 その2 女性首長から

ワーク・ライフ・バランス推進のための子育て支援について
伊勢原市長 長塚 幾子

伊勢原市は、神奈川県のほぼ中央に位置し、恵まれた自然環境と人口10万1千人を有する首都圏近郊の利便性を備えたまちとして発展してきました。また、丹沢大山国定公園にある霊峰大山は、江戸時代には「大山参り」として参詣者で賑わい、今日では、「大山ハイキング」として、パワースポットを巡る山ガールやハイカーに人気があります。

このように長い歴史と文化に育まれた本市では、市民協働のまちづくりに力を注ぎ、平成17年に「審議会等の在り方に関する基本方針」を定め、公募制の導入や女性の審議会等への参画を推進してまいりました。それ以来、審議会等の女性の参画率は30%を下回ることはなく、県内でも常にトップクラスであり、市としても大変誇りに思っております。

しかしながら、まだまだ女性委員が少ない審議会等もあり、特に専門的な分野においては、女性の進出が不十分です。また、市の管理職の女性が占める割合については、増加させる取り組みが必要と考えています。

一方、子育てをしながら働く女性は、他の自治体と同様、本市においても増加しています。その要因は様々ですが、働く女性が増えることは喜ばしいことです。経済活動の活性化のためには、女性の参画が重要な鍵をにぎります。女性が働きやすい環境を構築することが、経済を活性化させ持続的発展が可能なまちづくりにつながります。

少子高齢社会が本市にも到来しており、高齢化率は20.9%、合計特殊出生率は1.30となっています。生産年齢人口が減少している昨今では、女性だけが子育てのために、介護のためにと、当人の意に反して家庭に縛られることは、社会的な損失にもなります。自己実現のために、また経済的自立のためにと理由は様々であれ、女性、特に子育て中の母親が社会活動のできる環境整備が求められています。

このような状況を踏まえて、本市の男女共同参画プランでは、「配偶者や家族の子育て参加の促進と地域、社会による子育て支援をすすめること」を個別目標として掲げ、保育サービスなどの子育て支援策の充実に取り組んできました。平成19年度には、子ども部を設置して子育て支援体制の基盤をつくり、平成22年度には、児童相談センターを開設し、乳幼児期から青少年期までの一体となった相談体制を整えました。現在、待機児童の解消を図るために保育所の受け入れ態勢の充実に努めています。

また、初めて父親になった方への「父子手帳」の配布や「パパ・ママ教室」を開催して、父親と母親が協力し合いながら子育てすることの大切さを伝えています。さらには、昨年の夏の節電対策による勤務シフト変更の企業に勤務される保護者のご要望に応えて、休日保育を実施しました。

男女が豊かにその人らしく生きる社会の実現には、それぞれのライフステージに合わせた環境整備が求められる時代になっています。今後も、行政・地域・事業所等が連携し、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでまいります。

伊勢原市長 長塚 幾子
長塚 幾子/ながつか・いくこ
1953年伊勢原生まれ。早稲田大学第一文学部(英文学専攻)卒業後、民間企業に就職。退職後、主任児童委員、NPO法人理事等を経て2003年伊勢原市議会議員。2004年伊勢原市長就任。現在2期目。座右の銘は「温故知新」「The Sense of Wonder」