「共同参画」2012年 3月号

「共同参画」2012年 3月号

取組事例ファイル/団体編

全国漁協女性部連絡協議会(JF全国女性連)

漁村の生活改善と地位向上を目指して

1951年、北海道盃漁協の女性たちが、浜の暮らしを少しでも豊かなものにしようと、自ら知恵を出し合い地道な活動を始めました。やがて、その波は全国に広がり、次々と漁協女性部が創設され、1959年9月に各都道府県漁協女性部連合組織体相互の連絡を強め、漁村女性の地位の向上をはかり明るい漁村を築くことを目的に、全国漁協婦人部連絡協議会が設立されました(2002年女性部へ改称)。

活動の概要

2011年度は、“絆を強めよう くらしを支え海の環境を守る JF女性部”~東日本大震災復興支援に向けて、心をひとつに~という活動スローガンのもと以下の基本活動を実践しています。

(1)東日本大震災被災地への支援活動

(2)自立した組織づくりと女性の参画の機会づくり

(3)浜の環境保全活動

(4)水産物の消費拡大活動

(5)全国共通活動の推進 等

具体的な活動事例をあげると、JF全国女性連役員と水産庁長官が懇談会(年1回実施、今年で24回目)を開催し、各地の漁業状況や直面する問題点を報告する一方、ライフジャケットの着用推進、魚食普及といった活動への支援、女性の漁協組合員資格の統一化などをテーマに意見交換を行うなど、女性の声の反映に努めています。特に今回は、多くの女性部員も被災した東日本大震災への支援等を要望しました。また、全国女性漁業者グループリーダー研究集会、フレッシュ・ミズ・プログラムといった研修会に参加し、次世代の女性部リーダー、若手部員の育成・強化、資質の向上に努め、自立した組織を目指しています。

環境保全活動では、JF全国女性連のブランドである、天然原料使用のせっけん「わかしお」の使用推進、海浜清掃、植樹等各地で積極的に活動しています。特にJF北海道女性連が、20年程前から「100年かけて100年前の自然の前浜を」を合い言葉に続けてきた『お魚殖やす植樹運動』の、荒廃する山林を守り、山と海を繋ぐ川の環境を守ることで、豊かな海の自然を守り続けるという取り組みが認められ、第2回いきものにぎわい企業活動コンテストにおいて、農林水産大臣賞国際森林年特別賞を受賞しています。

消費拡大活動では、料理教室実施のほか、地元食材を学校給食に導入しようという試みも活発に行われています。JF福井女性連では、地産地消・魚食普及・食育の推進を図るために実施された、家族そろって「食育実践・魚さばき講座」で小中学生や一般消費者を対象に魚のさばき方と料理の指導を行っています。最近では、女性部員が起業化グループを立ち上げ、未利用魚を活用した加工品の製造・販売など経済活動に繋がる動きも見られます。以上紹介した活動はほんの一部で、実際の漁協女性部の活動は海難遺児募金活動等も含め幅広く、漁村の活性化等非常に大きな役割を果たしています。

男女共同参画

漁協における男女共同参画推進活動は、まだ活発ではありません。女性の役員への登用も、JAや一般企業に比べ少ないですが、漁業・漁村の再生のためにも女性の声の反映が不可欠で、今後も、女性部員の意識の改革・向上に向かって男女共同参画推進活動に取り組んでいきます。

佐藤水産庁長官と懇談会にて
佐藤水産庁長官と懇談会にて

お魚殖やす植樹運動と創立50周年記念事業の一環として、植樹運動発祥の地である「札幌豊平川さけ科学館」敷地内に記念の看板を設置

お魚殖やす植樹運動と創立50周年記念事業の一環として、植樹運動発祥の地である「札幌豊平川さけ科学館」敷地内に記念の看板を設置
お魚殖やす植樹運動と創立50周年記念事業の一環として、植樹運動発祥の地である「札幌豊平川さけ科学館」敷地内に記念の看板を設置

団 体 名:全国漁協女性部連絡協議会(JF全国女性連)
会長理事:岡本リセ子(秋田県漁協女性部連絡協議会会長)
設  立:1959年9月
会員数等:全国37会員、759部、約5万4千部員
URL:http://zengyoren.or.jp/zengyofuren/index.html