「共同参画」2012年 1月号
行政施策トピックス
女性のエンパワーメント原則
内閣府男女共同参画局総務課
平等推進はビジネスそのものである ―WEPsの7原則
女性のエンパワーメント原則(Women's Empowerment Principles。以下「WEPs」という。)は、企業がジェンダー平等と女性のエンパワーメントを経営の核に位置付けて自主的に取り組むことで、企業活動の活力と成長の促進を目指して、女性の経済的エンパワーメントを推進する国際的な原則として活用されることが期待されています。2010年3月に、国連と企業の自主的な盟約の枠組みである国連グローバル・コンパクト(GC)と国連婦人開発基金(UNIFEM)(当時。現UN Women)が共同で作成した7原則です。
各原則の下に、4~6項目の具体的な内容が盛り込まれています。
企業やNGO等のメリット
WEPsを活用する企業のメリットとして、社員満足度や生産性の向上、企業のマーケティング戦略と結びつけた女性の経済的エンパワーメントの推進、新しいビジネス機会の獲得等が指摘されています。こうしたメリットを生み出すWEPsの特徴は、次の3点です。
第一に、職場、市場、地域における平等の推進を目指し、取引先や調達先(サプライチェーン)、企業の事務所がある地域と協働して取り組むことです。これまでの平等推進施策は、従業員の均等待遇等、社内の取組に重点が置かれていました。他方、WEPsは、ビジネス活動やマーケティング戦略に、取引先、投資家、地域コミュニティ、NGO、政府等のステークホルダーも巻き込んで、連携・協働して推進することが求められます。
第二に、インクルージョン(包摂)の重視です。これまで伝統的に女性が少ない産業や職種に女性を登用したり、男性も巻き込んだりして、具体的に男女共同参画を推進することを求めています。
第三に、WEPsを用いて、企業の経営方針やビジネス活動の成果をジェンダー平等推進の視点から測り、評価し、報告・公表することです。WEPsを自社の取組の進捗状況の把握だけではなく、他社と比較する際の指標とすることで、新たに必要とされる取組の思い切った実践の可能性を示したり、好事例を共有したり、課題を発見することに役立ちます。
国内外でますますの活用が期待
国連では、UN Womenが「戦略計画2011~2013年」(2011年6月)にてWEPsを促進し、他方、国連総会第2委員会「グローバル・パートナーシップ決議」(同年11月)はGCによるWEPsの推進を求めています。また、11月に韓国で開催された「グローバルCSR会議」の「ソウル宣言・行動計画」では、企業が国連の「人権の保護、尊重、救済フレームワーク」を尊重し、ビジネスにおける人権尊重の促進を決意するとともに、WEPsをより推進することが確認されました。日本政府の第3次男女共同参画基本計画でも、女性の活躍推進による経済社会の活性化の重要性が強調されています。
このようにWEPsは、今後、日本でも、国際的にもますます活用されることが期待されています。詳しくは、http://www.gender.go.jp/main_contents/category/women_empowerment.htmlをご覧ください。