「共同参画」2011年 11月号

「共同参画」2011年 11月号

連載 その3 女性首長から

女性町長で政策は変わりますか?
埼玉県入間郡越生町長 田島 公子

越生町は、東京から50キロ圏の埼玉県西部の人口1万3千人の町です。山林が70%弱で、以前栄えた地場産業も今は元気がなく、お勤めの方が多い町です。自然が豊かでハイキング等の観光客が多い町でもあります。

私は本町で初めての女性町長です。

女性首長だから女性ならではのきめ細かな政策ができるのでは、と言われることも多いですが、現状では女性首長が少ないからそういわれるだけで、女性だからではなく、各人の個性の違いと思います。

議員であれば、ご自分の興味のある分野だけ深く追及される方もおいでになり、女性議員では福祉、教育を専門とされる方も多いのですが、行政の長の場合は、行政全般を見ますので、福祉・教育に特化することはありません。私は財政と持続可能な町ということが最大の関心事です。とはいえ、男性であれ女性であれ大多数の首長が福祉と教育には特に力を注いでいます。

本町でも、福祉、特に子育て支援、健康長寿、教育には注力し、2008年度より子ども医療費の中学校修了までの無料化を実施しています。私が町長就任直後、保育園の給食食器を買い替えることになり、環境ホルモンの影響を考え、予定されていたPEN樹脂ではなく、強化磁器に変えました。10年度からは第3子以降の保育園・幼稚園の保育料を無料にいたしました。待機児童はおりませんし、今年から町立保育園の園庭の芝生化にも取り組みました。学童保育は小学校6年生まで預かっております。

町内には、小学校2、中学校1の計3校ありますが、耐震化はほぼ終了、中学校は耐震化と同時に内装を木質化し全教室にエアコンをつけたところ、生徒が非常に落ち着きました。体育館も耐震補強し、武道場の新築に際し、太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーを利用しています。

先生方の熱心な指導に加え、ハード面も良くなり、学力でも体力でも県下1,2位になっています。2学期制を実施し、今年からは月1回土曜授業も始め、授業時間の確保を図っております。これは意外と反響を呼び視察やお問い合わせも増えました。

昨年は第5次総合計画を町民委員52人で平日夜の会議を重ね、素案を作りました。できるだけ現状を町民に説明し、理解していただき、町民と協働して住みやすい町を作っていこうとしています。

このような中で審議会その他の各種委員に何人かは女性をと思いますが、なかなか適切な方が見つかりません。私が就任後2年半の間で新たに委嘱した委員さんの中では、教育委員に教職畑でない民間の素晴らしい女性を選任できたことが良かったと思っています。PR不足なのか、委員を公募しても女性で手をあげる方はどうしても少ないのが現状です。町民全体が穏やかで、人より前に出るのを遠慮するところがあるように思います。

女性職員にも管理職として活躍してほしいと思っていますが、選考は男女平等を心がけています。女性も自己規制を外し、勉強し実力を蓄えてぜひ主張してほしいと思います。

埼玉県入間郡越生町長 田島 公子
略歴等:早稲田大学理工学部数学科卒業。平成15年8月~平成21年2月越生町議会議員(2期)。平成21年2月25日越生町長に就任。