「共同参画」2011年 6月号
巻頭言
大震災は、共同参画政策の新しい課題をはっきりと示した。
第一に、かけがえのない家族やコミュニティが、自然災害からであれ経済的な事情からであれ、いつその基盤を失うとも限らない時代となった。男女が慈しみ合い支え合うつながりを維持しあるいは再構築できるための支援が求められる。
第二に、老若男女を問わず一人でも多くの国民が社会に参加し能力を発揮できる環境づくりである。高齢化への対処に加えて、震災復興のエネルギーを引き出すためにもこのことが不可欠となった。東北被災三県は、育児期の女性労働力率が比較的高い地域でもあった。こうした参画の条件をいかに再生し発展させていくか。
第一の課題と第二の課題は、一見対立するようだが実は補完的である。つながりがあるから参画の意欲が湧く。参画をとおしてつながりがうまれる。つながりと参画は一体のものなのだ。被災地の厳しい現実から、私たちは日常のなかでは忘れがちなこの事実を改めて気づかされる。
節電のために終業時間を早める企業もあって、保育所に迎えに来る若いお父さんが増えたと聞いた。つながりと参画を相乗的に強めていくためのヒントになるかもしれない。新しい可能性も見据えながら、持続可能な日本のために共同参画政策を前進させなければならない。
北海道大学大学院教授
宮本 太郎
主な予定
6月 | 男女雇用機会均等月間(主唱:厚生労働省) |
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6月下旬 | 男女共同参画白書公表 |
〃 | 男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰 |
〃 | 女性のチャレンジ賞・支援賞・特別部門賞表彰 |
〃 | 男女共同参画週間キャッチフレーズ最優秀賞表彰 |
6月28日 | 東日本大震災復興に向けてのシンポジウムin宮城(仙台市) |
6月23日~29日 | 男女共同参画週間(主唱:男女共同参画推進本部) |