「共同参画」2011年 4・5月号

「共同参画」2011年 4・5月号

行政施策トピックス

「第42回国連統計委員会」におけるジェンダー統計に関する議論について
内閣府男女共同参画局調査課

国連統計委員会

国連経済社会理事会に設置されている「国連統計委員会」は、国際統計の基準等を定める重要な機関であり、例えば「GDP」などを含む国民経済計算体系(SNA)も、国連統計委員会が定めています。日本は1962年から一時期を除いて、24カ国の「委員国」の1つとして積極的な活動を行っています。

ジェンダー統計プログラムレビュー

第42回となる本年の統計委員会は2月23日~25日、国連本部で開催されました。議題に「ジェンダー統計(男女別等統計)のプログラムレビュー」が盛り込まれたため、政府は、総務省政策統括官(統計基準担当、代表)、中垣男女共同参画局調査課長(代表代理)をはじめとする政府代表団を派遣しました。

議論の内容

今回ジェンダー統計が議題として取り上げられた背景には、男女共同参画を推進するための統計の必要性を示した北京行動綱領(第4回世界女性会議、1995年)から15年が経過し、各国の取組の状況にばらつきが見られ、また当初積極的に取組を進めた国・地域においても活動の停滞がみられることなどが挙げられます。

今回は、それらの取組を再活性化し、全世界的に取組を進めるための提案について議論が行われ、概ね、次のような合意がなされました。

○ジェンダー統計推進に関する国連統計部のリーダーシップを強化。

○より包括的なジェンダー統計プログラムのレビューを実施する。

○UN Womenなど他関連機関との連携を進め、地域委員会活動を活発化させる。地域委員会は各国に対し必要なプログラム設置を働きかける。

○機関間・専門家会合(IAEG-GS)への付託事項を拡大する。

○機関間・専門家会合は毎年開催するとともに、各国のジェンダーの状況を示す最低限必要な指標の設定やマニュアル、訓練プログラムの開発、及びデータベース化の推進等について努力する。

○国の発展段階に応じた課題の違いに考慮する。

○特定の優先度の高い調査(「女性に対する暴力」「時間利用」を明らかにする調査等)に対応する。

日本からの報告

日本からも、今後のジェンダー統計推進の方向性について賛意を表すとともに、昨年閣議決定された第3次男女共同参画基本計画において、82の数値目標を設け、今後モニタリングを行って行く予定であることを報告し、これらのことが盛り込まれた英文冊子を紹介しました。

また、これらの方針や取組については、国連統計委員会とUN Women合同で開催されたサイドイベントにおいても説明を行いました。

統計分野における日本の貢献

統計分野の発展・充実のためには、人材の育成が重要であり、この点は今回の統計委員会でも改めて確認されました。特に日本が40年間に及び、アジア太平洋統計研修所(SIAP、千葉市)を招請し運営に協力してきた点等について各国代表から謝意が表明されたことは特筆されます。ジェンダー統計に関しても、各国への情報発信が求められており、今後積極的に応えていきたいと考えます。

  • 会議場内の様子
    会議場内の様子
  • 議長団(国連統計委員会)
    議長団(国連統計委員会)