「共同参画」2010年 11月号

「共同参画」2010年 11月号

取組事例ファイル/自治体編

「配偶者暴力相談支援センター機能整備の手引」の作成について
東京都

東京都は平成22年3月、「配偶者暴力相談支援センター機能整備の手引」を作成しました。今回は概要をご紹介します。

手引作成の目的・経緯

平成19年の法改正により、区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能整備が努力義務とされました。

現在、都内では区市町村全体で年間2万件超の相談に対応しているほか、普及啓発や自立支援等の取組を進めるなど、被害者支援において区市町村が果たす役割は増大しています。しかしながら、支援センター機能の整備については1区にとどまっていることから、都は、区市町村における機能整備に向けた検討や準備に役立てていただけるよう、本手引を作成しました。

手引の内容

「配偶者暴力相談支援センター機能整備の手引」~掲載内容~

第1 区市町村における支援センター設置の進め方

1 都における配偶者暴力相談等の現状

2 配偶者暴力相談支援センター機能

3 東京都の配偶者暴力相談支援センター

4 都と区市町村の支援センターの役割分担

5 全国の配偶者暴力相談支援センターの状況

6 区市町村における配偶者暴力対策の現状

7 区市町村支援センターの設置

第2 支援センターとしての新たな業務

1 通報関係業務

2 保護命令関係業務

3 配偶者暴力被害相談の証明関係業務

第3 被害者支援の充実のために

1 職務関係者による配慮

2 関係機関との連携協力

以下、手引の掲載内容からいくつかのポイントをご紹介します。

◆支援センター設置の効果-新たに実施できるようになる業務-

支援センター機能の整備により、従来実施していた相談や自立支援等の業務に加え、新たな3つの業務-配偶者暴力の発見者からの通報受理等の業務、裁判所への書面提出等の保護命令関係業務、配偶者暴力被害相談の証明関係業務-を自ら実施できるようになり、被害者支援の迅速化が図れます。

◆区市町村の支援センターとの役割分担

役割分担の基本的考え方としては、国の基本方針を踏まえ、都の支援センターは、都における配偶者暴力対策の中核として、専門的・広域的な取組や区市町村への支援等を担うことになります。一方、区市町村の支援センターは、被害者に最も身近な行政主体における支援の窓口として、相談、情報提供、自立に向けた継続的な支援等を行うことになります。

この考え方に基づき、都の支援センターでは、区市町村への支援策として、相談員研修や関係機関のコーディネートを行う職員の養成研修、区市町村における配偶者暴力対策の推進に関する相談等を受け付ける窓口の設置をはじめ、様々な取組を実施しています。

◆区市町村支援センター設置の意義

都内区市町村での現在の取組状況を踏まえ、手引では以下のように設置の意義を整理しました。

・被害者支援の総合窓口が明確になることで、被害者が相談しやすくなり、早期発見につながる。

・関係機関の連携のコーディネータが明確になることで、行政以外の関係者も含めた連携が現状以上に進む。

・保護命令関係等の新たな業務を自ら行えるようになることで、被害者支援の迅速化が図れる。

区市町村支援センターの設置促進に向けて

支援センター機能整備とともに区市町村の努力義務とされた配偶者暴力対策基本計画の策定については、現在、12区市が策定済で、15区市が現在策定中です。都は、支援センターの設置機能整備又はその検討について基本計画に盛り込んでいただくよう働きかけるとともに、区市町村職員対象の研修等で本手引を活用し、支援センター設置の意義等について理解を深めていただくよう努めています。

今後とも、一つでも多くの区市町村で機能整備が進むよう取り組んでいきたいと考えています。

(生活文化局男女平等参画課)