「共同参画」2010年 10月号

「共同参画」2010年 10月号

巻頭言 共同参画に寄せて

2009年の日本の出生率は1.37と、近年やや反転上昇してきたものの、欧州諸国でみられる力強い回復には程遠く、はるかに低い水準に低迷している。このままでは、日本の人口減少は加速し、超高齢社会が急速に近づいてしまう。

低出生率に関する様々な研究が明らかにしてきたように、男女のパートナーシップ形成期の雇用慣行や子育て期の女性の就業継続の困難性、さらに子育て後の非正規雇用の多さなど、低出生率の根底には男女共同参画社会の未成熟がある。

欧州の多くの国々では、すでに男女が労働市場に出て働くことが当たり前となり、「男女がパートナーシップを築き、子どもを生み育てる」そのための保育サービスや男女の育休制度、家族給付等の手厚い家族政策が福祉国家の前提となっている。これに加えて、一生を通じたワーク・ライフ・バランス実現のための労働政策が推進され、出生率は持続可能な水準を維持するものとみられている。国連推計によれば、2050年のフランスの高齢化水準は27%と予測され、一方日本のそれはほぼ40%になるものとみられている。この二つの未来の違いは、男女が共に働き、子どもを生み育てる社会、すなわち男女共同参画社会の達成度にかかっているのではないだろうか。

国立社会保障・人口問題研究所副所長 髙橋 重郷
国立社会保障・人口問題研究所副所長
髙橋 重郷

主な予定

10月16日 男女共同参画宣言都市奨励事業(島根県松江市)
10月23日 男女共同参画フォーラム(沖縄県)
10月29日 男女共同参画フォーラム(奈良県)
11月3日 男女共同参画宣言都市奨励事業(秋田県能代市)
11月12日~25日 女性に対する暴力をなくす運動(主唱:男女共同参画推進本部)(11月25日 女性に対する暴力撤廃国際日)
11月13日 男女共同参画宣言都市奨励事業(福井県南越前町)
11月20日 男女共同参画宣言都市奨励事業(熊本県菊池市)