「共同参画」2010年 8月号

「共同参画」2010年 8月号

特集

男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰、女性のチャレンジ賞、
男女共同参画週間キャッチフレーズ表彰
内閣府男女共同参画局総務課

6月22日、総理大臣官邸において、玄葉男女共同参画担当大臣の出席のもと、男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰、女性のチャレンジ賞、男女共同参画週間キャッチフレーズ表彰の表彰式が行われました。

本年度の受賞者は以下の皆様です。(50音順・敬称略)

男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰
男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰

< 男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰 >

男女共同参画社会づくり功労者内閣総理大臣表彰は、多年にわたり男女共同参画社会に向けた気運の醸成等に功績のあった方や、各分野において実践的な活動を積み重ね、男女共同参画の推進に貢献してきた方などを内閣総理大臣から表彰するものです。

井上 耐子 前鳥取県連合婦人会 会長(鳥取県)
井上 耐子
鳥取県連合婦人会
前会長
(鳥取県)

昭和54年に地区婦人会会長に就任、東伯郡連合婦人会会長を経て、平成16年からは鳥取県連合婦人会会長として、婦人会活動に関わられるとともに、県内郡市連合婦人会の協働連携を図り、女性の地位向上に積極的に取り組まれました。

また、「鳥取県男女共同参画センター」開設にあわせ、県内の民間レベルで活動していた女性団体のネットワーク化について中心的役割を果たされました。

平成13年には鳥取県男女共同参画審議会の初代会長に就任され、「鳥取県男女共同参画基本計画」の策定や改定などに尽力されるとともに、平成12年から8年間、県内初の女性監査委員として男女共同参画の視点を持って監査に当たられるなど、鳥取県の男女共同参画の推進に貢献されました。

神田 道子 独立行政法人国立女性教育会館理事長(東京都)
神田 道子
独立行政法人 国立女性教育会館
理事長
(東京都)

女性としては初の総合大学学長となる東洋大学学長として、女性問題に関する調査研究を深めるとともに、女性学における効果的・実践的理論の構築において積極的役割を果たされました。

独立行政法人国立女性教育会館理事長として、女性のエンパワーメント、そして女性問題解決に資する学習等、関係者に対する研修、専門的な調査研究、情報の収集・提供など女性教育の振興を図るための活動に精力的に取り組まれました。

また、内閣府男女共同参画会議議員として、政府の男女共同参画基本計画(第2次)の策定に尽力され、男女共同参画の推進に貢献されました。

北城 恪太郎 日本アイ・ビー・エム株式会社最高顧問(神奈川県)
北城 恪太郎
日本アイ・ビー・エム株式会社
最高顧問
(神奈川県)

日本アイ・ビー・エム株式会社の社長、会長として、女性社員の活躍推進を目的として組織的な支援を行い、社員の女性比率及び管理職比率を上昇させるなど、女性の能力発揮を促進するための取組に尽力されました。

内閣府男女共同参画推進連携会議議長として、社会のあらゆる分野における男女共同参画社会の実現に向けての取組に尽力され、男女共同参画の推進に貢献されました。

また、厚生労働省の「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」座長として、企業経営者へ向け、男性も育児参加できる企業を目指すよう促す提言を取りまとめられるなど、子育て支援、ワーク・ライフ・バランスの観点からも、男女共同参画の推進に寄与されました。

小舘 香椎子 日本女子大学名誉教授(東京都)
小舘 香椎子
日本女子大学
名誉教授
(東京都)

他学会に先駆け、応用物理学会内に男女共同参画委員会を組織し、理工学系の学協会から成る男女共同参画学協会連絡会の創設に寄与。分野横断のネットワークづくりに尽力され、同連絡会初代委員長として実施した大規模アンケートは、その後の国の施策に大きな影響を与えるなど、科学技術分野の男女共同参画の推進に貢献されました。

日本学術会議会員、同科学者委員会男女共同参画委員長、独立行政法人科学技術振興機構男女共同参画主監、応用物理学会女性初の理事・副会長等を歴任し、産学官の協力体制をとりまとめ、光エレクトロニクス分野の研究・開発の最前線で活躍されながら、後進の育成、特に理系女性の育成・活躍の場の拡大に尽力されました。

髙木 直 前山形県男女共同参画審議会会長(山形県)
髙木 直
前山形県男女共同参画審議会
会長
(山形県)

平成9年に山形県女性施策推進懇話会会長に就任以来、山形県の男女共同参画に関する会議等の会長を歴任し、平成14年からは山形県男女共同参画審議会会長として、「山形県男女共同参画計画」の策定や改定、「山形県男女共同参画推進条例」や「山形県ワーク・ライフ・バランス憲章」の制定などに尽力され、山形県の男女共同参画に貢献されました。

また、山形大学地域教育文化学部教授として、男女平等に関する教育・研究を行い、研究成果を県内各地域での講演会や研修会等で発表するとともに、山形大学においても男女共同参画の推進に精力的に取り組むなど、多方面で男女共同参画の推進に寄与されました。

土屋 貞代 前静岡県地域女性団体連絡協議会会長(静岡県)
土屋 貞代
前静岡県地域女性団体連絡協議会
会長
(静岡県)

伊東市女性連盟理事長として、ボランティアグループ「サポート伊東」を立ち上げ、子育て支援など女性が社会に進出する手助けとなる活動に取り組まれました。

静岡県地域女性団体連絡協議会会長として、女性の社会参画に関する意識改革や理解促進のための様々な活動を展開し、地域女性団体の活動支援と組織の充実に尽力されました。

また、静岡県男女共同参画会議副委員長として、静岡県男女共同参画基本計画「後期実践プラン」の策定などに尽力され、静岡県の男女共同参画の総合的・計画的な推進に貢献されました。

冨永 暉子 前福岡県男女共同参画審議会会長(福岡県)
冨永 暉子
前福岡県男女共同参画審議会
会長
(福岡県)

福岡県男女共同参画社会づくり検討委員会の副委員長として、「福岡県男女共同参画推進条例」の制定に尽力されました。

また、3期6年間にわたり、福岡県男女共同参画審議会会長として、「第2次福岡県男女共同参画計画」、「福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画」の策定など、福岡県の男女共同参画社会の実現のために大きな役割を果たされ、県内各自治体への講演や意識啓発活動を積極的に行い、男女共同参画社会の推進に貢献されました。

さらに、職業を持って活躍する女性が中心となって活動する「日本BPW福岡クラブ」会長として、女性の社会的地位と職業水準の向上や、働く女性の親交と理解を深めるための活動に取り組まれました。

中山 敏子 熊本県男女共同参画活動交流協議会会長(熊本県)
中山 敏子
熊本県男女共同参画活動交流協議会
会長
(熊本県)

永年にわたり、地域の男女共同参画を推進する団体のリーダーとして、高校生・大学生を主軸に様々な分野で公開講座・セミナーなどの啓発活動を積極的に展開し、男女共同参画社会づくりの気運の醸成に尽力されました。

熊本県男女共同参画活動交流協議会会長として、男女共同参画を推進する各団体や個人のネットワーク強化や活動支援などを積極的に行い、男女共同参画社会づくりの先導役として大きな役割を果たされました。

山岸 治男 前大分県男女共同参画審議会会長(大分県)
山岸 治男
前大分県男女共同参画審議会
会長
(大分県)

大分県男女共同参画審議会会長等として、10年以上にわたって「大分県男女共同参画推進条例」の制定、「おおいた男女共同参画プラン」の策定や改定などに尽力され、男女共同参画の推進に貢献されました。

おおいた子ども・子育て応援県民会議会長として、「新おおいた子ども・子育て応援プラン」の策定に当たって、「ワーク・ライフ・バランス」「女性の就労支援」等、男女共同参画を推進する上で欠かせない取組を盛り込むなど、次世代育成支援と男女共同参画の推進に尽力されました。

また、大分大学福祉科学センター長として、国・県・使用者・労働者団体と連携し、働き方の見直しをテーマとした「福祉フォーラム」を主催し、男女共同参画の推進に寄与されました。

脇山 順子 前長崎県男女共同参画審議会会長(長崎県)
脇山 順子
前長崎県男女共同参画審議会
会長
(長崎県)

ながさき女性・団体ネットワーク会長として、女性問題に関する講座開催やネットワークの構築、情報提供などに取り組まれ、男女共同参画社会づくりの気運の醸成に尽力されました。

長崎県男女共同参画審議会会長として、「長崎県男女共同参画基本計画」の策定、「長崎県男女共同参画推進センター」の開設などに尽力され、男女共同参画の推進に貢献されました。

石本 香緒里(愛媛県)

「男女共同参画週間」の趣旨を伝えるキャッチフレーズを募集し、応募総数2,915点の中から、審査の結果、石本香緒里さんの作品を最優秀賞として、玄葉大臣より表彰しました。受賞作品である「話そう、働こう、育てよう。いっしょに。」は、シンプルで分かりやすい表現で、メッセージをストレートに伝えることができる点が評価されました。

このキャッチフレーズは、男女共同参画週間のポスタービジュアルにも採用されました。

< 男女共同参画に関する懇談会 >

6月22日、総理大臣官邸において、男女共同参画に関する懇談会が開催されました。

菅内閣総理大臣、仙谷内閣官房長官、中井国家公安委員会委員長、千葉法務大臣、荒井国家戦略担当大臣及び玄葉男女共同参画担当大臣の出席のもと、受賞者の皆様を始め、男女共同参画に関する有識者の方々や各界で活躍される女性など約170名が和やかに懇談されました。

< 女性のチャレンジ賞 >

女性のチャレンジ賞は、起業、NPO法人での活動、地域活動等にチャレンジすることで輝いている女性個人、女性団体・グループ及びそのようなチャレンジを支援する団体・グループを男女共同参画担当大臣から顕彰し、チャレンジの身近なモデルを示すこと等によって男女共同参画社会の実現のための気運を高めることを目的として、平成16年度から実施しています。

(1)女性のチャレンジ賞 (女性の個人及び女性団体・ グループを対象) 4件

梅木 あゆみ 有限会社コテージガーデン代表取締役(北海道)
梅木 あゆみ
有限会社コテージガーデン
代表取締役
(北海道)

4人の子育てをしながら、平成7年、ガーデニングの趣味を活かし、生産直販園芸店「コテージガーデン」を創業されました。珍しい品種の花苗販売やガーデニング手法などが評判となり、現在では本拠地月形町のほか、札幌市にも店舗を構えておられます。仕事の内容も多岐に渡り、植物苗約2千品種の生産直販のほか、テーマパーク内の敷地面積1万坪にも及ぶ大規模な庭園のデザインをはじめ、公園や庭園のガーデニング設計、植栽工事、管理なども手掛けていらっしゃいます。また、北海道の自然、緑、花をテーマに“美しい庭園の島・北海道”の実現を目指す道民運動を進めるNPO法人に理事として参加されるなど、ガーデニングや北海道観光の魅力を道内そして全国に向けて発信されています。

寒川 歳子 前美山村森林組合代表理事組合長(和歌山県)
寒川 歳子
前美山村森林組合
代表理事組合長
(和歌山県)

山林業を営んでいた夫の死を契機に、知識や技術が乏しい中で跡を継ぎ、林業経営に携わりながら、純粋ひのき香油等を販売する工房を経営されています。平成16年には、全国初の女性の森林組合長に就任し、2期6年を務められました。就任時、組合は経営危機にありましたが、こまめな地域懇談会での情報共有、財務会計の徹底的な見直し、組合員からの増資などにより、経営を立て直されました。同時に、独自のグリーンキーパー制度等によるIターン者の受入れなどにより、作業員の平均年齢を大幅に若返らせ、技術力の向上と資格取得を促進され、高性能林業機械を次々と導入するなどの改革を推進されました。長期的展望に立った後継者育成、低コスト林業の推進は、全国的にも高い評価を得ています。

新関 さとみ さとみの漬物講座企業組合理事長(山形県)
新関 さとみ
さとみの漬物講座企業組合
理事長
(山形県)

義母が作った山形の漬物のおいしさに感動し、作り方を学んで農産物直売所で販売されました。平成13年からケーブルテレビで漬物講座番組を5年間続け、平成15年には、山形県内初の企業組合「さとみの漬物講座企業組合」を設立されました。山形の漬物・漬物のたれ・手作り味噌・漬物レシピ本等の販売や作り方講座を中心に、総合サービス的な漬物事業を展開されているほか、山形の伝統的食文化を伝える活動にも力を入れていらっしゃいます。現在は、東北各県における講座の開催や、インターネットによる全国販売に活動範囲を拡大させておられます。また、女性起業家として県内外で講演を行われるとともに、平成21年に設立された「みやぎ・やまがた女性交流機構」の理事としても活躍されています。

藤原 たか子 マイスター工房八千代施設長(兵庫県)
藤原 たか子
マイスター工房八千代
施設長
(兵庫県)

平成13年10月に「マイスター工房八千代」をオープンさせ、施設長として地産地消を核とする地域活性化に尽力されています。地元食材を活用した料理研究の実績を活かし、「天船巻き寿司」を創作されました。「一度食べたら忘れられない味」として人気を博し、一日1,500本が飛ぶように売れ、週4日の営業ながら、年間売上が1億8,000万円を超える等、右肩上がりの経営実績を上げておられます。また、多くの地域女性の就業機会を創出し、スタッフ一人あたり月給20万円以上を実現させるとともに、子育てや介護と両立できる就労環境の整備に努めていらっしゃいます。さらに、地域住民が集える施設を整備し、交流会等の開催を通じた地域福祉や文化活動にも多大な貢献をされています。

(2)女性のチャレンジ支援賞 (団体・グループを対象) 1件

特定非営利活動法人 北海道子育て支援ワーカーズ(代表理事:小川京子)(北海道)
特定非営利活動法人
北海道子育て支援ワーカーズ
(代表理事:小川京子)
(北海道)

平成8年に発足した北海道ワーカーズ・コレクティブ連絡協議会託児部会が、任意団体を設立し、平成14年にNPO法人化されました。親子で本に親しんでいただく「お出かけ図書室」、おもちゃや遊びのイベント、事業所内保育所の運営等を行っていらっしゃいます。子どもを育てながら仕事をされている人を対象として、急な残業や出張、子どもの急病などの場合に、事前登録の地域スタッフ会員が子どもの世話を引き受ける「病児・緊急預かり対応基盤整備事業」を「こども緊急さぽねっと」として実施しています。サポートしてほしい人とできる人を組織化し、仕事と育児の両立支援、地域の助け合いの仕組みづくりを行われており、子育て中のお母さんが新たに仕事を探す際にも役立っています。

(3)女性のチャレンジ賞特別部門賞 (女性の個人及び女性団体・ グループを対象) 3件
(平成22年度の特別部門は「新しい公共」)

田中 美穂 NPO法人STEP・北九州理事(福岡県)
田中 美穂
NPO法人STEP・北九州
理事
(福岡県)

自身の子育て経験から、不登校問題を考えるようになり、平成3年に「学校に行かない子どもを支える会・北九州」に加入され、市民活動を開始されました。その中で、当時あまり注目されていなかった「ひきこもり」問題にいち早く取り組まれ、親の会に続いて当事者会を設立されました。本格的にこの問題と向き合うため、平成19年に「STEP・北九州」として再スタートを切り、支援者のネットワークづくりに尽力されました。そして、北九州市が開設した「ひきこもり地域支援センター」の運営受託を機にNPO法人化し、現在は、センターでの相談業務を中心に、フリースペース「やわらかカフェ」の運営を行いながら、新たな拠点の開設や就労体験の受入先の開拓などに取り組んでおられます。

日置 真世 NPO法人地域生活支援ネットワークサロン理事兼事務局顧問(北海道)
日置 真世
NPO法人地域生活支援ネットワークサロン
理事兼事務局顧問
(北海道)

平成6年、釧路市にある障がい児子育て支援グループ「マザーグースの会」の活動に参加されました。その後、障がい者も健常者も隔たりなく、いきいきと暮らせる地域づくりの必要性を感じ、平成12年に「NPO法人地域生活支援ネットワークサロン」を設立されました。障がい者の通所サービスの提供など、事業を次々と展開され、平成19年には、障がい者、高齢者、生活保護受給者など、様々な困難を抱える方々がお互いに支え合って暮らせる「コミュニティハウス冬月荘」をオープンされました。常に利用者のニーズや地域の課題に向き合い、地域の「ヒト・モノ・カネ・チエ」を組み合わせサービスを提供する活動は、コミュニティビジネスの先進的事例として高く評価されています。

森 綾子 NPO法人宝塚NPOセンター専務理事(兵庫県)
森 綾子
NPO法人宝塚NPOセンター
専務理事
(兵庫県)

阪神・淡路大震災をきっかけに、生活弱者のみを救済するためのボランティアではなく、市民が互いに助け合っていくこと、市民自らの活動を支援する事業が必要であると考え、NPO法人を設立されました。市民活動を継続させていくためには適切な利益の確保が必要なことから、コミュニティビジネスの分野にも取り組まれ、蓄積してきた情報発信、起業相談、資金調達などのノウハウ・ツールを提供され、全国の中間支援NPOの基盤強化やコミュニティ活性化に取り組んでおられます。また、平成21年4月からは、宝塚市より「第5次宝塚市総合計画策定業務」を受託され、市の10年後のビジョンづくりに深く関わられており、行政とNPOの協働事業のモデルケースとなっています。