「共同参画」2010年 7月号

「共同参画」2010年 7月号

行政施策トピックス 3

ノルウェーにおける男女共同参画について
内閣府男女共同参画局推進課

内閣府では、諸外国における女性の参画に関する調査を行っています。

今回はその中からノルウェーの取組と最近の女性の参画の状況を紹介します。1

 1 特に明記のない限り、ノルウェーのデータは2008年、日本のデータは2009年。

民間企業への女性の参画率

ノルウェーでは15歳から74歳の雇用者250万人のうち47%が女性です。女性の就労率が7割と高く、結婚・出産を経ても仕事を持ち続ける人が多いため、女性の年齢階級別労働力率は日本のようなM字型ではなく台形に近い形をしています(図1)。

管理職に占める女性の割合は31%となっています。さらに、上場企業の取締役会構成員の40%は女性です(2010)。

一方で、パートタイムで働く労働者は男性が14%であるのに対し、女性は41%です(2009)。賃金も女性のフルタイム労働者の賃金は男性のフルタイム労働者の87%(日本は70%)です。

図1 日本とノルウェーの労働力率の比較
図1 日本とノルウェーの労働力率の比較

取締役会へのクオータ

ノルウェーでは会社法改正により2004年から国営企業の取締役会の男女構成比をそれぞれ40%以上とするよう義務付けられ、2006年には民間の上場企業にも同様の改正がなされました。上場企業の多くは、女性就業者が多い政府等の公的部門や海外から優秀な女性を引き抜くなどして女性役員を採用し、取締役会における男女比率は図2のように推移しています。

図2 ノルウェーにおける民間上場企業取締役会に占める女性割合
図2 ノルウェーにおける民間上場企業取締役会に占める女性割合

両親への育児休業制度

ノルウェーには両親合わせて最長3年間の育児休暇があります。休暇のうち有給休暇2の一部を父親に割り当てる「パパ・クォータ」については2月号にご紹介しましたが、2007年の実績で90%の父親がこの制度を利用しています。

日本でも改正育児・介護休業法が今年の6月30日から施行され、男性の育児への参加の促進が期待されます(詳細は6月号参照)。

  2 80%の給与を53週間又は100%の給与を43週間受給できる。

保育施設と財政支援

ノルウェーの現政権は希望する未就学児童すべての保育園入園を公約として掲げており、この4年間で相当数の保育施設が新設されました。保育園の運営費は約8割を国と地方が負担しており、2008年で1~5歳児の87%が保育施設を利用しています。保育施設を利用せず1~2歳児を自宅で保育する親には国民保険と一般財源から保育施設に預けている時間数に応じて家庭保育手当が支給されます。

また、18歳未満の子を持つ親には国民保険から定額の児童手当が支給されます。この額は一人親家庭の場合は増額されます。

女性の就業と男性の育児参加

1988年の調査で「家事は女性の仕事である」と回答したノルウェー男性は95%でしたが、2007年には48%に減っています。日本でも2009年の世論調査で「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」に賛成する男性は46%です。女性が職業を持つことについて45.9%の日本人が「子どもができても、ずっと職業を続ける方がよい」と回答しています。

男女が育児にも職業にも参画する権利が当然ものとして認められ、豊かな人生を選択できる社会が望まれます。

(参考)

「諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査(平成21年3月)」、「男女共同参画社会に関する世論調査(平成21年10月)」(内閣府男女共同参画局)

"Women and Men in Norway 2010"、"Labor force survey"(ノルウェー中央統計局)

在ノルウェー日本国大使館ホームページ

駐日ノルウェー王国大使館ホームページ

駐日ノルウェー王国大使館ヒアリング