「共同参画」2010年 4・5月号

「共同参画」2010年 4・5月号

特集

2010 APEC 女性リーダーズネットワーク(WLN)
会合に向けてのキックオフセミナーの開催
内閣府男女共同参画局総務課

本年9月、日本で初めてAPEC女性リーダーズネットワーク(WLN)会合を開催します。WLNを理解し、その意義を広く一般に普及し、参画の気運を高めるため、キックオフセミナーを開催しました。

2010 APEC WLN実行委員会と内閣府男女共同参画局は、3月24日、女性と仕事の未来館において、「2010 APEC女性リーダーズネットワーク(WLN)会合に向けてのキックオフセミナー:経済活動における女性リーダーと国際的ネットワークの役割」を開催しました。

■ 開会の挨拶 ■

開会の挨拶で、福島みずほ 内閣府特命担当大臣(男女共同参画)は、「日本でのWLN会合では、あらゆる分野の女性が国内、APEC地域そして世界の女性たちと大きく手をつなぐことを心から期待する、WLN会合が日本女性にとって 大きなインパクトとなり、日本も変わってきたという状況を作りたい」と9月の会合に向けての力強い意気込みを述べました。


挨拶を述べる福島大臣

引き続き、2010 APEC WLN実行委員会副委員長を務める、國井秀子 リコーITソリューションズ(株)取締役会長執行役員から、「日本で初めてのWLN会合の開催を契機に、国内外のネットワークが形成・強化され、日本の女性が更にエンパワーし、日本の男女共同参画が一層進むことを期待する、WLN会合を単なるイベントとするのではなく、会合の成果をその後も継続させていくことが大事である」と挨拶がありました。

■ APEC SOM議長からの挨拶 ■

APEC高級実務者会合(SOM)議長を務める、中村滋 外務省国際貿易・経済担当大使及び西山英彦 経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)からそれぞれ挨拶が述べられました。

■ 基調講演 ■

WLNの共同創設者でありカナダのWLN会合(1997年)で共同議長を務めたアンドリーナ・リーバ リーバ・エンタープライズ社長が、「APEC女性リーダーズネットワーク(WLN):1996-2010!」と題した基調講演を行いました。

リーバ氏は、WLNは、APECの意思決定や政策策定のプロセスに女性の意見を反映し、女性の関与が確保されるための方法を模索し、戦略を構築するために、1996年にフィリピン・マニラで発足したと紹介しました。また、WLNのこれまでの成果として、2回のAPEC女性問題担当大臣会合の開催、APEC男女共同参画担当者ネットワーク(GFPN)の創設、APEC零細企業サブ作業部会(MESWG)の設置への貢献等を挙げました。そして、過去の成果を基にした発展、事務局の設置、実戦可能な目標の設定、次世代の女性たちの歓迎、夢を持ち続けること等がWLNのビジョンであると述べました。

■ 講演 ■

「WLNへの期待-活用と効果」をテーマに、オーストラリアのWLN会合(2007年)で中心的な役割を果たしたアナベル・ベネット オーストラリア連邦裁判所判事/オーストラリア国立大学副総長代理、ヤンハイ・パク 淑明女子大学名誉教授/国際BPW連合会アジア太平洋地域コーディネーター/AWEC 2008アドバイザー、そして國井秀子氏が講演を行いました。

ベネット氏は、自身の経験も踏まえ、WLNは、女性に行動を起こす必要性を認識させ、経済活動と経済発展への女性のアクセスと参画を推進する最適な方法を議論する機会等を提供するものであると説明しました。また、WLNは変化をもたらす手段となりえること、そのためには共通の目標に向けて様々な関心と背景を持った女性と手を携える努力が必要であること、WLNを経済全体に真に有効な影響を与える組織に高める必要があること等についても述べました。

パク氏は、昨年6月に韓国で開催された東アジア男女共同参画担当大臣会合では、経済危機、気候変動、低炭素グリーン成長、ジェンダーに基づいた情報社会が主なトピックであったことに触れ、グリーン成長と女性の役割に関し、韓国ではG-Korea女性評議会を立ち上げたこと、グリーン成長にはジェンダーの視点が大事であること等について述べました。また、WLNに関連して、2005~2009年まで韓国が開催したデジタル・エコノミー・フォーラムとe-biz研修について紹介しました。

國井氏は、本年9月に開催するWLN会合について紹介しました。WLN会合開催によって期待できる成果として、日本に対する国際的な理解の促進、経済活動への女性の参画意識の高揚、WLN会合運営に関わる団体や女性のエンパワーメント、日本における男女共同参画の加速等、を挙げました。そして、多くの方々の参加により、日本でのWLN会合を成功させたい、と締めくくりました。


講演を行う國井氏

■ パネルディスカッション ■

2010 APEC WLN実行委員長の内永ゆか子氏をコーディネーターに、リーバ氏、ベネット氏、パク氏、2010 APEC WLN実行委員の平松昌子 (株)ケーブル・パーソンズ常務取締役/日本BPW連合会元会長/国際婦人年連絡会世話人、そしてパトリシア・フォレイ・ハイネン キャピタル・シスターズ・インターナショナル創設CEO/マイクロエンタープライズ・ディベロップメント・プログラム共同創設者兼議長の5名をパネリストに、「経済活動における女性リーダーと国際的ネットワークの役割」をテーマとしたパネルディスカッションが行われました。

リーバ氏からは、女性が経済においてより活発な役割を果たし、より平等な権利を持つ国は、生活水準が高く、子どもへも良い影響をもたらす、今年はAPECにとっても非常に重要な年であり、WLN提言にも日本がAPECで提唱していくような事項を含めるべきである等の発言がありました。

ベネット氏は、どの女性にも少なくとも平等な機会が与えられるべき、女性には男性が気づかないようなビジネスチャンスに気づくことができるが、多くの企業には女性の持つ洞察力が足りない、日本でのWLN会合では、これまでと同じような提言を繰り返すだけでなく、すべての提言が実施に移されるような戦略を立てることを期待する等と述べました。

パク氏は、女性リーダーは他の女性のロールモデルであるべき、証券取引所などで、女性に優しい企業であるかどうかの指標を設定してはどうか、今年はWLN15周年の年なので、WLNの具体的成果がAPEC地域だけでなく世界中に届くようなネットワークの形成を期待している等と述べました。

平松氏からは、女性と経済の問題がこれまでクローズアップされたことはない、女性は家庭の財布を握ると言われているが、ミクロからマクロのレベルの経済まで女性が関わることが大事、女性の多い企業が優秀であると言われるのは、女性にはリサーチ能力があり、人々のニーズを汲んでそれを商品化し、社会と結びつける能力を持つからである、女性が関わっている仕事は小規模のものが多いので、ネットワークを駆使するなどして情報を取ることが重要、そういった意味でも日本でのWLN会合には多くの方々に参加していただき、そしてWLN提言にも具体的なものを入れていきたい等と発言がありました。

ハイネン氏からは、女性リーダーの役割は、声を上げることができない女性の声を代弁をすること、マイクロファイナンスは途上国の女性が貧困から抜け出す大きな手助けとなっている、同じ目的を持った女性が集まれば必ず何か成し遂げることができる、日本でのWLN会合では、APEC議長国としての日本の優先事項などを踏まえた意味ある有効な対話を行い、ジェンダー主流化というゴールを目指して、WLNをAPECの作業部会などと関連づけ、官民のパートナーシップを促進すること等を期待する、と発言がありました。


パネルディスカッション

【内閣府男女共同参画局ホームページ】

http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_apec/wln/seminar/index.html