「共同参画」2010年 2月号

「共同参画」2010年 2月号

連載 その3

長期的な視点に立った女性の人生設計を支援するために
平成22年度 女性のライフプランニング支援総合推進事業について
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課

文部科学省においては、平成21年度に「女性のライフプランニング支援総合推進事業」として、各地域における既存の社会資源(行政の支援、民間団体の支援等)を整理し、必要な対象に支援が届くような体制整備に関する検討を行うため、全国7団体において試行的実施を行ってきました。

「ライフプランニング」とは、従来の「キャリアプランニング/キャリアデザイン」にライフイベント(結婚・妊娠・出産等)を織り交ぜたもので、「女性のライフプランニング支援」とは、女性が就職・結婚・妊娠・出産といったライフイベントを視野に入れ、長期的な視点で、自らの人生設計を行うことを支援することです。

女性のライフプランニング支援は、女性が十分な情報・学習に基づき多様な選択ができ、能力開発・能力発揮の意欲向上が促進される社会を目指すもので、各地域で実践されることが望ましいと考えます。

支援としては、講座等の学習、情報提供、相談等、様々なものが考えられ、地域における男女共同参画推進のための拠点である男女共同参画センター等において取り組まれることが相応しいと思われますが、現状では、どのような内容を、どのように行えばよいかといったノウハウが十分ではなく、各地域ですぐに実施されるのは困難と考えます。

以上のことから、平成22年度においては、地方の男女共同参画センター等が活用できる学習プログラムの作成を予定しており、平成23年度以降、これらを普及していくことを考えております。

女性のライフプランニング支援は、女性の生涯にわたる支援ですが、特に以下の項目が課題と考えます。

(1)女子学生

将来にわたる働き方・生き方を考える上で初職の選択は非常に重要です。現在の就職活動は、「自分のやりたいこと」「自分に合っていること」といった“自己実現”“適職”といった視点に重きが置かれがちで、長期的なライフプランニングの視点から、初職を決定することの支援は十分なされていないのが課題です。

(2)雇用女性

初職について数年で現在の勤務先や勤務形態での就業に迷いを感じている女性、結婚・妊娠・出産等で就業継続を迷っている女性、数少ない女性管理職として職場で孤立感を感じている女性などが多いと考えます。しかしながら、雇用女性にとって、勤務先以外の講座等にはなかなか参加しにくいのが現実です。これらの女性に、どのように働きかけを行い、支援を届けるかが課題です。

(3)子育て中の女性

再就職の決断はしていないが将来に漠然とした不安を感じているなど、この時期の女性の悩みや迷いは、本人または周囲の人も「子育てに関する問題」としてとらえがちで、女性自身の問題として認識しにくいという課題があります。子育て支援と平行し、女性自身が将来展望を持つような支援が必要です。

(4)不就労で生活困難を抱える女性

いわゆる「ニート」については、女性の問題が見えにくく、女性がニートと同様の困難を抱えていても「家事手伝い」として問題が潜在化しがちと言われます。困難を抱える若年女性については、横浜市など一部の地方公共団体で取組が始まっていますが、十分な検討がなされていないのが現状です。

以上の4つが課題と考えられ、これらを主な対象とした学習プログラムの開発等を6団体に委託し、平成22年4月から事業を実施することを予定しています。本事業については担当までお問い合わせください。

【問い合わせ先】

文部科学省生涯学習政策局男女共同

参画学習課男女共同参画推進係

電話:03-5253-4111(代)(内線2654)