「共同参画」2010年 2月号

「共同参画」2010年 2月号

[コラム]

パパは育休中~北欧の事例
男女共同参画局総務課

男女共同参画の先進国と言われる北欧諸国では、育児についても男性の参画を促進する取組が行われています。ノルウェーでは、両親が育児休業を合わせて最長3年間(うち1年間は有給)取得できますが、この有給の1年間のうち、父親に一定の休業期間を割り当てる「パパ・クォータ」を設けています。この割当期間は、2009年に6週間から10週間に拡大されました。もし、父親が育児休業を取得しない場合には、育児休業手当の支給期間がその分短縮されてしまいます。

 駐日ノルウェー大使館ドッテ・バッケ一等書記官は、「パパ・クォータ制度の意義は、男性にも家庭に参画してもらい、家庭内でも平等を図るということ。また、職場においても、人選などの際にプロジェクト途中での育児休業のリスクを見越して男性を選択する、という傾向を緩和することができるという利点もあるのです。」と話しています。

ノルウェーでも、特に若い男性は、積極的に家事・育児に参画したいと考える傾向があるそうです。政府は「男女平等・少子化対策・ワーク・ライフ・バランスの3つは一体的に推進すべきもの」という認識に基づき、こうした若い世代の希望をバックアップする政策を進めています。

バッケ書記官によると、最近、ノルウェーでは、育休中の父親達が集まって、子どもの世話やゲームを楽しむ様子をコミカルに描いた携帯電話のTVCMが人気とか。キャッチコピーの「Pappaer i Perm(パパは育休中)」は響きの良さもあって流行語になっているそうです。こんなところからも、ノルウェーの社会で、父親の育児が既に「日常の風景」になりつつあることが伺えます。

アイスランドでも、2000年から2003年にかけて新しい育児休業制度を導入したところ、働く男性の9割以上が育児休業を取得するようになるという劇的な変化がありました。同時に合計特殊出生率も2.0(2004年)と上昇に転じ、現在でも欧州の中では高い水準を維持しています。

少子化の流れを止めるには、制度のあり方だけでなく、「父親が育児にどれだけ参画しているか」も重要なポイントとなりそうです。