「共同参画」2010年 2月号

「共同参画」2010年 2月号

特集

男性にとっての男女共同参画
~男性の家庭への参画の現状~
内閣府男女共同参画局総務課

男性も女性も一人ひとりの個性や能力を発揮することができる男女共同参画社会の実現のためには、男性の育児・介護等の家庭への参画が不可欠です。家庭への参画に関する男性の意識は徐々に高まっていますが、現実にはまだ低い参画状況にあります。

1.男性の家庭への参画に関する希望と現実

育児休業制度を利用したいと思う男性の割合は31.8%、育児のための短時間勤務制度を利用したい男性の割合は34.6%(厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する調査結果」平成20年)など男性の育児参画に関連する制度についての利用の希望は高まっています。

しかしながら、平成20年の男性の育児休業取得率は、1.23%と低く、制度を利用したいと思っているものの実際には利用できていない男性が少なからずいることが分かります。

また、夫婦の生活時間の状況をみると、夫の育児に関わる時間は、妻の就業状況に関わらず1日当たり30分程度(総務省「社会生活基本調査」平成18年)と非常に短くなっており、我が国の夫の家事・育児に費やす時間は、世界的にみても低水準にとどまっています(図表1参照)。

図表1 6歳未満児のいる夫の家事・育児時間

  2.男性の家庭参画を阻害する要因  

総務省「労働力調査」によると、週35時間以上働く人のうち週60時間以上働いている人の割合は、30歳代、40歳代が最も高く、2割以上の男性が週60時間以上働いているなど、子育て世代の男性は長時間労働の割合も高くなっています。

また、「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の優先度について希望と現実を聞いたところ、男性の場合仕事を優先している人の割合が、そのように希望している人の割合を大きく上回り3分の1を超えており(図表2参照)、ワーク・ライフ・バランスを実現しづらい状況が男性の家庭への参画を妨げていることが分かります。

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」といった固定的な性別役割分担意識も男性の家庭参画を阻害する要因として挙げられます。この点、「平成21年男女共同参画社会に関する世論調査」において、男性も初めて固定的性別役割分担に対する反対(51.1%)が賛成(45.8%)を上回りました。特に男性は若い世代において反対する人の割合が高くなっており、徐々にではありますが、固定的性別役割分担意識を持つ人が減少しています。ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、本人のみならず職場など周りの人の理解も必要であることから、意識の問題も重要であるといえます。

図表2 男性の「仕事」、「家庭生活」、「地域・個人の生活」の希望と現実

  3.男性の家庭参画による効果  

厚生労働省「第6回21世紀成年者縦断調査」によると、夫婦のうち、この5年間に子どもが生まれ、出産前に妻が仕事をしていた夫婦について、出産後の夫の平日の家事・育児時間別に、妻の出産後における同一就業継続の割合をみると、「家事・育児時間なし」で39.1%、「4時間以上」で66.7%となっており、夫が平日家事・育児に参画している家庭では、妻が出産後も同じ仕事を続けている割合が非常に高くなっています(図表3参照)。また、夫の休日の家事・育児時間が長くなるほど、第2子以降が生まれる割合も高くなる傾向にあります。

このように、男性の家庭参画を進めることは、男性・女性双方にとって、多様な生き方を選択できることにつながるものであり、男女共同参画社会の実現のために必要不可欠なものとなっています。

図表3 妻の就業継続の有無(夫の平日の家事・育児時間別)