「共同参画」2010年 1月号

「共同参画」2010年 1月号

連載 その3

女性のライフプランニングに資する大学の取組(3)
~広島大学・お茶の水女子大学~
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課

国立大学は平成16年度に法人化して以来、学長の強力なリーダーシップの下に様々な改革を進めてきました。近年は就職支援・キャリア支援についても様々な取組があり、学生の職業選択時において就職後のキャリアや人生がイメージできるように、幅広な情報や示唆を得られる機会の提供がなされています。

広島大学の取組

広島大学では、法人化時に学生就職センターを前身とした「キャリアセンター」を設置しました。キャリア関連教養科目の設置やキャリアガイドの配布により低学年次からのキャリア意識の形成に取り組んでいます。

また就職活動をスタートさせる学部3年生と修士課程1年生向けには、学生が主体的に自分のキャリアについての示唆を得られるようなセミナー等を行っています。

まず、「卒業生によるキャリアセミナー」を23回、「学内セミナー」を102社分開催します。公務員セミナーを含むこうしたセミナーが昨年10月から2月後半まで連日続きます。学生にとって、特に卒業生の「生の声」を聞くことができるため、本セミナーは魅力的な情報源となっています。

次に、平成20年度より本学学生を対象とした「合同企業キャリアセミナー」を年に2回学内で開催しています。今年度は東京に本社を構える大手の120社が出展してくれました。学生は広島にいながら多くの情報を得られ、交通費負担の軽減につながることから、毎回、多くの学生が参加しています。

広島大学では、現在のところ女子学生に限ったキャリア指導は特に行っていませんが、教員が担当する講義、ガイダンス、個別相談の中で女性のキャリア形成について理解してもらうように配慮しています。特に、広島大学は国立大学のなかでも女子学生比率(約38%)が高め(国立大学全体での女子学生比率は34%)ということから、今後の課題として検討していきたいと考えています。

お茶の水女子大学の取組

お茶の水女子大学では、働く力(持続して働き続ける力、マネジメント力)の育成を目的として、平成20年度から「出る杭を育てる」タイアップ・キャリアセミナーを実施しました。

学内での2日間の事前研修を行い、主要企業の人事や女性社員活躍の現状と課題について、学生によるプレゼンテーションを行い、「女性が活躍するために必要なこと」に関する議論を深めました。

本番となる2日間の合宿には27名の学生が参加しました。講師には、企業の第一線で活躍している女性を迎え、キャリアパスなどについてのディスカッションを行いました。さらに、女性活躍の現状と課題、リーダーとしての必要な能力等の高め方についての講義や、参加学生が作成したキャリアプランの発表・ディスカッションを行う研修など、いずれの内容も講師と参加学生による対話型・参加型の講義で、実践的な研修となりました。

学生のアンケートでは、「キャリアに対する意識が高まった」、「働くことへの意欲が高まった」などの感想が寄せられ、また、講師をお願いした企業の方からも、「大変意味のある取組である」、「学生が積極的で私自身も勉強なった」などの声がありました。参加者双方に有意義な機会となり、次年度以降も発展的に継続して行う予定です。