「共同参画」2009年 12月号

「共同参画」2009年 12月号

行政施策トピックス1

「ノルウェー女性エグゼクティブ育成プログラム“Female Future”とその効果」
内閣府男女共同参画局総務課

平成21年9月15日(火)、内閣府とNPO法人J-Win、ノルウェー王国大使館の共催で「ノルウェー女性エグゼクティブ育成プログラム“Female Future”とその効果」が開催されました。

本セミナーでは、ノルウェー経営者連盟(NHO)シニアエグゼクティブのカーリ・ミンゲ氏、ボルグ・スヴァークストロム社CEOのマリアン・カールセン氏のお2人をお招きし、日本の経団連にあたる組織であるNHOが実施している女性エグゼクティブ育成プログラム「Female Future Program(FFP)」についてご説明頂きました。

ノルウェー経営者連盟(NHO)シニア
エグゼクティブ カーリ・ミンゲ氏

ノルウェーは、女性の就業率は70%超と世界的にもトップクラスで、とりわけ公的部門における女性の割合は極めて高い、男女平等の先進国として知られています。その一方で、かつては指導的地位にある女性の割合については、遅れが見られたそうです。

そこで政府は一般企業の取締役会についても、一方の性が全体の40%を下回ってはならないとする「男女平等法」のクォータ制の規定を改正し、2006年1月より施行しました。(政府系企業については2004年に、公的委員会・審議会については1988年に既にクォータ制を導入済み。)

NHOは、当初クォータ制の導入に反対の立場を取っていましたが、その趣旨を尊重し、2003年にはFFPを立ち上げ、女性の役員への登用を「将来志向という良いイメージを企業に与えるもの」として、奨励しているということです。

ボルグ・スヴァークストロムAS社CEO
FFP受講者 マリアン・カールセン氏

カールセン氏には、FFPの受講経験者として、FFPの良さについてご説明頂きました。

FFPのリーダーシップに焦点をあてたプログラムでは、どのようにリーダーシップをとるべきかを学ぶことができたそうです。さらに、ネットワーキングの重要性について再認識し、女性はまだビジネスにおけるネットワーキングが不十分と感じたとのこと。FFPのディスカッションを通じて、参加者は経験を共有することができ、インフォーマルなおしゃべりでない、フォーマルなトピックを「女性だけ」で行う意義もあったと語られました。FFP受講後も、参加者とは連絡をとりあっており、大きな財産となっているそうです。

 また、カールセン氏は、10年ほど前、子育てのための休暇を経て、仕事に復帰した時、夫はパートタイムの仕事に変えられたとのこと。当時は夫の上司も驚いたそうですが、現在は男性の育休取得も当然の権利として普及しており、この10年間の変化を感じるということです。ノルウェーでは、今年から父親の育児休暇の期間(いわゆるパパ・クォータ)が10週間に拡大されています。

ノルウェーのモデルは、大企業の努力だけでなく、政府の施策によって支えられています。NHOのミンゲ氏は、クォータ制は、企業の態度・姿勢を変えるのには効果的な手法であり、クォータ制が必要ない社会が理想ではあるが、現実的にはもうしばらく継続することが必要と考えているということです。

第2部のパネルディスカッションでは、日本企業の女性役員とミンゲ氏、カールセン氏で活発な意見交換が行われました。