「共同参画」2009年 12月号

「共同参画」2009年 12月号

連載 その2

女性のライフプランニングに資する大学の取組(2)
~立教大学~
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課

文部科学省では委託調査として、平成19年度に20代・30代の女性(学生を除く)3,083人を対象としたインターネット調査「女性のライフプランニングに資する学習支援のあり方に関する調査」を実施しました。

調査によると、就職・結婚・出産・子育て・再就職などのライフプランについて、長期的に考えることの必要性については、「とても必要だと思う」(36.0%)、「まあ必要だと思う」(50.9%)と、合わせて86.9%の人が必要性を感じていました。

また、学生時代に具体的に受けたかった支援内容としては、「専門学校・短大・大学・大学院」では、「女性の継続就業・離職・再就職等をめぐる現状についての情報提供」(31.0%)が最も多く、次いで「働いている女性や女性管理職の経験談・相談」(29.0%)が多くなっていました。

今回は、男女共学であるにもかかわらず、女子学生を対象としたキャリア支援を積極的に行っている立教大学の取組を紹介します。

◆立教大学の取組

立教大学では、男女雇用機会均等法施行をきっかけに、女子学生への支援として、均等法、社会の変化・実態を伝えるガイダンスを実施するなど、女子学生自身が“どう生きるか”を考え、自分自身の「就職」に向き合うことのできるきっかけとなるプログラムを実施してきました。

均等法施行以降、女性を取り巻く環境は変わりつつあり、多くの企業が本格的な取組を始め、社会全体においても、男女共同参画社会に向かう変化が起こっています。そのような中、女子学生のキャリア意識を高め、目的意識を持った学生を社会に輩出すること、学生が卒業後自立した自分らしい人生をおくる力をつけるための支援をすることは大学としての責任であるという観点から、より効果的な支援の在り方を検討するため、女子学生の意識の現状を調査しました。

調査の結果から、意識の現状は、社会の変容と時代の要請に対応できているとはいえず、そのことは、学生自身にとっても自立した人生を歩む上で大きな障害となっていることがわかりました。支援をより強化するために平成21年度に検討チームを設け、女子学生キャリア支援プログラムの開発を始めました。

新規プログラムとして、6月に第一回女子学生就職ガイダンスを実施しました。10月に実施していた就職ガイダンスに先がけて、就職活動前にきちんと自分軸を持ち、目先の情報に惑わされず活動を進めていくために、「働く意味」を知る内容のガイダンスとしました。その後、9月には企業で実際に働いている様々なロールモデルの方々との話し合いを通して、現実を見つめ、より深く自分自身が働き方・生き方を考え、積極的に仕事に関わっていくよう動機付けをするための2日間集中プログラムを実施しました。ガイダンス、集中プログラムで得られた気づきを基に、実際に企業に足を運んで、社会や企業の実態を知る機会を持つことで、参加学生が自分との対話を深め、自分の進路を考えるきっかけとするための、企業見学会を実施しました。

平成22年度には、女性の働き方を軸に社会の変化や企業の取組を学び、男女が共同する生き方、仕事を通しての社会参加について考えるきっかけとすることをねらいとした正課科目を展開する予定です。

このように、各々のプログラムを系統的に実施することはもちろん、「正課」「正課外」取組を有機的に結びつけながら展開することで、効果的な支援ができるようプログラムの開発を進めています。